山形ワーケーション2日目 2024.11.19
1日目の内容は以下です
温海地域について
2日目の担当はナカです。
2日目のことを書く前に、今回行った温海地域のことについて簡単に。
温海地域は、山形県の人の横顔の形と言われる地形の鼻の部分に位置し、2005年に温海町から鶴岡市へ合併されました。
三方を摩耶山系の豊かな山々に囲まれ、西には変化に富んだ海岸線が広がり、温泉など自然環境に恵まれた地域で、観光資源や食文化、伝統文化など多様な地域資源を有しています。
温海地域には27の地区がありますが、今回私たちが実際に訪れたのは4地区(鼠ヶ関、越沢、小国、関川)だけで、さらに1地区(一霞)についてはこの記事を投稿するにあたって調べたことで名前を知っただけです。それでも、各地区の個性的な魅力に触れることができ、本当に心に残る経験となりました。
在来作物とは
鶴岡市は2014年にユネスコから国内で初めて「ユネスコ食文化創造都市」の認定を受けています。
そんな鶴岡市の食文化を語る上で重要なキーワードとなる「在来作物」
在来作物というのは、その土地で長年栽培され、人々に親しまれてきた野菜、果樹、穀類などの作物のことで、スーパーなどに一般的に売られている「商業品種(F1)」に比べると、収穫量も少なく、耐病性も強くなく、見た目も不揃い、日持ちもよくない、味もくせがあって個性的。
だけどその土地の生活を支え、地域独特の文化を継承する生きた文化財とも呼ばれるものです。
2日目のフィールドワーク
2日目のフィールドワークは、鶴岡市の豊かな食文化を象徴する2つの在来作物についての体験です。
越沢三角そば打ち体験
あつみ温泉の宿から車で約20分、鶴岡市役所温海庁舎越沢センターに行きました。前日は急に寒気が訪れ、とても寒く山の方に行くと路肩にうっすら雪が残っていました。
越沢センターに入ると棚田カードなるものがありました。
ダムカードやマンホールカードコレクターの私がこれを見逃すはずがありません。
農林水産省が棚田地域の応援のために発行したもので、2024年12月現在で第4弾252地区のカードがあるそうです。
まず初めに、越沢三角そばについてのお話を伺いました。越沢地区では昔からそばを育てていましたが、特別なものとは思わず、でも主流の品種「でわかおり」とは交雑しないように別の畑で育てていたそうです。
その話を聞いた山形の在来作物を研究していた山形大学の教授が「在来作物かもしれない」として調査に訪れるやいなや、革靴で畑に入り、そばの実を採って生で食べて「在来作物です!」と喜ばれたというエピソードはとても興味深かったです。
在来作物認定を受けて、地区をあげてブランド化する動きをスタート。生産組合を発足し、商標登録や自治会が越沢三角そばを全量を固定価格で買取る仕組み、種子の持ち出しや交雑の防止などの活動をされてきた結果、今では越沢三角そばは越沢地区以外ではほぼ食べられない特別なそばになりました。
越沢自治会は昨年、農林水産省と財団法人日本農林漁業振興会による「第62回農林水産祭」のむらづくり部門において内閣総理大臣賞を受賞し、在来作物による地域活性化の取組みが全国からも注目されているそうです。
そば粉に水を入れてまぜた後、山いものつなぎを入れて耳たぶの固さにまとめたものを、綿棒で薄く伸ばして切ります。
簡単そうに聞こえますが、どの行程も丁寧な指導がないと上手くいかないくらい難しいです。特に薄く伸ばすところは、綿棒に巻き付けて伸ばす方法など達人の技(のようなもの)をたくさん教えていただきました。
できあがったそばは、半分お土産にいただいて、残り半分をみんなで試食。太さがバラバラで、すごく太いのもありましたが、それもまた歯ごたえがしっかりして食感がいい。越沢三角そばの特長でもある香り豊かなナッツのような風味がすごくて、みんな「こんな美味しいそばは食べたことがない」と感動していました。
自分たちが作ったそばもとても美味しかったですが、先生が作ったそばを見たら、輝きが違う✨️
細くて、揃っていて貴公子のような雰囲気でした。
午後に体験する予定になっている、あつみかぶの漬物と、灰汁に浸して煮ることで白い米が黄金色になった粽(ちまき)もいただき、お腹も心も満たされました。
越沢三角そば®のそば打ちは、そば処まやのやかたで体験することができるので是非、そば打ちの楽しさと美味しさを味わってみてください。
あつみかぶ収穫体験
午後は温海地域の在来作物あつみかぶの収穫からスタート。
あつみかぶはおよそ350年前から、一霞地区を中心に、昔ながらの伝統的な焼畑農法によって栽培されている在来野菜です。
森の面積が町の90%を占める温海地区において、あつみかぶは林業とのサイクルの中で作られてきた、ということだったので図にまとめてみました。(学生時代の地理のノートを思い出す・・・)
帰宅して息子に話をすると「鶴岡市は日本で焼畑をしている数少ないところだと、この前授業で聞いた」と言っていました。
斜面の上から火を入れることで燃え広がるスピードを抑えられること、焼畑することで虫などがいなくなり、無農薬・無肥料で栽培ができること、種を埋めずに撒けることなどで、斜面との相性が良く、かぶの栽培がさかんになった理由だそうです。
一度焼畑してかぶを栽培したら、次に同じ場所で栽培できるのは50年以上先になるというのだからすごいですね。
「一人1キロのかぶを収穫してください」と言われて雨の中スタートした収穫体験。山形県の方が長靴を貸してくださったので助かりました。
私たちがかぶを収穫をしたのは、平地だったので「焼畑あつみかぶ」ではなかったのかもしれませんが、緑の葉っぱの中に見えている赤紫のあつみかぶは雨に濡れていたこともあり、赤い真珠のようにキレイでした。
足湯カフェでのお仕事タイム
ワーケーションに来ているからといって、ふだんの仕事を全くしなくていいわけではありません。あつみかぶ収穫の後は、あつみ温泉の足湯カフェChitto Motché(チットモッシェ)の一室でパソコンタイム。
チット モッシェというのは、庄内地方の言葉で、「ちょっと、おもしろい」という意味です。フランス語っぽくて面白いですね。
あつみかぶ漬け体験
夕方、宿となる楯山荘(楯山荘については3日目に記載)の食堂で、収穫してきたあつみかぶのお漬物を作りました。
かぶを洗ったら、最初にあつみかぶについての歴史や焼畑など林業との関連のお話を伺います。イカの一夜干し体験やそば打ち体験もそうでしたが、ただ体験をするだけではなく、その背景などを丁寧に説明いただけたので理解が深まりました。
焼畑あつみかぶで絶品漬け物作りはあつみかぶの収穫ができる期間限定でGreen Blueあつみにお申込みいただくと体験いただけます。
楯山荘での芋煮懇親会
夕飯はみんなで芋煮です。小国地区のお母さんたちが準備してくれていたので、私たちも少しお手伝いして里芋やなめこ、ネギなどの具がたっぷりの芋煮に、庄内ポーク、それと前日みんなで作ったイカの一夜干し。
美味しいものに囲まれて、まるで合宿の雰囲気。
深夜まで「副業について」とか「ノーコードについて」など、話が尽きませんでした。
次回は最終日、3日目のnoteもお楽しみに!