システム39と旅した10年 vol.6 「お客様に聞いた!システム39開発秘話 エン・ジャパン株式会社 高橋淳也」
このnoteについて
このnoteは、ジョイゾーを代表する対面開発サービス「システム39」が2024年6月30日に10周年を迎えることを記念し、スタートした連載企画です。
システム39とジョイゾーが歩んできた10年を振り返りながら、これまでお世話になった皆様への感謝と、これからの10年に向けたヒントを探していきます。
前回のnoteはこちらです!
今回のテーマは「お客様に聞いた!システム39開発秘話」
ついにシステム39と共に歩んできたお客様とのお話を皆様にお届けします。今回は日本ノーコード大賞と日本DX大賞において3部門を受賞されたエン・ジャパン株式会社の高橋淳也さんにお話をお聞きしました!当時システム39を担当したジョイゾー代表取締役社長の四宮靖隆との対談で高橋さんのシステム39秘話を深掘りしていきます。
「時をかけるExcelからの脱却」kintone導入の背景
四宮靖隆(以下四宮):高橋さん、お久しぶりです。
高橋淳也さん(以下高橋):お久しぶりです。四宮さんにこのオフィスへ来ていただくのは実は二回目ですよね。
四宮:そうでした、システム39を利用していただく前に、事前MTGとして来させていただいたんですよね。
高橋:そうです、そうです!そして実は、この部屋も当時お打ち合わせをした会議室なんです。思い出しながら予約してみました。
四宮:なんと、そんな場所を予約していただいているとは…!
改めて、6年ぶりにここへ訪れることができたことが、とても感慨深いです。
四宮:では改めてkintoneを導入することになったきっかけについて、高橋さんにお聞きしたいです。
高橋:少し長い話になります。kintone導入の背景が複数あるためです。情報システム部門と現場のスピード感の違いも背景の一つでした。
私が所属する「エン転職」の事業部で5年で売り上げを4倍にするという事業目標が立ち、その実現に向けて仕組みを作っていく必要が出てきました。情シスを含め、エンジニアは社内にいます。一方、急激な事業拡大のため開発案件が多く、全て対応してもらえるか、というとそうではないんです。事業サイドの変化のスピードが上がるなか、情シス部門だけでは対応しきれないという感覚を持つようになったんです。
四宮:現場と情報システム部門では言語化や要件の落とし込みに対する考え方が違うので、その部分でのすれ違いもあるかもしれませんね。変化が大きくなればなるほど、そのズレも出て来ますよね?
高橋:そうなんです。コミュニケーションのロスも感じていました。根本的には「頼んで作ってもらう」という構造自体に原因があるのではないかと考えるようになりました。現場側で自分たちが必要なものを自分たちでつくる。そんな仕組みが必要だと感じはじめていました。
高橋:そうした事業状況以外にも、現場で発生していた課題もあります。
弊社ではMicrosoft365を導入しており、Excelでの業務改善を進めていました。
Excelを活用しすぎた結果、1ファイルを100人規模で更新するケースもあり、ファイルが壊れてデータが数ヶ月遡ってしまうことも。まさに「時をかけるExcel」状態です。
情シスに「Excelに働かせすぎです!」と嗜められたこともあり、この辺りで、Excelだけに頼ることに限界を感じました。
高橋:その頃、Excelにかわる新しい選択肢としてSaaSの利用ができないか、色々なものを試していました。便利な製品はあるものの、発生する課題やシチュエーションに応じて使うSaaSが増加していき、それに伴って負荷が上がることがネックでした。
最終的に専門的なSaaSをそれぞれ利用していくよりも、ある程度汎用的なものを入れた方が良いという判断し、kintoneを検討することになりましたね。
kintoneは誰でも作れる。だからこそシステムが乱立してしまう「野良化」の懸念もあります。使い方や運用方法など、導入と最初の支援をしてくれる企業に入ってもらい、ベースを作っていくことに決めました。
ジョイゾーとの出会いと期待
四宮:ありがとうございます。kintone導入のスタートを切るのに色々な企業を検討されたと思うのですが、ジョイゾーを選んでいただいた理由はどんなところにあったんですか?
高橋:私はエン・ジャパンで10年間、求人広告のコピーライティングをしていました。担当はIT/Web業界です。SI業界の慣習である多重下請けの構造を目の当たりにすることも多かったです。
kintoneの支援先を調べるなかで、ジョイゾーを知り、創業者である四宮さんの過去の発信や想いを拝見し、SIに対して特有の価値観や哲学を持っていると感じました。
高橋:SIerの限界を踏まえた上で、kintoneの可能性に賭け、新しいSIを作っていくという考えはとても新鮮で、その価値観に共感したのが依頼した大きな理由です。
四宮:なんと、そこからだったんですね!発信していて本当によかったです笑
高橋:そうですよ笑 中小企業にとって経営者は顔ですから!
それ以外の理由としては、先生が欲しかった、というのがありますね。エン・ジャパンは社内で学ぶ風土自体は出来上がっており、学ぶ意欲のあるメンバーが既にいました。ただ教えられる先生がいない状況自体が課題だったので、既存のSIのやり方に囚われず、柔軟に対応できる会社を求めていました。そういった意味でもジョイゾーは最適だったと思います。
システム39=求人広告!? システム39の良さを考える
四宮:こうやって改めて選んでいただいた理由を聞くことはなかなかないので、身が引き締まります。
高橋さんたちとのシステム39は私が担当していたのですが、当時としては珍しい方法で利用していただいたことを思い出しました。
高橋:あれ、そうなんですね? 利用の仕方としては、私たちが作ってきたものをジョイゾーさんにレビューしてもらうような進め方をお願いしました。システム39をとにかく「学びの場にしたい」という思いを持っていたので、初回でヒアリングや実現の可否などを整理した後はそんな流れでしたよね。
四宮:そうですね、「アドバイス」がメインになるシステム39はとても珍しくて、感覚的には「こんなに楽していいんですか?」と思っていました笑
そう思えるくらい、高橋さんたちが自分たちで手を動かされていたと思います。
高橋:面白い!笑 そういう風に見えていたんですね笑
私たちとしては、作ってもらう、ではなく、自分の作り方やシステム構築の考え方の答え合わせをしてもらいたかったんです。四宮さんには、私たちがやってほしいことをしてくれたと思っていました。
とにかく「自分たちで作れるようになりたい」と思っていたので、どの打ち合わせにも、山ほどの課題を持ち込んで、その時間で学び切るつもりで臨んだのを覚えています。
四宮:すごい熱量でしたよね。システム39は一緒にシステムを作っていく意識が重要になるので、熱量の高さはそれだけ結果につながってくると思います。
大変な想いを持ってシステム39を利用していただいたと思うのですが、実際に使ってみて感じたことは何かありますか?
高橋:システム39を利用してよかったところは、kintoneのできることできないことを伝えてくれたことだと思います。ヒアリングしてもらう中で、当初kintone化を目指していた複雑な管理をkintoneではできないとすぐに悟りました。ただマイナスばかりでなく、発想を転換してすぐに別の業務に活用できるという風に考え、次に進むことができました。
kintoneの利用において、何が向いていて、向いていないのかの切り分けを、初期の段階でできたことでその後の活用につながったと感じています。
高橋:実はシステム39を受けた時、私が経験してきた求人広告の取材とkintoneアプリ開発(ノーコード開発)に共通点があると感じたんです。求人広告の取材では、企業の業務をヒアリングして課題を整理し、広告に落とし込みます。業務に対する造詣と理解が必要になるわけです。
この構造がkintoneアプリ開発(ノーコード開発)の仕組みと近いと感じました。内製化のための学びの時間にしたいと考えていた私たちにとって、システム39を受けた時間は上流工程の模範演技として、とてもマッチしていたと思います。
四宮:システム39自体をとても抽象化して、捉えていただいているなと感じました。以前から思っていたのですが、高橋さんはもうシステム39を提供側として実施できると思います!
システム39とその他のシステム開発の違い
四宮:少し毛色の違うご質問なのですが、高橋さんの視点でシステム39と他のシステム開発にどんな違いがあるか、ぜひお聞きしたいです。
高橋:システム39とそれ以外のシステム開発の違いとしては、自分たちで触れられることにあると思います。
これまで、外部の開発会社や社内の情報システム部門にシステム開発を依頼することはありました。基本的には「待ちの姿勢」です。自分が要望を伝えられているか、背景を理解してもらっているかは蓋をあけてみるまでわからない。出来上がってきたシステムを見て、認識相違に気づくこともありました。
自分から能動的に関わることができない仕組みの中では、ロスが生まれやすいと実感していました。
高橋:kintoneやシステム39では、コントロールを他人任せにせずプロジェクトを進められるため、このロスを限りなく減らすことができると感じました。お手本としてアプリをその場で作ってもらい、同じアプリを自分たちで作り検証できる。とても画期的で、自分たちでどう動かすか学んでいけること自体が通常のシステム開発では実現できないポイントだと思います。
四宮:システム39は教育サービスだ、とおっしゃるお客様もこれまでいらっしゃいました。考え方やヒアリング手法など、全てを対面で行うシステム39だからこそかもしれませんね。
高橋:まさにそうだと思います。同時にシステムに初めて触れようとする人にとって、kintoneはデータベースを理解する教材として非常にいいですね!
実際にシステムがあまり得意ではないメンバーでもkintoneを使うことで基本の考え方を身につけることができました。
高橋:最終的にそのメンバーは情報システム部が進める基幹システムリプレイスにおける「事業側の代表者」として参加できるまでになりました。エンジニアと会話しながらプロジェクトを進められるまで成長できたのは、kintoneの効果ですね。
SIの民主化と「人」を育てるDX
四宮:業務改善やITの裾野が広がってきているということを、高橋さんのお話を聞いていて強く感じます。
技術革新が進み、いわゆるSIの民主化が起きたことで、私たちのようなSIerの役割も変わりつつあります。システム開発を依頼する側であると同時に、社内で推進する立場でもある高橋さんはどのように考えていますか?
高橋:そうですね、kintoneなどのノーコードツールの登場により、高度な技術がなくてもシステム開発にチャレンジできるようになりました。その分、問題を整理するコミュニケーションスキルの重要性が増していると感じています。
またIT関連のトレンドワードは流行してもすぐに消えていった中で、DXは比較的長持ちしていますよね。これはDXの社会的な認知が広がってきていて、先進的なユーザーさんだけでなく、新しい層の方にも届きつつあるから起きている現象だと感じています。SIの民主化というキーワードで考えると、ノーコードをはじめる人が「データベースの考え方」を感覚的に学んでもらう意味は大きいです。
四宮:なるほど。システム39で皆さんと向き合う中で、システムは作ってもらうという感覚から、自分たちが改善していくものという認識が広がりつつあることを、私たちも実感しています。
▼システム39のアドバイスをもとに自ら改善を行ったkintone活用の事例
高橋:そうですね。システム39の持つ、kintoneを使って業務改善ができる土壌を育てるという価値観は、今も変わらず共感しています。同時に、共に歩くだけの伴走ではなく、先を歩いて手を引いて導くような動きも必要になってきたと思います。
四宮:一歩進んだステップとして、新たなビジネスの創出や展開というDXの流れがあると思います。エン・ジャパンさんではDX人材という視点で、新たなサービスをリリースされていますよね?
高橋:ありがとうございます!そうなんです、ノーコードを活用したDX人材育成サービスをリリースさせていただきました。
私たちは完全未経験からkintoneでのノーコード開発を学び、社内での育成体制を整え、多くのDX人材を輩出してきました。会社にはさまざまな個性や特性を持つメンバーがいます。それぞれの強みを踏まえ、適材適所でより伸びる場所に配置すると本当に一気に人は成長します。「人の育成」に強みを持つ私たちだからこそできる、新しいサービスをリリースしました。
自分たちが経験してきたリスキリングやシステム開発の学びをそのまま提供することで、懸命に努力する人と組織を支援できる体制を整えていきます。
私たちがシステム39に求めていたような、学びを進めるための先生役に私たちがなることで、企業のDX推進とDX人材育成を加速させることができると考えています。
四宮:ユーザーから提供側へ。改善の先に、新たなビジネスモデルを開拓された姿はまさにDXですね。
システム開発は新しいステップへ!
今月はエン・ジャパン株式会社の高橋淳也さんにお話をお聞きし、システム39を選んだ背景や活用について伺ってきました。
「人」にフォーカスしてシステム39やkintoneを捉えられている高橋さんのお話はとても新鮮でした。そしてエン・ジャパン株式会社はユーザーとしてだけではなく、新たなサービス開発にまで裾野を広げられており、DXへのきっかけとしてシステム39をご利用いただいたのだと改めて実感しました!!
さて来月はシステム39を支えたメンバーに話を聞きながら、当時を振り返ります。来月のnoteを楽しみにお待ちください!
(ライティング:小渡 拓)