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おすすめの本~誤診の解体 診断エラーに潜む認知バイアス~

近年、「診断エラー」は医学的にも社会的にもインパクトのある問題と認識されるようになっており、我々が日々診療にあたるプライマリ・ケアの現場も例外ではありません。

一方で今まで「診断エラー」について学んだことがない方もたくさんいらっしゃると思います。

診断エラーって聞いたことはあるけどよく分からないという方はもちろん、既にご存知の方にもオススメの本を2週にわけてご紹介しています。


今週は後編です。

前編をまだご覧になってない方は、下記リンクからぜひご覧ください。


2冊目は最近出版された宮田、中川医師らによる訳本、

「誤診の解体 診断エラーに潜む認知バイアス」です。


この本は診断エラー領域では知らない人はいないであろうPat Croskerry先生によって記載された「The Cognitive Autopsy -A Root Cause Analysis of Medical Decision Making」の訳本です。


ポイントは以下の2点です。

①    たくさんの認知バイアスについて症例を通して詳細に学ぶことができる。
②    Croskerry先生が長年かけて蓄積した診断エラー学を学ぶことができる。


①「たくさんの認知バイアスについて症例を通して詳細に学ぶことができる。」

この本のテーマにもあるように救急での診断エラー症例を認知的剖検(cognitive biopsy)といわれる方法で来院時から診断時までどこに認知バイアスが存在したかということを詳細に検証しています。現在、200を超える認知バイアス、感情バイアスが知られていますが実臨床に即した形で重要なものにフォーカスを当てて解説されています。私は認知バイアスをなかなか理解できませんでしたがこの本で理解が進んだように感じています。



②「Croskerry先生が長年かけて蓄積した診断エラー学を学ぶことができる。」

Croskerry先生はカナダの救急医でそのキャリアの中で診断エラーを学問として深めてこられた医師であり、最近ではJAMAのViewpoint “The Rational Diagnostician and Achieving Diagnostic Excellence”という内容で認知バイアスやこれからの診断学について述べています。実際にこの本の後半では臨床判断を改善するための戦略がこれまでのエビデンスと彼の知見によってまとめられており非常に勉強になりました。まさにおすすめポイントです。



ご紹介したい内容はもっとたくさんありますが、一読していただいた方が早いと思いますのでぜひ読んでみてください!

みなさんも「診断エラー」という分野にぜひ飛び込んでみてはいかがでしょうか?


文責:會田 哲朗(福島県立医科大学 総合内科)

※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。

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