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【 想像力と創造力 】
最近、偶然見たテレビ番組で著名な経営者の方が仰っていた「Purposeパーパス」という言葉が頭の中から離れずにいます。
ビジネスにおいて、会社および企業の存在意義を意味する用語だと認識していますが、
これからはそうした「組織」だけではなく「個人」にこそ当てはまる時代になっていくのでは?というような内容だったと思います。
私の職業は「ソムリエ」です。
強く憧れを抱いた若き時代に想像したソムリエの姿は、
すでに完成されたワインを、最大限の付加価値を付けてお客様へサービスし、いかに満足していただけるか。
これまでは、当時思い描いたそんな姿、つまりそれこそが自分の存在意義だと信じて疑わず、日々従事してきました。
各ゲストの好みのワインを熟知し、飲み頃、合わせる料理、温度、グラスの形状、必要な時だけテーブルに現れるゲストとの心地よい距離感など。
そうしたサービスが、スタッフの一員として最大限のホスピタリティだとも考えていました。(もちろん、お店のスタイルも関係していると思います)
しかし、現在は依然として「緊急事態宣言に伴う飲食店への酒類提供禁止要請」。
私の勤務するレストランでも、ワインをはじめとするアルコール類の提供が叶わない状況が続いています。
ソムリエとしては絶体絶命のピンチに立たされているわけですが、こうした状況下でも下を向いてばかりいられません。
自分はソムリエとして何ができるだろう?
組織へどのような貢献ができるだろう?
悩みに悩んだ結果が、オリジナルのノンアルコール ペアリングでした。
そう、近年その需要の高まりを自身も感じていながらも、なぜか背を向けてしまっていた分野です。
しかし驚いたことに、一歩足を踏み入れるとそこには、とても新鮮な世界が広がっていました。
ソムリエも、料理人やバーテンダーみたいに“オリジナルの味”が創れるんだ!ということに、 今さらながらに気が付いたのです。(お恥ずかしい限りです、、)
私はソムリエ資格取得後に調理の仕事もしていましたので、その経験も活きていますし、(過去記事はこちらから)
誰もが少し前までは想像し得なかったこの事態になったからこそ、新たな創造が生まれた瞬間でもありました。
「ワインが飲めなくても必ず伺いますよ、だって、あなたに会いたいから」。
ゲストから頂くこのような一言が原動力となり、私は今日もまたダイニングに立って、笑顔で皆さまをお迎えするのです。