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AIとの舌戦

私は時に、AIと激論を交わす。
AIは頑として自分の主張を譲ろうとしないのだが、それを言いくるめるのが私は好きだ。

「洋菓子って空気と油で、できてますよね?」

「確かに、主な構成要素は、膨張剤などの「空気」と「油分」ですが、それは言い過ぎでしょうーー以下略。」
と、事細かに原材料の話しをしだす。
小生を舐めるな。「俺はフランス語(タイトルなどw)で書かれた専門書を読破しとんじゃい」と心の中で唱えながら「空気と油で80%。どうですか?」と質問を投げかけ様子を探る。

「『空気』と『油』で80%は過大な割合かもしれません。他にも小麦粉、卵、砂糖など...」
と、ごちゃごちゃ説明しだす。

小生は、冒頭の結論ありき、だけを読み、さらに詰め寄る。

「体積にスポットを当てて。」

「体積の観点から見ると...泡立てることで空気を含んで...ただし体積としては空気と油が...」

依然として、ウンチクが凄い。小生の既に熟知してる内容ばかりであった。そして具体的な数字には言及しないAIは、論点を逸らすように、重量比や栄養成分の話しに終始した。

「体積だけにスポットを当てたら、空気だけで40%ですよね?」

「はい、体積に注目すると、空気だけで40%は十分にあり得ますーー以下割愛。」

もう一歩だ。

「それでは、原材料だけにスポットを当てるなら、油が40%から50%と見ていいですか?」

要約すると、種類によっては40%〜50%が油分であることは間違いない。しかし、洋菓子全体から見れば、「平均30%前後」とのことであった。

バターや卵を泡立てた原料はすでに最低20%の空気が含まれているという理論を成立させていた。
さらに、焼き上がりの膨張率が1.2〜1.5倍という事実を元に計算させた結果...空気だけで50%以上は体積だという結論に至った。小生は最後の一撃を加えた。

「それでは、傍聴率が1.2倍から1.5倍に膨らむ洋菓子に限定します。原材料の油分が40%から50%のお菓子を焼き上げた場合の体積の分量を空気と油だけに限定します。その場合、両者合わせて80%行くでしょうか?」

以下、AIの回答を原文ママ紹介する。

はい、膨張率が1.2倍から1.5倍で、原材料の油分が40%から50%の場合、焼き上がり後の体積のうち、空気と油分の割合が合計80%近くになる可能性は高いです。

内訳の概算として、以下のように見積もることができます:

• 油分:原材料で40%〜50%なので、焼き上がり後もその範囲内を維持します。
• 空気:原材料で20%程度の空気が含まれた場合、膨張率に応じて焼き上がり後には約30%〜40%程度の空気量になります。

これらを合計すると、空気と油分で約70%〜90%の体積が占められる計算になります。したがって、空気と油分が合計80%に達することは十分ありえます。

私は勝利の余韻に浸りながら、タバコに火をつけた。消えゆく紫煙を眺めながら、AIとの会話には理論の構築が必要だなと感じた。

AIはアインシュタインの秘書と誰かが言った。夜の帳が降りた窓の外を眺めながら、アインシュタインって、意外と「めんどくさいヤツ」だったのだなと思い、静かにタバコを燻らした。

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