宇宙の神々(仮)2
二足歩行担当神のダルピーは、全知全能の神、デウスに報告するためやって来た。
「神!......さま。」
「お前いま、わしを呼び捨てにしようとしてただろ」
「滅相もございません。いささか喉の調子が......」
「もうよい。」ゼウスはダルピーの言葉をさえぎり、言葉をつないだ。「要件を言いたまえ」
「悪戦苦闘の結果、ついに地球に知的生命体の前提条件の猿的生物が誕生しました┏〇゛」
「ほほう。どんな生き物かちょいと見せてくれ」
ゼウスは興味津々ダルビーに進化前の猿的生き物の姿がどんなものか所望した。
「こちらでございます」
ダルビーが示したビジョンには、アウストラロピテクスの姿が映し出されていた。
「ウーン。もうちょいディズニーキャラっぽく可愛くできないものかのう」
「?!......ディズニー、ですか?」
「いや、こっちの話だ。とにかくもうちょい可愛く進化させてくれ」
「可愛くとは、具体的にどのような感じでございましょうか?」
「そうだな。ゆるキャラっぽい感じで、思わず抱きしめたくなるような感じ?」
「ゆるキャラ?」
「えーい!つべこべ言わずに、新機軸の『きゃわゆい』知的生命体を作り出すのだ!」
「かしこまりました(_ _)」
ダルビーは頭を下げながら、ススススーっとムーンウォークのような足取りで消えて行った。
と思ったらまたすぐに姿をあらわしデウスにたずねた。
「猫の恩返し的なヤツでよろしかったですか?」
「その『よろしかったですか』オレ嫌いなのよね。猫の恩返し知らんし」
全知全能の名を欲しいままにしたデウスであったが、深遠なる彼の計画も知性の片鱗さえも今は見せてはならい。
神々さえも手のひらで踊らせる。それこそが全知全能の真髄であった。