じいじ 保育士を目指す! 専門職としての対価
ちょっと硬い話。
私の修士論文のテーマは保育の質の中で、保育士の質をどう担保するか?的なモノを考えている。そもそも,保育の質について興味があるが圧倒的に守備範囲が広いし、修士課程で終わるテーマでもないし、博士課程で収まる内容ではないからこの一大テーマの中で保育士にスポットを当てた問題について論じてみたいと思った。もっとも、保育学を学びたいのが基本だから授業を楽しむ事ができるかどうか。でも、知りたいが今最も大きな感情であって、そしてワクワクする高揚感がある。久しぶりの学生生活だし。。。
そんな期待が(まだ、修士始まって間もないから課題の凄まじさを知らない。でも前回の大学院では、淡々と実験装置立ち上げて実験をこなして修士通して博士課程へと進んだ。その時も社会人大学院生だった訳で、二度目の経験になる。)まだある段階なので、人文社会科学系はどういう感じだろう?っていう思いの方が強い。
で、私の関心ごとは保育の質だから、当然保育士の専門性を問う研究になる訳で、その専門性を持った職業としての対価はどうなっているのか?という点がサブテーマの如く湧いてくる訳だ。例えば東京都の調査(令和4年)で給与に満足(以上)の人は約18%しかおらず、約60%の人が不満(やや不満以上)であると答えている。
当然、給与水準が保育士で年収326.8万(平均年齢36.0歳)、全職種平均で489.9万(42.2歳)となっている(厚労省)。これに男女差の比較をしても、全職種(女性)平均376.2万(40.7歳)と4歳の差があるが約50万程度低い。そもそも、男女差というジェンダー差別(雇用形態等の差などの因子があっても)の中でも全職種の平均以下である事は事実である。
急に年収ベースの数値が無くなり月額ベースのデータになるので、看護士基準で比較してみると、看護士との比較では、67%(対看護士)、幼稚園教諭69%(対看護士)で保育士は幼稚園教諭より2%低い事になる。看護士との比較は、専門性を持った職業でありかつ女性の割合が高い職種である事から比較がしやすいからである。ちなみに看護士は、全職種平均との比較では99.4%と全職種平均にかなり近い。
で、保育士給与の源泉は、補助金と保育料(これも定められた金額)で保育士定数(園児の年齢別の比率)が定められているのでこの水準でほぼ決まる(+αの加算)。だとすれば、保育士の給与水準を大きく決めているのは国であって政策的に低く抑えているという事になる。
大雑把な話しをすれば、補助金を上げれば、マージンとして吸い上げられ保育士の給与まで行かないという議論は、給与水準を上げるという政策的に誘導する事をネグレクトしている(怠慢と言い換えてもいい)という事になる。で、なければ事業主体の搾取が大きいかのいずれかという事になる。
政策的に全職種平均に近づける給与水準保証の(マージンを取られない仕組みを入れた上で)補助金アップが図られない限り、離職を減らす事と保育士を目指す人(もう少し詳しく言えば、実際に保育士として働く人)の数は増えないというのは、自明という事になる。
給与を上げたら園経営が成立しないという発言はそもそも、政策的に給与水準を低く抑えている事とはリンクしない。何故なら、原資は補助金なのだから、給与水準UPの補助金UPが欲しいと言えば良いだけだからだ。もちろん、税金が財源であるから当然、国民が未来を支える子供達の基盤を育てる職業に対してどう考えるのか?という問題でもあるが。
さて、今日はこの辺で。