日本の防空環境改善の為のT-4後継機の活用について(T-8構想)
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現在、自衛隊の中等練習機であるT-4の更新時期が近づいてきているとされている。こうした中で、自衛隊のT-4後継機を練習機としても邀撃機としても運用可能であるように国産開発することを提言する。
現在の日本は、中露の航空機による日本近隣空域飛行の対応の為に行われる対領空侵犯措置によって、F-15やF-2などの戦闘機の貴重な寿命を擦り減らしている状態にある。また、今後は無人機等への対領空侵犯措置が行われることも増えるであろうことも考えれば、日本の防空体制は危機的状況にあると言えるだろう。
私は、この事態の解消の為に、主力戦闘機以外を用いて対領空侵犯措置を行う代替体制を構築する必要があると考える。
この代替体制として将来的に有望視されるのは、無人機の活用である。しかし、無人機を活用すれば低費用で対応することが可能になるものの、これを実現するにはまだ技術が足りていないため、現状の危機を打破する為に短期間で導入することは困難だ。
従って、代替体制の構築は、有人機を以てする必要がある。
だが、日本は現在F-3という新型有人戦闘機を開発中の身であり、その中で新たに邀撃戦闘機を開発するとなると、F-3計画に悪影響を与える可能性がある。
そんな中で、現在の技術で可能かつ既存開発計画に影響を与えずに代替体制を構築する方法がある。それが、T-4の後継練習機を国産開発し、練習機としても邀撃機としても運用可能にするというものだ。(以下、この構想の事をT-8構想と呼称する)
T-8構想のように、練習機を戦闘機としても運用可能であるように開発するといった例は、実際に過去にもT-2とF-1の関係などのように存在するものであり、別段突飛な発想という訳ではない。現在の航空自衛隊でも、F-15やF-2にはそれぞれ複座型が存在し、これを高等練習に用いるとともに、有事の際には実際に実戦投入されるという事になっている。
また、練習機を邀撃機としても運用可能にする利点として、戦闘機が不足した際に、T-8を戦闘機に転換することにより補填が可能な点も大きい。T-8は練習機として開発する為、最終的な生産数は200機を超えることが想像できる。これは現有戦闘機総数の300機に迫る数でもある。もし戦闘機に事故が起きたり墜とされたりしても、T-8があることによって余裕が出てくることはこれ以上言葉を尽くさずとも分かる事だろう。
さらに、T-8構想において置き換える予定のT-4練習機は、既に35年間程稼働している、いわゆるおじいちゃん機であり、実際に後継機をどうするかという話も上がっている。これを置き換えるのであれば、既定の方針であるとも言えるし、なかなか実現性のある案であり、短期から長期に亘って期待を持てる案と言えるのではないだろうか。
T-8 仕様案
以下に、私の思うT-8の姿を具体化共有する為に、想定する性能を記載する。
動力:XF-9実用化型二発(F-3と共通化する事により将来的なコスト削減を図る)
被探知性:低コストに抑えた限定的なステルス性能
電探:戦闘機用電探を搭載可能なレドームをもつ。必要に応じてレーダーを設置する
兵装:吊下装置をもつ。必要に応じて増槽や空対空誘導弾を装備する
速度:最高速M2.5 超音速巡航は、開発目的が邀撃機のため狙って実現する必要はない
機体:大凡小型機と呼べるサイズ。形状はATD-Xに似る
戦闘行動半径:200海里以上
座席:タンデム式。後部座席部分をモジュール化し、練習機として運用する時は練習座席モジュールに、戦闘機として運用する時は戦闘処理装置モジュールに換装することにより迅速な用途転換を可能とする
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