おすすめの本~頭痛の診かた~
外来診療で遭遇する頻度の高い主訴のひとつ、「頭痛」。
国家試験で扱われるような頭痛以外にも実は多くの種類の頭痛があります。
『頭痛外来専門医が教える!頭痛の診かた』竹島多賀夫著.金芳堂.
本書は非専門医でも分かりやすいように、かつ、実臨床でも役立つように、3部で構成されています。
第1部は症例と解説です。
初めて聞く症例も、実際の検査結果や治療後経過が記載されているため、教科書で一般的な概念について読むよりもイメージが湧きやすいです。また、症例を通して、筆者がどのように考えてその診断に至り、なぜその治療を選んだかについて解説されているため、専門家の思考過程を疑似体験することができます。
第2部では、基礎知識について説明されています。
頭痛診療において、疼痛の機序と国際頭痛分類(International Classification of Headache Disorders:ICHD)を知っておくと、頭痛の診かたが変わります。
現在、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)が公開されており、日本語版が日本頭痛学会のWebサイトで閲覧できます。分類は1~5桁の階層で構成されていますが、一般診療では通常1桁、2桁レベルの診断が用いられると筆者は言っています(下図参照)。より詳しい階層レベルの診断や二次性頭痛、その他の頭痛が気になる方は、ぜひ日本頭痛学会のWebサイトをご覧ください。
一次性頭痛(日本頭痛学会のWebサイトを基に、投稿者作成)
1. 片頭痛
1. 1 前兆のない片頭痛
1. 2 前兆のある片頭痛
1. 3 慢性片頭痛
1. 4 片頭痛の合併症
1. 5 片頭痛の疑い
1. 6 片頭痛に関連する周期性症候群
2. 緊張型頭痛
2. 1 稀発反復性緊張型頭痛
2. 2 頻発反復性緊張型頭痛
2. 3 慢性緊張型頭痛
2. 4 緊張型頭痛の疑い
3. 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
3. 1 群発頭痛
3. 2 発作性片側頭痛
3. 3 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
3. 4 持続性片側頭痛
3. 5 三叉神経・自律神経性頭痛の疑い
4. その他の一次性頭痛疾患
4. 1 一次性咳嗽性頭痛
4. 2 一次性運動時頭痛
4. 3 性行為に伴う一次性頭痛
4. 4 一次性雷鳴頭痛
4. 5 寒冷刺激による頭痛
4. 6 頭蓋外からの圧力による頭痛
4. 7 一次性穿刺様頭痛
4. 8 貨幣状頭痛
4. 9 睡眠時頭痛
4. 10 新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)
第3部は、実臨床で役立つアドバイスが記載されています。
問診のコツに始まり、食事指導・生活指導のコツや対処が難しい場合の対応について詳しく解説されています。個人的な印象として、食事・生活指導が苦手な医師が多いように思います。どちらかと言うと、医師は症状を緩和してあげるために薬を追加しがちですが、“処方”以外にも治療の選択肢を持っておくと、診療の幅が広がると思います。
文責:平山 果歩(自治医科大学附属病院 総合診療内科)
※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。投稿者と出版社あるいは著者との間に利益相反はありません。
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