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ライフキャリアレインボーという視点での総合診療医のキャリア

高齢化率60%の天草からこんにちは!病院総合医チームの松本朋樹です。
家庭医療専門医、在宅医療専門医取得後、「地域に丸ごとコミットする」ため、継承開業を準備中の医師8年目の総合診療医です。
また、学会のダイバシティ推進委員会の副委員長、国際交流チームとして活動しています。

この記事を見ている、ということは少なからず総合診療医のキャリアに関心があるのだと思います。
我々、病院総合医チームはさまざまなキャリアパスを公開しています。
総合診療医は幅広いキャリアパスの選択肢がある、ということは魅力の一つだと思いますが、一方でそれは選択するコストが発生するということでもあります。

またいつか機会があったら述べたいですが、「決断疲れ(Decision fatigue)」という概念があり、選択肢が多すぎると決断することが困難になる可能性が指摘されています。

医師のキャリアの多様化が進む現代で、無数ある医師のキャリアの中から「ロールモデル」を探すという重要性はこれからの時代ではより重要になっていくと思われます。
それぞれの場で活躍する人の話をオンラインで聞くことができるチャンスです!

とはいえ、医師としてのキャリアだけを考えておけば良い、というものでもありません。
今日は「ライフキャリアレインボー」についてお話ししたいと思います。

「ライフキャリアレインボー」とは?

ドナルド・E・スーパー氏が提唱した考え方で、仕事に関わらず人生の様々な局面で訪れる役割を組み合わせてキャリアが形成される、多様なキャリアが積み重なっていく様子を虹にたとえ、「ライフキャリアレインボー」と名前がつけられています。1950年代に誕生している理論ですが、多様なキャリアの選択肢の出現や、医師の「働き方改革」に伴う「ワークライフ・インテグレーション(ワークライフ・バランス)」の見直しに伴い、注目が集まっています。

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引用元:出典:文部科学省 「高校生のライフプランニング」2020年2月19日

一般的には次のライフロールが使われています。
 子供‥親と関わる役割
 学生‥勉強する役割(20代までの教育を受る時期、労働者となっても再度学習することも)
 労働者‥アルバイトも含め、収入を得るために働く役割
 配偶者‥事実婚も含め、配偶者としての役割
 家庭人‥家族の一員としての役割、家事をする役割
 ‥子供を養育する役割
 余暇人‥自分の好きなことを楽しむ役割
 市民‥社会の一員としての役割。ボランティアや地域貢献活動

「ライフキャリア」とはキャリア理論の1つであり、「人生それぞれの時期で果たす役割(ライフロール)の組み合わせ」と定義しています。
キャリアを仕事だけでなく家庭や余暇、社会的な活動なども含めた人生全般から捉えており、「生涯を通しての自分らしさの表現がキャリアである」という考えが、この理論の根底にあるのです。
引用元:日本の人事部「ライフキャリアレインボー」

5つのライフステージ(ライフスパン)

ライフキャリアレインボーには、上で書いた役割の他に、5つの時間軸(ライフステージ)が存在します。
・成長期(0〜15歳)
・探索期(15〜25歳)
・確立期(25〜45歳)
・維持期(45〜65歳)
・解放期/下降期(65歳〜)

この一連のライフサイクルを「マキシサイクル」と呼びます。また、マキシサイクルの中には、成長期〜解放期を繰り返す「ミニサイクル」がいくつも存在しているとされています。

しかし、人生100年時代と言われる現在は、「上記の時間軸だけでは当てはまらない」と考えた方が良さそうです。
その理由も合わせて、次は「なぜライフキャリアレインボーを意識することが大事なのか」についてお話しします。

なぜ「ライフキャリアレインボー」を意識することが大事なのか

いくつか指摘されていますが、医師に着目すると以下の3つが当てはまります。

1.平均寿命の延長に伴う引退後の必要貯蓄の増加
大幅な平均寿命の延長に伴い、定年や早期リタイアを前提とした働き方は変わりつつあります。
医師も、引退年齢の変化や、医局に所属し続けるメンバーシップ型雇用から所属しないジョブ型雇用への変化などその変化は表れています。

引退した後は悠々自適な生活を、という過去のキャリアイメージを夢見ていると、思わぬところで足元を救われるかもしれません。

2.働き方改革に伴う多様な労働条件の必要性増加
医師の働き方改革が推進され、2024年問題と呼ばれるように、実際の取り組みが始まろうとしています。

また、女性医師の働き方も、他の職種同様多様なライフイベントに対応した活用の必要性が説かれています。
全体的に「より効率的」「より生産的」「多様なニーズに合わせた」労働環境を求められる傾向になると思われます。

3.予測できない変化が増える

働き方の多様化、AIの普及、SDGsの推進など、もはや仕事にとどまらず、私達の生活全体を揺るがす変化が目まぐるしく起こっています。
医療の世界も例外ではなく、AIによりどのような変化が起こるか予測できない部分もあります。オンライン診療などはわかりやすいものでしょう。

その中で「仕事」という観点だけでなく、自らの人生をどう生きるのか、という一歩引いた視点が必要になってきています。

「ライフキャリアレインボー」の具体的な記入法

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引用:https://kip-biz.com/career/life-career-rainbow/

まずは、現在の列に年齢を記載してください。

「%」が書かれている欄には、あなたが現在の生活においてそれぞれの役割にどのくらいの時間やエネルギーを使用しているかを記載します。

合計で100%になるようにパーセンテージを振り分けてみましょう。

その後、「%」の右の少しスペースがある枠内に具体的な出来事について書いていきましょう。

さらに踏み込んだ自己分析をしたい人には、下記の書籍がおすすめです。

終わりに

いかがだったでしょうか?
これからのことを考えるには、今までの自分の足取りを把握する必要があると言われています。
多様なキャリアの選択肢がある総合診療医では、キャリアの築き方は様々な方法があります。
自分にあった方法を改めて振り返ってみるのも重要かもしれません。

(文責:松本 朋樹 天草地域医療センター総合診療科)

※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。
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