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分析も機械学習もやらない株Botter(シストレ投資家)のおはなし

この記事は2024年マケデコアドベントカレンダー23日目の記事です。

はじめに

はじめまして、chibitaです。
本記事では株式投資にシステムを用いた取引における筆者の考え方、またそれに至った理由や経緯などをつらつら書いてます。
noteの最初で最後(たぶん)の記事でして、読みにくい点などあると思いますが最後まで読んでいただけたら幸いです。

筆者について

筆者は2021年春に本格的に株のシステムトレードを始めました。それまではサラリーマンでしたが、システムトレードに挑戦してみたい!という一途な思いで退職し、猛烈な開発からスタートしました。ただ退職と言っても無謀なFIREではなく「これっておかしんじゃね!?」っていう株式相場の歪みがいくつもあることは前々から勉強していました。万が一、挑戦に失敗したとしても退職前の会社はかなり一流の会社ですし基本仕事もできるので(自分で言うなや…)、また再就職できるだろうとの考えの上での退職でした。

今回記事を書こうかと思った理由は、皆さんに情報を提供して貢献したい…っていうキラキラした感じじゃないです。たぶん承認欲求です、たぶん。

実はマケデコの運営者の方々の中に知り合いがいます。でも素性を明かしたくないので伏せています。Xであげてる月次や年次の損益についても見ず知らずの人から「なんだコイツ、嘘くせぇ」って思われてるかと思いますが、筆者は誠実で売ってるので知り合いの運営者に素性を明かしたら「〇さん!?なら信頼できるっしょ」って言ってもらえるかと思います。誠実で売ってるってのが一番胡散臭いですけど…。

2021年からの資産推移グラフ

上のグラフは証券会社で出せる2021年からの筆者の資産推移グラフです。クソつまんないグラフですよね。よく分析系のBotterがリリース前に承認欲求全開で、バックテストの結果をXで公開するような損益グラフのようです。

2024年の年次損益は+9000万超えとなりました。(FXの利益含み。あと6営業日残っているため、細かい数字は大納会後です)

昨年から倍増しました。増えた理由としては、2022年夏ごろ~2023年の夏ごろまでベンチャーで働いてたんですよね。だから2023年は相場全然見てなくて、Botの調整もしていませんでした。2023年8月末にベンチャー退職後、相場に注力することで利益が増え始め、2024年はメイン手法を工夫したり、筆者にとって儲けやすい相場だったりして利益が増えたのが理由だと思います。(筆者と似た手法の投資家の方も最高益を出しております)

手法ついては後で述べますね。

留意点

本記事によるいかなる損失も、筆者は責任を負いません
本記事は株取引に関する情報を提供する目的であり、投資のアドバイスを目的としたものではございません


システムトレード(株Bot)

さて本題に入りましょう。次は筆者の株式投資における考え方、手法などについて書いていきます。

システムトレードにおける行動原理

この記事を読んで頂いているということは、多少なりともシステムトレードやアルゴリズムトレードに関しての知識があるという方々かと思いますのでシストレに特化した文章となっております。

私の偏見かもしれませんが、まず問いを投げかけたい。

なぜ株のシストレは分析(テクニカル)・機械学習系ばかりなんですか?

いや、わかりますよ。エッジ見つけたら安定して長期間利益出すことできますよね。アビトラみたいに、すぐにチャンスなくなったりしないですよね。わかってますわかってます。じゃあ次の問いです。

その分野でトップ層に行けるんですか?

これです、これ!株式相場にはたくさんの天才達が勢ぞろいです。ましてやテクニカルや機械学習は幾多数多のHF(ヘッジファンド)や頭の良い個人投資家達が既に通ってきている道でしょう。現にyoshisoさんのような方々がうじゃうじゃしているわけです。

その問いに対する筆者の答えはもちろん「否」です。

勝てるわけないんですよ。筆者は全然頭も良くないし、人より理解力劣るし、記憶力ないし… 真向から同じ土俵で戦っても勝てないんですよ。

だから筆者は王道を進んではいけないんです。自分の立場を理解しているんです。自然界で言えばHFやyoshisoさんのような強Botterはライオン、筆者はおこぼれにあずかるハゲタカです。

強Botter(ライオン)と筆者(ハゲタカ)

でもよく考えてください。百獣の王は獲物を綺麗に平らげますか?少しだけ残しますよね?それが相場でも同じことが起きているわけです。一度に大きな利益をとる投資家達は数百・数千円はあまり気にしないんです。筆者のような雑魚投資家にとっては、そこがチャンスなんです。

いつもX見ていて「分析・機械学習系シストレの人たちって相場に寄り添うの好きじゃないんだろうな」って思ったりします(偏見で本当にすみません)。じっと板を見たり、イベント事に反応した相場で何となく取引したりしてないですよね?例えば、日銀会合終了時や決算発表時、マーケット見てますか?実はそこに小さなチャンスがあったりするんですよ。データ分析にめちゃ強いから、逆にそういう小銭稼ぎはしないのかなと思います。

私だって本当はMLBot(機械学習Bot)をまわして毎日稼ぎたいですけど… でもそういう能力がないってわかっているからこその行動原理です。

ここまでで筆者の手法が少額を狙う雑魚投資家だということは理解していただいたかと思います。それをここでは塵積作戦(塵も積もれば山となる作戦)とでも名付けましょう。この塵積作戦に強いのは、皆さまが大嫌いなHFT(高頻度取引)です。

Wikipedia 高頻度取引(HFT)

うざいんですよ、HFTって。注文入れても一瞬で1ティック上に注文入れてきますからね。HFT業者ってアルゴをコロケーションで動かして超高速で取引してるんです。

ずるいですよね…、平等でない。

そんな環境は個人投資家には提供されてるわけもなくHFT業者には到底敵いません。分析・機械学習も行わずHFT業者のような技術や環境もない筆者はライオン達が残した1ミリの肉でも取りにいくんです。それが筆者のスタイルです。

ここで一旦立ち止まって考えてください。既にある程度のエッジになりそうではないですか?
  1.強豪投資家は手を出さない少額の取引
  2.人の手では取引できない(システムトレードでしか無理)
  3.分析・機械学習系のシストレは目につけない

これだけでヘッジファンドやテスタさんのような天才投資家達、またyoshisoさんのような天才シストレやHFT業者の方々を排除できたわけです。大きな利点ではないですか?こうやって筆者は人のいない方向に進んでいくわけです。

そしてこれが筆者のJ-QuantsAPIを使わない理由です。J-QuantsAPIが公開されたらエッジはないんですよ、私よりうまく使える投資家がたくさんいるから。

私生活でも同じです。お正月、お盆に旅行しないんです。混んでるから。子供の平日の休校日がエッジなんです。他にもあります。筆者はテニススクールに通ってますがテニススクールは人気のある土日は高いんですよ。だから行きません。平日の午前中はスクール代が安くて若奥様やマダムとキャッキャ言いながらテニスするんです。大きなエッジでしょ?他人と違うことをするっていうのが筆者のポリシーでありエッジになってるんだと思います。

筆者の手法を詳しく述べることはできませんが、ここまでで大体筆者の考え方やエッジがどんなものか大まかに説明できたと思います。

システムトレード環境

さて、次に筆者のトレード環境を簡単に説明します。
使っているのは家にあるWindowsPCが3台、あとLinuxのVPSが2台の合計5台でBot達を運用しています。Bot達はすべて自動起動、勝手に取引してくれるよう設定しています。

取引するBot以外にもたくさんジョブはあって、引け値をDBに保存するジョブだったり、TDNETやEDINETの情報取得のジョブだったり、その他にも色々な情報をダウンロードしてDBに入れるジョブが定期的に動いています

プログラム言語は大方Python。速度重視のBotはRustで書いてます。またパラメータ変更やBotの停止を家にいなくてもできるようHttpサーバも立てていて、外出時も外からBotの調整・停止できるような仕組みをとっています。

注文API

株式投資ではAPIを提供する会社少なくないですか?知ってる限りでは、カブコムのAPI、立花証券のAPI、あとは楽天RSSと岡三RSSくらいですかね。実はリバースエンジニアリングしたりして(詳細省く)、他にも秘密で提供している証券会社を見つけちゃったりしたんですよ。どうしても興味があったから、その証券会社に電話して聞いたら門前払いでした。

APIを提供しない証券会社はWeb経由で注文を行っています。Web経由じゃ遅くて使えねぇって思うかもしれませんが、筆者の場合かなり最適化していて(且つ自動化していて)、ログイン後のセッション管理までちゃんと行い、取引チャンスが来た時には最後の注文リクエスト(Post)を投げるだけの状態にしているので、一番最速の証券会社だと10ミリ秒以内に注文完了のレスポンスを受け取る感じです。APIと同レベルです。それでもHFTには余裕で速度負けです。

一番使いやすいのはカブコム証券のAPIですね。今やVIPユーザーです。

カブコムVIPユーザへのお礼状

楽天RSSとかカブコムAPIでデータの取り方とかAPIの使い方のコードを記事に載せるっていうレベルと比較すると、筆者のBot達はあまり技術に関しては初心者向けではないかもです。でもまあ仮想通貨に比べたら全然簡単なので中級くらいかな。そのあたりはできて当たり前、忙しい時には1秒に5件の注文(カブコムの制限)、他社ではそれより速度を上げて戦ってる感じです。

トレード手法について

ここまでは筆者の自己紹介や考えを書いただけの文章で、アドベントカレンダーの記事として相応しくねぇな!って運営者から怒られそうなので、トレードアイデアについて少し書こうかと思います。

2024年の損益 (FX除く)

上は2024年の損益をシート上にまとめたものです。見ていただけたらわかるかと思いますが、12月23日までの239営業日中マイナスだったのが11日しかありません。とても安定していますが爆発力がまったくないですよね。これこそが塵積作戦であるが故の結果です。ボラティリティが高くなると儲けやすくなる。その結果が8月5日の急落での+431万です。それ以外は毎日そんなに利益変わらないんです。暗号通貨Botterの方々もボラティリティによって損益が上下するっていう経験が往々にしてあると思うので、理解していただけるかと思います。

じゃあその塵積作戦ってなんだよ?ってなるかと思いますが、さすがにそれは言えません。塵を取られたら積もりません。再就職まっしぐらです。テニススクールの大事なエッジもとれなくなってしまいます。

筆者は証券会社のサイトへのアクセスが多すぎて怒られそうになったことがあります。塵積作戦なので取引をたくさんして利益をあげるのです。ちゃんとBotのログをとっていて、確認した限りはアクセス過多じゃなかったんですけどね。


筆者が本記事でできることといえば、筆者が考えたトレードアイデアの共有くらいかなと思います。下に書いたトレードアイデアは筆者が過去に使った手法ですが、株シストレって分析・機械学習だけじゃないんだ!っていうことをご理解いただけたら本記事の価値があるかもしれません。

トレードアイデアその1(廃棄版)

一つ目はXにてロジックを簡易的に公開した適時開示追随Botです。筆者は2021年から2023年の春くらいまでこのBotを動かしていました。

どんなBotだったか簡単に説明しましょう。

みなさんTDnet(適時開示情報閲覧サービス)はご存じですよね?決算資料や会社の大事な発表資料などが公開されるサービスです。このサービスで重要なニュースや決算が発表されるので、発表後は株価が大きく動くことは簡単に想定できるでしょう。

そこで筆者は思いつきました。「なんらかのニュース(決算含め)がザラ場で発表された直後に最速で取引したら勝てるんじゃね?」 安易な考え方ですね、非常に安易です。頭の悪い筆者は安易ながらBotを作りはじめました。

資料はPDFで発表されます。さて、どうしたものか。PDFの文字をParseして自然言語処理する?決算なら売上高や純利益の数字を抜き出す?数字をPDFから抜き出した後、株価がどう反応するかどうやって予測する?こんな考えに至りますよね。でも既に先行者はいるはずです。株価予測は筆者が得意とするところではありません。

そこでこんな考えに至ります。「俺、2番手でいいや… 面倒だし」

なにが2番手かというと、つまり発表直後に株価が動いた方向っていうのは、他の天才ヘッジファンドの人達が資料を一瞬で判断して売買をしてるだろうという想定のもと、その人達が最速で取引した売買と同じ方向に2番目に売買をすれば良いという意味です。

そんなこんなで、以下のようなロジックでBotを作り上げました。
  1.TDnetを毎分、0秒前後を監視する(例えば13時59分59秒500ミリ秒~14時00分00秒500ミリ秒の間)
  2.TDnet上に、ある銘柄XXXXの発表があったことをBotが検知
  3.Botは銘柄XXXXの発表前の最新の約定価格を取得
  4.Botは銘柄XXXXの板をサブスクライブする(購読・取得する)
  5.銘柄XXXXの発表前と発表後の約定価格の差がある閾値(例えば0.5%)を超えたら同方向の取引を行う
  6.約定後、即座に約定数量の半分の決済注文をいれる

上のロジックのステップ2(TDnetで発表されて)から、ステップ5の取引が完了するまで合計1.5秒くらいです。2番手狙いなので、他の最速投資家が取引するまで待たなければいけないのが難点です。

ニュース(決算)発表後、株価の動きは色々なパターンありました。

パターン1 : これは勝ち確パターンです。発表後に上下することなく一方向にずるずる進むタイプです。発表直後に買っているので、まさにロジックにエッジがあるパターンですが、このパターンは少なかったですね。でもこの場合は数十万儲かることがよくありました。

パターン1

パターン2 : 株価の動きが信じられなくて一旦戻るけど、やっぱり最初の方向に進んでいくという動き。このパターン多かったです。筆者は発表後の株価がどうなるかわからないので、はじめに跳ねたところで半分決済するといったロジックを入れていました。

パターン2

パターン3 : 発表が株価を動かすほどのものじゃなかったので、発表前の株価に戻るパターンです。このパターンもよくあって、よく負けてました。

パターン3

パターン4 : 発表直後の株価が本来の反対をいくパターンです。これはダマしじゃないか?って思うんですが、これもやられるパターンです。決算発表に多かったような気がします。今も忘れぬヤクルト。このパターンでヤクルトで大きめの損失出して以後ヤクルトでは取引しないようにしました。その後、どうやらヤクルトではTDnetで決算発表されてないにも関わらず、決算発表当日の14時に株価が大きく動いたってことがあったようです。決算の時間になったらTDnetで発表がなくとも注文を入れるアルゴがいたのでしょう。ダマしなのか何なのか理由はよくわかりません。

パターン4

こんなチンパンBot(作るのが簡単でたいしたロジックを持ってないアルゴのこと)で勝てるわけないって思いますよね… それが勝てたんです。2021年に始めたころは3番手くらいのスピードでした。筆者よりも遅いアルゴがいたので勝てるチャンスがあったんです。

でも2023年には4~5番手くらいに下がっていました。スピードが遅いだけでとても残念な結果となります。パターン2~4の急騰急落の先端が筆者の取引になったのです。負けが多くなり、このBotは2023年の春に廃棄しました。

こんなチンパンBotが…とお思いになったことでしょう。
筆者はそんなチンパンBotもいくつか持っています。ダメかもしれないけどやってみる精神でたくさんBot作ってトライして、ダメなら新しいチンパンBot作ってというトライ&エラーの繰り返しでエッジを見つけるのが筆者のやり方です。効率悪いですよね、わかってます。でもそれが筆者にとって心地いいんです。

トレードアイデアその2(運用できず廃棄)

次のトレードアイデアをご紹介しましょう。筆者が2024年の10月くらいにトライしてみたくなって作ったものです。Botというより、これは単発で動くジョブみたいなものでした。

これは皆さん大好き「ストップ高」に関するエッジを探求したものになります。「ストップ高」は言わずもがな、翌日も高確率で価格が上がりますよね。ましてTOB銘柄だったらターゲット価格近くまで上がるのでリスクはゼロに近いです。皆、喉から手が出るほど欲しい!でも簡単には買えません。そこには比例配分といって、ストップ高の引けで約定した数量を証券会社各社に配分され、また証券会社各社が独自の配分ルールで投資家に割り当てる仕組みがあります。

筆者は足りない頭で考えました。「比例配分のルールが時間優先の証券会社だったら、1番先に注文を入れれば1単元だけでも買えるんじゃね?」。バカの一つ覚えみたいに、またスピード勝負を思いついてしまいました。

ちょっと説明不足ですよね。ちゃんと説明させて下さい。ここで何を考えたかというと、重要なニュース(例えば公開買い付け)や決算発表が引け後にあった場合、翌日にストップ高になりそうな銘柄がわかりますよね?その銘柄の買い注文を翌日の注文受付時間(各社タイミングが違います)になったら時間優先の配分ルールの証券会社に1番早く注文を入れるんです。

ちなみに証券会社の配分ルールは証券会社のページに記載されてる場合が多く、例として下に配分ルールのリンクを貼っておきます。執行方法、価格優先、時間優先、数量優先など色々ありますが説明は省きます。
  ・ SBI証券比例配分ルール
  ・ 松井証券比例配分ルール
  ・ GMOクリック証券比例配分ルール

数量優先だと注文数量の多いもの勝ちなので、その証券会社にお金をある程度置いておかないといけませんが、執行方法と時間優先なら資金の問題はありません。時間優先ということは1番早く注文を入れた人の勝ちですから、これはチャンスがあるかもしれない!と考えるのが安易な筆者です。

やる気になってしまった筆者は色々な証券会社のサポートデスクに電話をし始めて確認します。
  ・ 翌日の注文受付時間は何時ですか?
  ・ 配分ルールは時間優先ですよね?
  ・ Web以外で注文を受け付けていますか?電話注文ならWebの注文受付時間前に注文できますか?
  ・ 営業店のお客様が優先されるようなケースはありますか?

一通り調べ終わった後にこのロジックが通用しそうな証券会社の口座を複数開きました。まずここまで読んでどう感じますか?めちゃくちゃ面倒じゃないですか?通用するかどうかもわからないロジックのためにサポートデスクに聞きまわって口座まで開くんですよ。よくやったなと思います…。

でも筆者は止まりません。次は口座を開いた証券会社のWeb経由の注文を自動化しなければならないため、各証券会社のWebの仕組みをマスターし始めるんです。証券会社毎にセッションの管理方法だったりCookiesの扱いだったり色々違うんです。それ全部理解するんです。だって狙うは1番ですから。妥協しないバカだから困ったものです。

ここまで作り上げた後、最後にジョブの設定です。翌日の注文受付時間近くになったら自動的に起動して証券会社にログインして、注文受付時間の0.5秒くらい前からPostという名の弾丸(注文)を各証券会社に撃ちまくるのです(つまり買い注文を大量に送る)。普通のライフルでは1番になれません。連射の効く機関銃を用意するためにWebの仕組みをマスターしてたのです。このジョブ設定で完成です。

注文受付時間前の筆者

トレードアイデア2のロジックの要約
  1.引け後に発表されたニュースや決算を調べ、翌日ストップ高になりそうな銘柄を選定
  2.翌日の注文を行うようジョブに銘柄を設定
  3.ジョブは各証券会社の翌日注文受付時間の少し前に起動し自動ログインする
  4.注文受付時間の0.5秒前になったら買い注文を大量に送り始める
  5.注文受付時間の1秒後になったら買い注文を止める
  6.翌日ストップ高になり、引け後に約定したかどうかを確認する

ロジックのご理解いただけたでしょうか。とても単純なロジックですよね。でも作業は面倒で誰もやりたがらないかもしれませんね。

そして結果は予想通り「ダメ」でした。

注文受付時間後の大量の注文は成功して受け付けてもらえました。でも約定してくれないんですよ。1番じゃないのかな?それとも他の理由があるのかな?例えば、お客さんに配分する前に自社内トレーディング部に配分しちゃうとか?そんな理由を証券会社に聞いても答えてくれないことは目に見えてるので、今は諦めてBotは使っていません。

調査や口座開設や開発に時間がかかったのに得られる利益はゼロ円です。良いアイデアを出せなかったってことで自業自得です。

このような失敗談もBotterには必要でしょう。数えられないくらい色々な失敗があって今の安定した収支があるので、やはり失敗してでもトライし続けたいです。

トレードアイデアその3(手動のみ・エッジまだあるかも)

最後のアイデアは裁定取引(通称アビトラ)です。

裁定取引は大口投資家に見つかるとすぐに潰されるので、好まないシストレの方々が多いかもしれません。確かにすぐ潰されますがそこにチャンスがある限り、そのチャンスを拾わない理由がありません。自分がいつも雑魚投資家だということを心に留め、ライオンの残した獲物の肉を食らうのです。

ではどんな裁定機会があったか説明していきます。

皆さんは2023年に始まった「日経225マイクロ先物」をご存じですか?これは「日経225先物」の100分の1ほどの取引単位で、1枚持ってて1ティック動くと50円の損益が動くというマイナーな先物です。この先物がはじまって1年半ほど経ちますが、売買単位が低く手数料が割高なため出来高があまり増えてない商品です。

→ 日経225マイクロ先物について

日経225マイクロ先物についてのViXyZさんのコメント


板の注文枚数も日経225先物ミニに比べたら少なく、ViXyZさんが仰る通りアルゴ以外は「誰もやっていない」と言って過言でないように見受けられます。

んっっ!? 「誰もやっていない」!?

気になる言葉ですね。「誰もやっていない… 誰もやっていない… 誰もやっていない…」

筆者の頭の中でまるでこう聞こえてくるようです 「やってみろよ…

あまりにも売買金額が小さすぎるので、大口投資家からは見向きもされない。これって筆者のスタイルにぴったりハマったものではないでしょうか。まるでライオンの食べ残しみたいな商品に聞こえます。

正直いつ頃からこの商品に目を付けたか覚えていません。でも板を見始めたころには既にマーケットメイクするアルゴはきちんといました。同じ限月の日経225先物ミニとの違いは売買単位だけなので、価格差が出たらそれはもう裁定機会となります。

ではどこに裁定機会があったのでしょう?気になりますよね?
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それはご自分で板を確認して見つけてください!!!
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なんて言ったら今後ずっとディスられそうなので、ちゃんと説明します💦
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裁定機会は先物の引け値にありました。2024年11月5日以前(取引時間が延長される前)は15時10分から15分までクロージングオークションの時間で15時15分に引け値が決まっていましたが、「日経225マイクロ先物」の板は薄いので引けに成行注文が多い場合、引け値が同限月の「日経225先物ミニ」と異なることが多々あったんです。

それはそれは簡単な取引でした。15時15分近くになるにつれて「日経225マイクロ先物」と「日経225先物ミニ」の想定引け値は近づいていきますが、引け直前の5秒前くらいでも50円以上乖離してることもしょっちゅうありました。誰かの裁定アルゴがある程度機能していましたが、それでも引け値が最終的に10円~20円乖離することが多かったのです。

ここで筆者は30枚~100枚くらい(例えば50枚)の「日経225マイクロ先物」と、反対方向でマイクロの枚数の10分の1(例えば5枚)の「日経225先物ミニ」を手動で取引するだけで数千円から一万円をちょっと超える程度の利益を手にしていました。

しかも先物の引けは一日に二回ありました。日中取引の15時15分と夜間取引の朝6時です。

筆者は正直、こんなクソみたいな裁定機会ならすぐになくなってしまえ!って思いながら毎日取引していました。あまりにも単純で簡単過ぎたからです。こういうわかりやすい裁定機会はすぐに潰されるべき(はず)というのが筆者の考えです。

その後、ある時点で何者かが入ってきて、引け前に乖離していた方向と実際の引け値が反対に乖離する現象(いわゆるダマし?)が起こるようになり、ホッと胸を撫でおろしてこの取引を終えました。

その後、2024年12月に何度も同様の裁定機会はありましたが、手を出したり出さなかったりで興味がないので、エッジの公開とさせてもらいました。是非みなさんで価格の是正をして頂けたらと思います。

トレード手法の総括

いかがでしたでしょうか?筆者が考える手法が分析にも機械学習にも当てはまらないものだとご理解いただけたのではないでしょうか。そもそも考え方がちょっとズレてると思われたかもですね。

今回説明した手法は以前筆者が使ったりトライしたものであり、現在使っている様々な手法になんら影響を及ぼさないため公開させて頂きました。

再度の言及となりますが、本記事がシストレの中には機械学習だけじゃなく、ニッチなトレードスタイルの人もいるってことを共有できるきっかけとなればと思います。


おわりに

筆者が本記事を書くにあたって、まず本記事を読んで頂ける方々は何を期待しているか?を考えました。マケデコの記事ということで、プログラムはある程度書ける方々に読んでいただくことを前提とした場合、シストレのやり方とか参考プログラムといったものよりも、技術を使ってどのように利益を増やしていくのか?といったアイデアの方が皆様にとって興味があるのではないか。と考え、本記事は主に手法の例を挙げました。

ただ挙げた3つの例はどれもが単純なロジックであり、塵積作戦ではないことはご勘弁ください。分析や機械学習ではないとお伝えしたものの、筆者の主力Botたちも色々なデータを使いながら取引をしています。本記事では「筆者の投資における考え方」にフォーカスしながら手法をお伝えする内容になりましたが、実際は考え方だけじゃないエッジを所有している自負があり、安定した利益に至っているところがあります。

皆さんもご自分のスタイルに合った投資手法でエッジを見つけ利益を出していることと思います。

最後になりましたが、2024年も年末になり皆様の年次もほぼ確定している頃かと思います。2024年より2025年、さらにはその先へずっと成長できるようお互い切磋琢磨して自分のスキルを磨いていきましょう。

最後までお読みいただき本当にありがとうございました。

chibita

追記

本記事は11月末に収益や細かいところ以外書き終えたのですが、そもそもどのような趣旨で書くべきなのか理解していませんでした。暗号資産側アドカレを主催しているHohetoさんが…

とのことを12月初旬に仰っていました。

そもそも趣旨もわからず本記事を書き始めるのは間違っていましたが、趣旨を理解した後も内容は変更せず、皆さまの興味が少しでも湧くような記事になっていればいいのですが…と願いながら2024年12月23日に公開致しました。

長文、失礼いたしました。


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