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「買収弱者の自分は最初からこれをやるべきだった」初めての個人M&Aの振り返り。


いきなりですが、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいという本を読んだことがありますか?

Amazonレビューが1,500件以上つくほど流行り、この本をきっかけに個人でM&Aできることを知った・興味が出たという人は多いんじゃないでしょうか。


私もそのうちの一人で、2024年に個人で初めての事業買収をしました。

結果的に個人M&Aはうまくいったと思っていますが、その工程で多くの悔しさがありました。

その時の経験談を踏まえて、買収弱者がやった方が良いことをテーマで書きます。買収弱者とは以前の私のような「個人&買収未経験者」です。


個人で企業や事業を買収しようと考えている人に何かお役に立ててもらえると嬉しいです。



考えが甘すぎた。50社以上断られる。


TRANBIやBATONZで買収すると決めて以降毎日サイトを見てました。(日本政策金融公庫にも面談行ったが案件なさそうだったので断念した)

売りたい会社・事業がたくさんあることを目の当たりにし「好きな企業を見つけたらいつでも買えそうだな」と思っていました。

が、その考えは大きな勘違いでした。

売主に交渉をお願いするも交渉前に断られる始末。プロフィールが悪いのかなと思い、プロフィールをいい感じに仕上げるもなかなか買収交渉にも行けず。

買収締結までは、買収交渉申込->交渉承諾->面談(1回目)->現地視察&最終面談->買収権獲得->買収締結というフローで進みます。
※買収権獲得とは買収したい人を1人(1社)に絞り込んでもらい、買収締結が進められる状態。

正確な数は覚えてませんが、交渉申込したのが少なくとも50社以上、交渉承諾まで行けたのが5社、買収権獲得したのが2社という感じです。

数値で見ると、交渉承諾率(交渉数/申込数)=10%、買収権獲得率(買収権獲得数/申込数)=1%とかなり低いですよね。

当初思っていたよりも交渉承諾率が低くて愕然としてましたが、面談の数をしていくうちにその理由が明らかになりました。


大切なものは「金」「スピード」以上!


交渉で絶対に聞かれるのが、「買収側は、個人か企業どちらか」「予算はいくらか」「すぐ出せる資金はいくらか」「いつ買収したいか」の4つ。

私はこれら質問に対して以下のように答えていました。

- 買収側:個人
- 予算:その企業の譲渡希望額
- すぐ出せる資金:200万円
- 買収時期:6か月以内

面談はだいたい1hほどで設定されるのですが、数社は上記を答えると「あぁそうですか…」と何とも言えない回答をされ、30分で面談が終わることもありました。

なんとも言えない回答をされた売主は、その後連絡しても返ってこないことも多々ありました。

交渉承諾ももらえなければ、面談もうまくいかない。


悩みに悩んで、M&A経験者や周りの社長やっている人たちに相談するとある売主インサイトの仮説が生まれました。


「個人」で「買収未経験」は弱者。


個人で買収未経験だと勝手が分からず、必要のない細かいことまで聞いてきたり、最後の最後になって破談になったり、さらにはお金が出せない可能性を懸念するとのこと。


当初は「売った後も事業を伸ばして欲しい。大切にしてほしい。」が最も強いインサイトと思ってましたがどうやら違っていたよう。


どうやら売主の多くのインサイトは、「楽に、早く、まとまったキャッシュが欲しい」。


よくよく考えると自分が売る側なら、売るときのことを最優先に考えて、売った後事業をどうしてくれるかは二の次。


さらに交渉時は他に仕事もあるのに、買主が細かいことを多頻度で質問してきたり、売るまでのサイトが長かったり、最後の最後で金銭面でもめるとかは避けたい。


なんで面談時に予算だけでなく、すぐ出せる資金を聞いてくるのかなと思っていたがちゃんとこいつはキャッシュ出せるのか見極めるだったのか。


自分の回答を振り返ると、「買収側」、「すぐ出せる資金」、「買収時期」が良くなかったのが分かる。

- 【×】買収側:個人
- 【〇】予算:その企業の譲渡希望額
- 【×】すぐ出せる資金:200万円
- 【×】買収時期:6か月以内

この4つで自分でコントロールできるところは、「すぐ出せる資金」、「買収時期」。

- 買収側:個人
- 予算:その企業の譲渡希望額
- すぐ出せる資金:譲渡希望額
- 買収時期:ASAP(可及的速やかに。時期は売主のご希望に合わせる)


これに気づき、すぐ出せる金額を譲渡金額と同じにして、買収時期を可及的速やかにに変更したところ、明らかに交渉1回目の売主側の反応が変わりました。それも劇的に。


ただ、個人であることで弱者側には変わらない。


色んなことを試した結果、あることが勝ち筋につながることが分かりました。


「癒着」で差別化するのが弱者の勝ち筋。


恥ずかしながら交渉を進めている時は気づかず買収権を得た後に最後に最後に気づいたことですが、弱者が勝つキーワードは「癒着」です。


癒着と聞くと何やら悪いことをしているように感じると思います。色々な言葉を考えた結果最も伝えたいことに適している表現が「癒着」でした。いや、それしかありませんでした。


私が言う「癒着」とは、「他の候補者を寄せ付けないレベルで売主に自分を気に入ってもらう」こと。


買収権を得た後の面談で、私に絞った理由を聞いた時に出てきた言葉は、「レスや行動が速かった。すぐ会いに来た。」そして「案件だけでなく売主の人も徹底的に調べてくれた。熱い想いが伝わった」の2つ。


これらは他の候補者にはなかったと聞き、「ここまでするあなたなら」という言葉をいただきました。


買収権をもらったあと売主と話した後に分かったのですが、法人の買主は良い意味で機械的で「金とスピードで勝負!」なところが多いようです。


癒着があれば勝てるとまでは言い切れませんが、弱者の頂点には必ず立てますし、売主の中での選ぶ基準に「人」が入っていれば、買収権を得れるくらいランキングが上がります。

個人のM&Aで買収権を得るのは競争です。買収権を得るためには、他の候補者を出し抜いて1番にならないといけません。


弱者は、癒着レベルの営業が勝ち筋になり、それができければ意中の会社・事業は買収できません。

まとめ(過去に戻れるならこれをやるリスト)


交渉前

・TRANBI/BATONZのプロフィールの自分の経歴・実績・スキルが誰もが分かるように書く。(FacebookなどのSNSもチェックされることがあるのでそれも整備しておくと〇)
・興味のある案件は全て交渉依頼をする。
・買収経験のある人、社長業をしている人に話を聞く

交渉時の回答(予算・すぐ出せる資金・買収時期)

- 予算:その企業の譲渡希望額
- すぐ出せる資金:譲渡希望額
- 買収時期:ASAP(可及的速やかに。時期は売主のご希望に合わせる)

交渉開始後

- 即レス
- 即現地下見・直接面談
- 相手の企業・事業・競合、そして売主(人)を徹底的に調べる


断られた案件で魅力的なものはたくさんありました。もしあの交渉がうまく行っていたらどうたったろうとたまに考えたりします。

正直今回の買収を振り返ると、「〇〇をやっておけばよかった」という悔いばかりあります。逆に一歩間違えるともっと後悔が多くて買収して失敗していたということもあったと思います。


世に個人M&Aの実体験の記事が意外とないですが、この記事を見て自分よりももっと賢く買収してもらいたいと思っています。

一人でも多く個人のM&Aで成功してもらえればうれしいなという思いでこれから記事を書いていこうと思います。


ちょっとでも「これは!」と思う部分があれば、ハートマーク押してもらえると泣いて喜びます。



#M&A #起業 #マーケティング #個人M&A #買収

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guty
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