25年ぶりに「やめねぇで,いがった」を読み返してみた
コロナの影響で自分の時間が多く取れるようになり、1995年1月1日に発行した「やめねぇで、いがった」を25年ぶりに読み直してみました。
本を読んでいるうちに、スキーを始めたきっかけや、高校・社会人と現役時代の事を思い出す事が出来て、「今も継続して出来ている事」や「忘れてしまっていた事」を改めて気付かせてもらいました。
この本を出版したきっかけは、3度目のオリンピックのシーズン開幕前に「もしオリンピックに出場出来なければ引退だし、スキーを辞めて今まで経験した事やお世話になった人の事を忘れてしまうのが嫌だな~と思い、大学ノートに書き残そう!」と書き始めてシーズン前に書き終えていました。
そして金メダル獲得したら本を出版しないかと言う話が来て「大学ノート」を見せたらそのまま本になってしまいました。
その大学ノートの一番最初に書いていたのはオリンピック金メダルチームの補欠になった時の悔しさなどの本音が書いています。
この頃の気持ちを忘れない様にnoteに残しておこうと思います!
1.補欠
オリンピック金メダルチームの補欠を経験して、すごく悔しい思いをしましたがそのおかげで「相手の立場になって物事を考える」と言う大切な事を学びましたし、「自分は1人じゃ無くたくさんの人に支えられスキーをやっているんだ」と言う事を知る事が出来たので、自分は金メダル獲得よりみんなのおかげで補欠を乗り越えられた事が自分の財産になっています!
2.再スタート
復活をかけた全日本選手権で金メダリスト3人を抑えて優勝出来たのは「家族や自分を応援してくれるみなさんのおかげ!」でした。
後半クロスカントリーでつらくなった時に自分を応援してくれている人の笑っている顔が頭に浮かんできて「ここで頑張ればみんな笑顔になる!喜んでくれる!」と思ったら不思議な力が出たのを今でも鮮明に覚えています!
それと補欠を経験する前は、いつの間にか「日本選手には負けてはいけない」日本の試合で勝っても「負けなくて良かった」と結果ばかり気にして「スキーを楽しむ!」と言う事が無くなってしまっていた自分に「飛べる喜びや走り切った時の満足感」を思い出させてくれました!
3.小平先生との出会い
「恩師とはこう言う人なんだ」と言い切れるぐらい熱血指導をしてくれた小平先生との出会いに感謝しています。
自分も小平先生の様に一人でも多く「阿部さんと出会って良かった!」と言われる様に生きて行きたいと思っています!
4.母との別れ
自分にとって母親との別れは人生で一番辛い事でしたが、振り返ると母親がいなくなったおかげで自分は強くなれたような気がします。
いつも迷ったり悩んだりした時には天を仰いで母さんの事を思い出していましたし、いろいろつらい事があったけど最後に自分を飛ばせて走らせてくれたのは母さんの力だったのではないかと思っています。
5.上杉先生との出会い
高校に入学して全く良い成績が出なく高校2年で停学なった自分に、キャプテンを指名してくれた上杉先生のおかげで「自分の行動に責任を持てる」様になりました。
そして高校でスキーを辞めて実家でトラックの運転手になるつもりだった自分に就職先を探し出してくれた事に本当に感謝しています!
上杉先生が就職先を見付けてくれなければオリンピックの金メダルはなかったと思います。
6.社会人になる
社会人になり1人での練習で頑張っても褒められない、サボっても怒られなくなり、その頃から練習やっていると「もう一人の自分」が出てくるようになりました。
そしてもう一人の自分に怒られたり褒められたりして練習を頑張っていたことを思い出しました!
7.早坂さんとの出会い
会社に入って早坂さんと出会い、結果ばかり気にする自分に「やる事をしっかりやっていれば結果は後からついて来るんだ!」といつも言われたおかげでしっかり身につきましたし、海外での生活などたくさんの事を学びました!
8.カルガリーオリンピック
自分にとって初めてのオリンピック出場はカルガリーオリンピックで、その時の目標が「オリンピックに出場する!」だったので、代表メンバーが決定した時点で目標を達成してしまい、大会の時には選手村ですっかりミーハーになったのを思い出しました(^^;
9.結婚を反対され
自分はオリンピック後に結婚しようと思っていましたが、親に結婚を反対されて結果を出すために意地になり練習をし過ぎて失敗しました。
でもこの失敗のおかげで練習だけやっても強くなれないんだ「練習、休養、栄養、メンタル」すべてが必要だと言う事を失敗から学びました。
ひとシーズン棒に振りましたが翌シーズン飛躍的に成績が向上しましたよ!
10.結婚
親に結婚を反対された1人の選手の為に、実家まで来てくれて親を説得してくれた会社の上司(池上さん、早坂さん、菅野さん)には本当に感謝しています!
11.成長(オリンピック代表決定前に書き終えてシーズンを向かえました)
この時にはまだ金メダリストになれるとは思っていませんでした。
12.3度目のオリンピック
オリンピック前年に「鼻孔郭湾曲症」を治すために鼻の穴を広げる手術をしたおかげで走力がアップしましたよ!
そして3度目のオリンピックは結果より自分の力を出すことだけ考えていました。
13.リレハンメルオリンピック個人戦
個人戦の前半ジャンプで14位と出遅れてしまい、後半クロスカントリーは最後の試合になるかっもしれないので「笑って走るので観てて!」と嫁さんと約束したのを思い出しました。
そして終わってみたら選手生活の中で一番いい走りが出来た事は自分でも信じられなかったです!
14.金メダルへのプレッシャー
団体戦のメンバーに選ばれて試合が始まるまでの緊張した時間はすごく長く感じました。そして講演等で何度も前半ジャンプの映像を観るんですが、その度に当時のプレッシャーを思い出して心拍数が上がりますよ(笑)
15.日の丸
表彰式の日の丸の写真はチームメイトのワックスマン(ベッツィ)が撮ってくれたもので自分の宝物です!
大学ノートに書いた最後の言葉をこれからも忘れない様にしたいと思います!
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