異形と倒錯とデュエル・マスターズ
簡単ッッッ!!簡単ッッ!!!(挨拶)
世間ではハチワレが力に吞まれ騒然となっている折、私は「異種族化」といふものに思いを馳せていた。
まあ単純に『不可逆的に別の生き物と化し暴走すること』くらいのくくりでもいい。本稿で述べたいのはそういう話だ。
さて、皆様は「デュエル・マスターズ」というカードゲームを御存知であろうか。そう、あの頃コロコロコミックで読んだことあるであろうあのなんか怖い漫画、あのカードだ。
非実在青少年に一切容赦がないことで有名な松本しげのぶ先生の鬼気迫る筆致で描かれる数々の苦難、それでも立ち上がり前に進み続ける主人公たちに心打たれた実在少年たちも多いことだろう。
実はこのカードゲーム、「堕ち」が非常に多い。
「漫画版でもなんか主人公の親友が悪落ちしてなかったっけ」と思ったあなた、甘い。
デュエマの「堕ち」、その真骨頂はカードゲーム側のほうにあるのだ。
ちょっと集めた人ならご存じだろうが、大体のカードには「フレーバーテキスト」というものがある。
それは例えば描かれたキャラクターの独り言だったり、その人物がたどる運命を示唆したものだったり。これをつなぎ合わせることで見えてくるのが「背景ストーリー」だ。
デュエマの背景ストーリーは毎年…そう毎年ごとに異なる話が展開されており、その中には当然悪の勢力だって現れる。現地の生き物を洗脳したりあれやこれやして手勢に加える連中も少なくないのである。大体の場合、それは特殊な種族を得ることで表現されている。
というわけで、本稿ではデュエマの背景ストーリーにおける異種族化を振り返りつつ、エロ二次に使えるかどうかも併せて考えていこうと思う。ウィザーズ(デュエマ作ってる会社)はエロ同人作って売ったら超怒るらしいので、あくまで非商用とか個人利用の範疇にとどめようね。
2002~2007
・ゼノ・マンティス
森を荒らす邪悪な昆虫。どうやら闇のワームに取り込まれている(これから取り込まれる?)らしく、どちらにせよ平和な森は地獄に変わるようだ。
記念すべき最初の異種族化…と呼ぶには微妙(なにせ複合種族という概念すらなかったころである)だが、ともあれ邪悪な力に呑まれているのは確かといえる。
黎明期のカードということもあって、実際の性能は残念ながら絶望的。しかも当時の闇文明にこいつをブロックできる奴はほぼいない(いなくはない)というオチまでついている。あるいはハナから制御する気もなかったのか。
竿役とするにはやや作画コストが大きいので、「森の用心棒の力を奪ったワーム」とかそういう方向で設定だけ流用して竿を作るのが良いと思われる。《卵胞虫ゼリー・ワーム》とかも同じ弾だ。調べてみ、飛ぶぞ。
・グランド・デビルに取り込まれる
おそらく体系化されたものとしては最初。闇/水文明に暮らす悪魔たちが他種族を取り込み、異形の体と強い生命力を得た姿である。当然体の主導権を握るのは悪魔。
…それだけである。実際の性能としてはサポート種族におんぶにだっこ、そこまでやって行えるのはネチネチとアドバンテージを稼ぐことばかり…という有様。そのサポート自体が化石同然(しかも絶版)なのも相まって、構築・カード収集両面でかなりデッキを組むのが面倒くさいテーマとなっている。
ただ「寄生乗っ取り→シームレスに竿役に移行」という動きができるのは二次エロ要因として非常に強い。女の子のペットとかを取り込ませるといいかもしれない。…女の子本体を取り込む?
アリだな。
(みんな大好きアルカディアスが闇に堕ちた《魔聖デス・アルカディア》がこの辺で登場するが、異種族化とするには微妙なラインであるため割愛。追加された種族がグランド・デビルだからというのもある。)
2008~2013
・オリジン化
現代の種族に"アーク"なるアイテムを埋め込んで、古代生物であるオリジン族の依り代や尖兵とする。
基本的にはオリジン側に主導権があるようで、グランド・デビルが逆に乗っ取られた記録もある。
意匠も基本的にそちらが優先されるため、いわゆる"名残"のようなものはあまり見られないことが多い。「古代人にされる」ってあまり見ないジャンルだと思うのだが、どうも影が薄い感がぬぐえない。純オリジンと見分けがつきにくいからだろうか。それはそれで無個性化の派生として使えるかもしれない。
(この間に過去クリーチャーの意匠を備えた「エイリアン」という種族が登場しているが、世界線によって「過去の英雄がエイリアンとして戻ってきた」「エイリアンが過去の英雄の力を得た」と差があるため割愛。)
・アンノイズ化
四角錐"トライストーン"を埋め込むことで、アンノウン派閥の傀儡たる奉仕種族・アンノイズに変える。体の色が抜けたり意匠が追加されることで、同派閥の特徴である「白地」か「虹色のライン」を元クリーチャーに足す形になっているものが多い。思想ならびに言語システムも独自のものに上書きされるらしく、元仲間の元に送り込まれた《ハッチャキ》は意☆味☆不☆明な言語を口走りながら攻撃を始めたという。といいつつ後のカードでは普通に喋るアンノイズもいたので真偽は不明。原生クリーチャー側の言葉を覚えたのなら、「あなたのお友達にトライストーンが刺さってたりしませんか」みたいなホラー展開に使えるかもしれない。
なお感情を取り戻すと自力でトライストーンを引き抜くことも可能。抜けたストーンは逆に感情が宿って動き始める。感情を消した(引いた)ぶんの揺り戻しなのだろうか。
・オラクル入信/神格化/遊撃師団堕ち
矛盾思念統合存在「ゼニス」を信仰するカルト宗教。「感情のない≒争いが起こり得ない世界をもって完全な平和とする」という原初のゼニスの思想に従い、余計な感情を捨て世を停滞させ続けることで永劫の平和を保とうとした集団である。もうこの時点でろくでもない。それでも結構な勢力となっており、2013年度ストーリー開始時点では「まともにやりあえるのは反社だけ」という割と絶望的な状況に陥っていた。
彼らの時代においてはもうゼニスは現存していないため、「オラクリオン」または「ゴッド・ノヴァ」といった存在を神として崇めている。ノヴァの中には過去の英雄たちも一部含まれており、彼らも感情無き御神体として戦場に現れたりするのだ。絵本で見た憧れの英雄に戦場でレイプされてるうちに、自分もだんだん感情が希薄になって…といった堕ち展開がベターだろうか。実際には割と俗物的な教徒も少なくなかったが。
なお本編では対抗勢力たる自由主義的反社会生命体たちとの和解を経てある程度丸くなったオラクルだったが、「そうでなかった世界線」も存在する。
それが「遊撃師団の世界」、あるいは「水晶の華の世界」である。詳しくは後述。
2014~2019
・龍化
14年度の舞台である「ドラゴン・サーガ」の世界ではその名の通りドラゴン至上主義がまかり通っている。世の理単位で。
世界には龍の力そのものたる「龍素」が満ちており、強い生き物は自然とドラゴンのかたちになっていく。やや暴論だが「DS世界のクリーチャーの暴走形態はみなドラゴンである」ともいえ、実際に主人公たるグレンモルトやその父親の龍化暴走態が登場している。
なんなら意図的に龍変化するやつまで登場しており、「ドラゴン=強い」の図式は彼ら自身もよく理解しているのだろう。ファンアートの多さに定評のあるDSヒロインたちを邪悪な龍に変えるもよし、モルトを暴走させてヒロインの大事な部分をブチ壊すもよし。比較的オーソドックスな性癖であるからこそ、龍化には無限の可能性が詰まっている。
・侵略ウイルス感染
悪の天災科学者ギュウジン丸の製作したウイルスにより、欲望を増幅させられ「侵略者」となった状態。基本的には好き勝手に暴れるが、派閥によってある程度欲望の発露に方向性がある。「音速/轟速」であればバイクに乗って走り始めるし、「奇天烈」であれば賭けを行いながらゲーム感覚で暴れる。体のどこかに「侵略マーク」が浮かぶのも特徴であり、"堕ち"としては非常に分かりやすいだろう。特に音速/轟速は暴走族風味であり、ライダースーツとか着せて胸元に侵略マークを着けた堕ちイラストがちょくちょく見られる。ちょうど前年度に都合よく爆乳火文明女が出てたからな…。
また、派生として「S級ウイルス」、「最終侵略ウイルス」も存在する。
前者は単純な上位種。「不死」「宇宙」「原始」と分かりやすい堕ちモチーフが揃っており、特に原始は「3より大きい数を理解できない」という凄まじい知能デバフがかかる。その手の無様ものが好きな方にはお勧め。
後者は感染すると問答無用で所属勢力を裏切って勝手に同士討ちを始め、致死量がまわりきると死ぬという危険極まりないもの。エロ二次には向かない。無茶言うな。
・イニシャルズ化
侵略者たちを利用した策略の果てに蘇った破壊神ドキンダム。彼が"文字"を与えた怪物たちがイニシャルズである。「禁断文字」なる独自の文字が周辺に浮かんでいるのが特徴であり、逆に言えばそれ以外は結構多様性が云々…要はまとまりがない。目的なども直属のマスター・イニシャルズに準じているが、最終的に世界を滅ぼすつもりなのはみな一緒である。「今週の怪人」くらいの感覚で見るとなんとなく情けなさが感じられて、無様エロの文脈に持っていけるだろう。
余談だが禁断文字はいわゆる換字式暗号であり、アルファベットや数字、記号に対応している。解読できれば、カードイラストに隠されたメッセージとかもわかる…かもしれない。エロ漫画の背景に何か仕込むときとかにも使えるだろう。
・凶鬼改造
この世界線での闇文明はやたらと広い。《暗黒の太陽》から放たれる有害な光を浴びて凶器を生やす森。貴族階級がどこからか連れてくる生き物たち。他では用意できないような贅沢な素材たちを、闇医者軍団が適当に組み合わせることで生まれるのが「凶鬼」である。具体的に「凶鬼になった」と明言されている存在はいないのだが、「明らかにほかの文明から連れてきている」「脱走者が出る=不本意」など明らかにそうらしい要素は散見される。怪人化シチュとしてはこれ以上ないくらい絶好のモチーフであり、特にグロ寄りの改造ものがやりたい人におすすめ。
余談だが、「凶鬼ではないが闇文明に改造された存在」や「闇に汚染された別文明の戦士」もこの時期に登場している。カードリストをくまなく探してみよう。
・オーラ化
水文明・闇文明が共謀して起こした事件。水側の主であるマスター・ギャップは「永遠の命」を求めていた。そんな彼が辿り着いた結論こそ、「生物をデータ化して保存する」というもの。ドラゴンのデータから生まれた《Code:1059》によって自然文明の生き物たちは実験的にデータ化され、実体のない存在=オーラになってしまった。外見としてはだいたい「グリッドの入ったローポリ」といった感じ。エロに転用するのは難しいかもしれないが、憑依のための下準備としては使えるだろうか。
・デモニオ化
明言されているのは《アンダケ童子》のみ。デモニオ…というか鬼札王国は基本的に「倒した勢力を配下にして次以降の相手に差し向ける」やり口を中心としており、おそらく本隊であるデモニオたちもそういう存在である可能性が高い。アンダケは元々別の配下勢力の奴であったが、組織ごと粛清される流れになったことで離反し、デモニオ本隊に合流した。だがそんなコウモリ野郎を鬼札が許すはずもなく、待っていたのは無慈悲な脳改造…。アニメや漫画でも洗脳で配下の「鬼」を増やしていたので、気になる方は書店とかで探してみよう。えっちな女幹部もいるぞ!!
2020~
・ディスタス/ディスペクター化
謎の球状存在《龍魂珠》/《鬼魂珠》によって作られた存在。歴史から引き出され実体化した過去のカードたちの肉体をツギハギしたり補うことで産み出される、自我のない怪物である。
ディスペクターは複数体のクリーチャーをジッパーやらビス留めやらで強引に(可能な限りそれらの特徴を毀損する形で)合体させて、一体の生物として起動させる。元クリーチャーの魂は中に閉じ込められており、倒せば解放される…が、製造方法の都合で「命が二つある」というクソ仕様になっており倒すのは極めて面倒臭い。接合部分をバラバラにすると早い。基本的には「強敵」としての扱いがメインであり、女クリーチャーを使用した異形ディスペクターは割とモブ同然の扱いであった。幸い合体法や命名規則、色ルールなどは結構きっちり定まっているので、オリジナルの合体を考えてみるのもいいかもしれない。
ディスタスはクリーチャー一体を利用した奉仕種族であり、不完全な部分を陶器的なもので補っている。これもやはり毀損趣味が強く出ており、元クリーチャーが得意だった部分が欠けていることが多い。表情こそ豊かなものの例によって言葉を発したり感情を表す様子は見られず、「ササゲール」能力によってディスペクターを呼び出す補佐を行いながら自壊していく。
《アリス-1》のフレーバーテキストに登場している《テスタ》は、元のアリスともども先述のオラクルと戦っていたアウトレイジの一人。何の因果か彼だけ五体満足で復活しており、尊敬してた人も戦友もライバルも皆ディスペクターかディスタスとして暴れまわっているという地獄みたいな目に遭っている。二次創作ではない、れっきとした公式によるテス虐である。覇王に心を救われたあたりでこの時空のテスタはフェードアウトしており、彼がどうなったかは定かではない…
割と元気そうだったわ。
しかもなんかアリス自我取り戻してねえかこれ。
というわけで、ディスタス状態からでも頑張れば自我を取り戻すことは可能なようだ。ひんやり陶器ボディーで致したい時におすすめ。
・メカゴッド化
先述のオラクルたちの後日談。他者を取り込む機械仕掛けの神々が、オラクルたちの信仰心を利用して取り込んでしまった姿。カードに描かれているのは九割が機械神で、取り込まれた人は真ん中あたりにちょこんと上半身を出しているだけである。いわゆる生体ユニットものであるが、一応服はそのまま。とはいえ脱がしてもあまり違和感はないだろう。カップリングものならGガンダム最終回をやってもいいかもしれない。公式は「俺たちの歌を聴け」で戻そうとしてるけど。
・水晶華化
別世界のオラクルである「オラクル・セレス」でみられる現象。
蠅の王《タブラ=ラーサ》がエイリアンのあたりで介入してきた世界線であり、彼(彼女?)は精神操作能力によって
・ゼニスを掌握し当時の主人公陣営にも精神干渉をかけたことで総取り
・アウトレイジも根絶
・さらに彼ら全員を教徒として洗脳し華の材料にする
・調子乗ってきたツラトゥストラも制裁
と暴虐の限りを尽くし続けてとうとう世界全てがオラクル、ひいてはタブラの信者となってしまった。
そんなタブラ神が力を得る手段として用いていたのが「水晶の華」。クリーチャーたちの体そのものを一輪の華に変え、純粋な無色マナを吸い上げるシステムである。どちらかといえば物品化とか結晶化というべきだろうか。乳房の意匠とか残したり全裸の女の体から結晶が生え始めるイラストとか挟んでおけばいい感じにエロくなるはず。
で、これはゲーム的には「マナゾーンに裏向きで置く」という処理になっている。裏向きのカードは無色で1マナを出すカードとして扱い、持ち主はいつでも中身を確認してよい。
タブラはこの裏向きマナから3マナ分を引き出せるようになっており、これを大量に溜め込めば怖いものなど何もない。
ないはずだったのだ。
【今回のまとめ】
お気づきだろうが、今回は独自考察や「~がいいかもしれない」という書き方が多い。ほぼ全部そうである。
そもそもデュエマで堕ちイラストなんてほとんど描かれないからだ。
異種族化は結構ニッチな特殊性癖であり、いまだスケベ分野において未開拓要素が多いデュエルマスターズ界隈では肩身が狭いと言わざるを得ない。まだ人々は、有名絵師のイラストで美少女擬人化したドラゴンたちのちょっとエッチなファンアートばかり描いている。
それは結構なことであるし、私だって大きな声じゃ言えないが彼女たちにお世話になった晩もないわけじゃない。
だが、忘れてはいけない。
デュエルマスターズは「クリーチャー」を操るゲームだ。
人々がどんなにヒトメスにうつつを抜かそうと、異形の怪物たちから逃れることはできないのだ。
龍の角や尾を隠せない流星アーシュのように、お前たちの推しもいずれは怪物へとなり果てることであろう。ゆめゆめ忘れることなかれ。
…私の推し?
ヒビキ。
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