n0tailによるリプレイ解説
この動画を元ネタにして、この動画で何が話されているかについての記事になります。N0tailがサポートプレイヤーなので、サポートメインの解説記事です。この動画はTI8のLGD vs OGのゲームに関しての自分のプレーをN0tailが解説していく動画ですので、この記事を読んで分かりにくいなどあったら、動画で補充してもらえたらと思います。この記事に関してはN0tailの発言7割、僕の発言3割程度の割合で書かれています。少し説明不足かなと思った所を僕が補填していく形です。
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プルについて
サポートにおいて最も重要な事はプルです。プルすることはレーンにおいて様々な利点がある強いプレーです。例えば、クリープの会う位置を下げることや、自身の経験値やゴールドを稼ぐ事が出来ます。クリープの会う位置を下げるとどんな良いことがあるのでしょうか?
上の画像のSpectreの位置は、理想の位置とは程遠いと言えます。タワーから遠い、左からCMからハラスされる位置にいる、殺される可能性があるポジションなのでラストヒットも取りにくいです。
理想の位置はここですね。タワーの近くで安全にラストヒットを取れ、しかも敵のポジションもこちら側の深い位置まで入ってくるので、上手くいけばキルが生まれるかもしれません。これはプルすることによってのみ、成し遂げられることなのです。
N0tailはこの動画ではシングルプル(キャンプが一回分の時のプル)を行い、レーンには2回分のクリープがあります(ダブルクリープと言います)。スタックプル(キャンプを一回スタックして、プルすること)すると自らのレーンのクリープを殺せるのですが、シングルプルの良いところは何でしょうか?
それは、上の画像のようにアグレッシブなプレーを可能にすることです。敵を自由に攻撃出来て、敵がもし逆に戦おうと思ってもクリープが多くてダメージ交換が不利になってしまうのです。
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サポートとして、このゲームにおいてのN0tailの仕事は"Spectreに出来るだけレーンで良い思いをさせて、活躍してもらう事”です。それがN0tailがレーンにおいて成し遂げたいことの全てです。その時に大事なポイントは、”自分は、レーンから経験値をもらいすぎていないだろうか?”という点です。
基本的には、貴方がサポートとしてレーンから経験値をもらっていい時は、「貴方がレーンでなにかを成し遂げている時」だけです。きゃりーをハラスから守ったり、敵のサポートをゾーニングしたり、そういう事をしている時はもちろんレーンでやるしかないので経験値をもらっていて構いません。しかし、例えば上手くレーンを勝った後、味方のきゃりーの横に立ち何もせずに経験値をもらう事――これは良いプレーとは言えません。
もしそのきゃりーが一人で経験値を獲っていたら、上手くいけば6~7分でレベル6になる事が出来ます。レベルが上がるということはファームが早くなるということであり(statsが上がるので)、彼らが良いゲームが出来るようになるというわけです。その時サポートがレベル4やら5だったとしても一向に問題はありません。なぜならサポートのレベルはきゃりーのレベルより遥かに重要度が低いからであり、しかも10分になれば本を読むことによりレベル6にどうせ成れるからです。
N0tailはレーンで出来ることはもうないと判断し、midのt1タワーが押されているのでmidへtpします。これにより、anaがレーンで死んでしまいます。これはAnaにミスプレイだと言えますし、n0tailのミスプレイだと言えるかもしれません。しかし、誰のミスかなんてのは重要な事ではありません。ついでに言うならば、育てたきゃりーがたとえ負けても、彼のせいで負けたというのは間違った心持ちなのです。上手くいかない時は上手くいかないのです。このtpにより、midのタワーは守られ、LGD側はこのタワーの存在により非常に苦しいゲーム展開になります。
Anaはレーンで死んでしまった後、topへtpします。これによりN0tailは自分のプレーを考えなければなりません。自分もtopへ向かい、Spectreを助けるか?それ以上に強いプレーはあるだろうか?
N0tailは、ここでの最善のプレーはbtmレーンをプッシュすることだと判断します。これは非常に難しい判断です。N0tailはここは感覚でプレーすると言っていますが、ここではN0tailの感覚ではbtmレーンを押すことのほうが良いプレーだと判断しました。(大きな理由としてはそもそもManaがあんまりないから、TPで向かってもスキル一個吐けるかどうかのレベルのヘルプしか出来ないからです。)
サポートプレイヤーとして、自分のヒーローを重要視することは非常に大事な事です。topにTPしてSpectreのヘルプをするのもプレーの一つですが、それはSpectreを重要視するあまり、自分のヒーローを殺していることになります。本当にそれがSpectreを助けることになるのか?これは難しい判断ですが、後でリプレイを見て、本当にtopへtpすれば何か変わっただろうか?と答え合わせすることが出来ます。たとえ5ポジのヒーローでも、このゲームにおいて出来ることは沢山あるのです。
献身的なサポートプレーも一つですが、あなたのヒーロー自身の成長を疎かにすると、結果としてチームの負担になる場合があります。サポートもスペースを使える時は使うべきなのです。そのためには、きゃりーに「数クリープくれ」とか、「マナ靴作りたいからちょっとジャングルでファームしてくれ」とか、そういう事を頼むのもアリです。味方に頼みっきりで、自らのヒーローの強さやゲームプレーを疎かにするのは、良いサポートプレイヤーとは言えません。
LGDはOG側のSpectreがファームすることを恐れ、Enchantressにmidを押させます(n0tailが序盤に守ったタワーです。ここにきて効いています)。しかしこの動きはOG側に読まれ、色々なUltを使われて殺されてしまいます。ここでUltを使っても問題ない理由は、このゲームがしばらく均衡状態になるだろうという読みからです。そして均衡状態はOG側のSpectreが育つので、OG側としては嬉しい。なのでLGD側はそれを出来るだけ食い止めたい。しかしEnchantress以外にそれが出来るヒーローがいない。なのでEnchantressにスキルを使っても、その他のヒーローはどうせ戦えない、という読みです。
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チームファイト
N0tailのヒーロー、WWはチームファイトにおいてどう貢献するでしょうか?一番大きな変化を生み出すスキルは主に3番(Cold Embrace)とUlt(Winter's Curse)による貢献になります(1番と2番はチームファイトでも強いですが、主な使用用途は違います)。N0tailの仕事は、味方をヒールし、敵をUltで捕まえて味方のチームファイトヒーローを戦いやすくすることです。このヒーローがいるとLGD側は非常に戦いにくい上殺しやすいので、敵のチームファイトでの最初のフォーカスはWWとなります。
しかしこれはOG側の作戦の一部でもあります。LGD側はWWを殺すためにStormを使う必要がありますが、WWが殺されることによって他のヒーローがプレーしやすくなります。なぜなら、"チームファイトが起こればまずStormがWWへ飛ぶ"という事が既に分かっているからです。
N0tailは上の画像でStormに殺された後すぐにBuybackします。そしてSpectreをヒールし、EnchantressにUltを使います。Ultを使わないとSpectreが死んでしまいます。あんまりカッコいいUltの使い方ではありませんが、このプレーが結局AnaのSpectreにUltra killを生むことになりますし、タワーも取れます。カッコいいスペルの使い方だけが強いプレーではありません。たまにはこういう地味なプレーも最善のプレーである事。常に状況に応じてスキルを使えることが、良いプレイヤーだと言えるでしょう。
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本当に素晴らしいプレーは、地味なプレーであることが多いです。Youtubeに上がるような、見ててカッコいいスペルの使い方よりも、ヒーローを本当に理解し、ゲームを深く理解していくと、地味なプレーにスキルを使うようになっていくはずです。
OG側はチームファイトを行ってCMを殺す事に成功し、Roshanを取ろうとします。LGD側はRoshanに関してはいくつか強い邪魔する方法があります。主にBloodseekerの2番のスキル、そしてETによる1番のスキル、Echo Stompです。この画像ではETのスキルを吐かせないためだけにUltを打っています。これは非常に良いプレーです。このプレーひとつでゲームが決まるほど、本当にヒーローを深く理解した者のみが出来るプレーです。
これにより、
敵LGDがETのstompと共にroshanに突っ込んでくるタイミングを完全にずらしてしまいます。OGの予想では、LGDがRoshanを邪魔するにはこういうやり方しかないというふうに読んでいました。そしてN0tailは、もし自分がETの邪魔が出来るなら、ESとTreantが敵のBSとStormを止めれるはずだと思い、Ultを躊躇なくETに吐けたのです。
Dota 2はこういう個人的技術の読み合いのゲームでもあります。ETは邪魔がしたい。WWは邪魔をさせたくない。ETが邪魔を出来る位置は限られている。なのでWW側はそこの視界を手に入れ、一番イヤなタイミングでUltを吐けば良い。
敵が常にどう動くか、予想してプレーしてみましょう。
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動画ではここまでとなっています。読んでくれてありがとうございました。
この記事に関してGamerzclass様から動画の使用許可を得ました。ご協力ありがとうございました。
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