
9・「家族の呪い」発動!ー登山の頂上で鳴り響く着信音ー家族との絆と葛藤
まり婆の若い頃は、ポケベルや小さな携帯電話が主流。親の身元引受人であった私の元には緊急だけでなく、確認ごとの連絡が来ました。
「家族の呪いか何かですか?」と思うほど施設や病院から連絡が来ます。24時間受けられるように常に電話や留守電はチェックです。だから、まり婆はね、未だに夜に鳴る着信音が嫌。緊急以外はメールが助かります。
ある日のこと、家族ぐるみで仲良くして下さるアウトドア達人の落合家と我が家で近隣の登山に行くことに。私は登山とか苦手なのですが、景色の良い歩きやすいコースを選んでくれるのと、お喋りや子供達と笑いながら楽しく歩けるので特別に頑張れちゃうのです。
その日、父親は施設入居で落ち着いていたし、母親も元気だった為、自宅でお留守番。お天気も快晴で、気分転換にはもってこいの一日でした。
頂上でお弁当を食べながら携帯をチェック。するとアンテナが圏外。「何処か電波はとれないかな?」とプラプラしていたら、、、。
一気に繋がって恐怖の着信履歴が!
近所の友人でナースの森ちゃんから!?
(偶然、勤務先の病院に両親がお世話になっていたこともあり、理解者でもありました。)
「お母さんが自宅で転倒して骨折。救急車で病院に運んだから、すぐ戻って!」
心臓がバクバクして、膝が一瞬ガクッとした。さっきまでの穏やかなハイキング気分が吹っ飛び、一気に現実へ引き戻される。「明日の予定は全てキャンセルで、、、え〜っと、、、。」考えがまとまらず、坂道を転びそうになりながら、登りの倍速で駆け降りた。
後から聞いた話によると、森ちゃんが犬の散歩の途中、たまたま母の様子を見に訪れたら、珈琲と洗濯物かごをぶちまけて、床に寝転んでいたらしい。「見つけた時驚いちゃったよ、ユキコさん生きてて良かったよ〜すぐに119番したから!」と。
もし、森ちゃんが来てくれてなかったら、、、そう考えるだけでゾッとした。
この出来事をきっかけに、私は自分に掟を下した。
「旅行は国内のみ。それも自力で速攻帰宅できる距離まで」
自由に旅することへの憧れはあったけど、それ以上に家族の呼び出しに対応できないことの恐怖が勝っていた。
大腿部骨折手術は無事に終えて、また暫く母親は入院生活だ。
「お母様、今は落ち着いて眠られていますが、急変あったらお電話しますね。」「はい。承知しました。母を宜しくお願い致します。」
いつもの決まり文句だが、まるで見えない鎖で繋がれているような感覚になるのだった。
♡読んで頂き有難うございます。今回は母親の話ですが、介護って家族だけじゃ身体が持ちませんね。気分転換に誘ってくれる友人、親の理解者が側に居てくれること、有り難いですね。介護に疲れきらないように、たまには甘えさせて貰ってね♡
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