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【中小M&A】債務超過・赤字でも諦めない!事業評価と株価評価の基礎知識と注意点


中小企業のM&A(以下、中小M&A)において、債務超過営業損失を抱える企業の評価は、通常の企業評価とは異なる点に注意が必要です。本投稿では、中小M&Aガイドラインを参照しながら、これらの企業における事業評価と株価評価のポイント、注意点について解説します。

1. 債務超過企業におけるM&Aの可能性

中小M&Aガイドラインでは、債務超過とは、貸借対照表上の簿価ではなく、資産・負債を時価評価した実態ベースでの債務超過を指します。
債務超過の企業でもM&Aが実行できる可能性はありますが、債務整理が伴う 場合があることに留意が必要です。
重要なのは、事業の価値を譲り受け側が認めるかどうかです。
事業の価値は、有形資産だけでなく、特許権やノウハウ、将来性、許認可といった無形資産も評価対象となります。
たとえ小規模、赤字、債務超過の企業でも、独自の強みや将来性があればM&Aは成立しえます。

2. 事業評価のポイント

中小M&Aでは、経営者の信用や人柄といった属人的要素も考慮に入れる必要があります。
譲渡側の事業の魅力を引き出すためには、**事業の「見える化」と「磨き上げ」**が重要です。
これには、株式や事業用資産の整理・集約が含まれます。

3. 株価評価(バリュエーション)の注意点

バリュエーションは、M&Aにおける譲渡価格を決定する重要なプロセスです。
主な評価手法は以下の通りです。
コストアプローチ(純資産価額法): 企業の純資産を基に評価する方法。
マーケットアプローチ: 類似企業の株価や取引事例を基に評価する方法。
インカムアプローチ: 将来の収益やキャッシュフローを基に評価する方法。
中小M&Aでは、仲介者による確定的なバリュエーションは推奨されていません
仲介者は、必要に応じて士業等専門家の意見を求めるべきです。

4. デューデリジェンス(DD)の重要性

財務DDは、簿外債務や偶発債務のリスクを把握するために不可欠です。
DDの結果によっては、譲渡スキームや譲渡価格の見直しが必要になる場合があります。
また、DDの結果はM&A後の統合プロセス(PMI)においても重要な情報となります。

5. 債務超過企業における弁護士の役割

弁護士は、債務超過企業の中小M&Aにおいて、法的な観点からのサポートを行います。
具体的には、資金繰り、私的整理、法的整理、債権者との交渉などの支援を行います。
また、経営者保証に関する問題についても、「経営者保証に関するガイドライン」を踏まえて対応します。

6. M&A後の注意点

最終契約後の支払条件(アーンアウト、株価調整など)には注意が必要です。
譲渡側経営者に関連する資産・負債の整理も忘れずに行いましょう。
M&A後の統合プロセス(PMI)を通じて、企業価値の向上を目指しましょう。

まとめ


債務超過や営業損失を抱える企業でも、事業の価値を見出し、適切な評価を行えば、M&Aは十分に可能です。 中小M&Aガイドラインを参考に、専門家と連携しながら、慎重に進めていくことが重要です。
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参考資料
•中小M&Aガイドライン(第3版)
•中小企業M&AとPMI完全ガイド
•中小PMIガイドライン


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木津俊彦
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