第15回 精神科専門医試験解答集 - 完全攻略ガイド

精神科専門医試験に挑戦する皆さんへ。
この解答集は、第15回の試験問題と解説をまとめたものです。試験準備のための貴重なリソースとして、試験の傾向を理解し、確実に合格を目指すための強力なサポートとなるでしょう。各問題に対する詳細な解説を通じて、知識の確認と理解の深化を図ることができます。この解答集を活用して、自信を持って試験に臨んでください。
※2024/8/24 問題56の解答解説を修正しました。

問題1: 全般性不安障害の症状としてみられにくいのはどれか、1つ選べ。
a. 寒気
b. 便秘
c. 胸痛
d. 発汗
e. 筋緊張
解答: b
解説:
a: 全般性不安障害(GAD)の症状には身体的なものが多く、寒気もその一つです。
b: 便秘はGADの主要な症状としては見られにくい。GADでは消化器系の症状も含まれますが、主に腹痛や下痢が多く、便秘は典型的ではありません。
c: 胸痛もGADの身体症状としてよく見られます。不安による心臓への影響です。
d: 発汗は不安によって引き起こされる一般的な身体反応です。
e: 筋緊張はGADの代表的な身体症状の一つです。慢性的な不安が筋肉の緊張を引き起こします。
 
問題2: 側頭葉てんかんで可能性の低いのはどれか、2つ選べ。
a. 子どもに遺伝する。
b. 欠神発作が続発する。
c. 被害妄想が出現する。
d. MRIで海馬硬化が検出される。
e. てんかん外科手術が奏効する。
解答: a, b
解説:
a: 側頭葉てんかんは通常遺伝性のものではなく、頭部外傷や感染症などが原因となることが多いです。
b: 側頭葉てんかんでは、欠神発作(主に小児に多い)は一般的ではなく、部分発作が特徴です。
c: 側頭葉てんかんでは、発作中や発作後に被害妄想が出現することがあります。
d: 側頭葉てんかんの患者では、MRIで海馬硬化が検出されることが多いです。
e: てんかん外科手術が側頭葉てんかんに対して有効であることがあります。特に薬物抵抗性の場合に効果的です。
 
問題3: 炭酸リチウムの血中濃度を上昇させるのはどれか、2つ選べ。
a. セフェム系抗菌薬
b. ヒスタミンH2拮抗薬
c. スタチン系高脂血症治療薬
d. 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
e. アンジオテンシンII受容体拮抗薬
解答: d, e
解説:
a: セフェム系抗菌薬は炭酸リチウムの血中濃度に大きな影響を与えないとされています。
b: ヒスタミンH2拮抗薬も炭酸リチウムの血中濃度に大きな影響はありません。
c: スタチン系高脂血症治療薬は炭酸リチウムの血中濃度に影響を与えないとされています。
d: NSAIDsは腎臓でのリチウムの排泄を減少させるため、リチウムの血中濃度が上昇します。
e: アンジオテンシンII受容体拮抗薬もリチウムの排泄を減少させ、血中濃度を上昇させます。
 
問題4: 分離不安症(DSM-5)について正しいのはどれか、2つ選べ。
a. 成人期にはみられない。
b. 生後3ヶ月から明らかになる。
c. ペットの死は発症要因となり得る。
d. 母親の精神疾患は発症要因とはならない。
e. 小児期では症状が4週間以上持続すると診断される。
解答: c, e
解説:
a: 分離不安症は成人期にも見られることがあります。特に重大なストレスやトラウマの後に発症することがあります。
b: 分離不安症は生後3ヶ月ではなく、小児期に発症することが一般的です。
c: ペットの死は発症要因となり得ます。ペットとの強い愛着関係が切れることが原因です。
d: 母親の精神疾患も分離不安症の発症要因となることがあります。親の不安やストレスが子どもに影響を与えるためです。
e: DSM-5では、小児期に症状が4週間以上持続することで分離不安症と診断されます。
 
問題5: うつ病について誤っているのはどれか、2つ選べ。
a. 精神病性うつ病ではプラセボの有効性は乏しい。
b. 精神病性うつ病では抗うつ薬の単剤療法は無効である。
c. 緊張病症状を伴ううつ病治療にはベンゾジアゼピン系薬物が有効である。
d. 緊張病症状を伴ううつ病に対する修正型電気けいれん療法の有効性は8割以上である。
e. 精神病性うつ病では、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法よりも、抗精神病薬の単剤療法のほうが有効である。
解答: b, e
解説:
a: 精神病性うつ病ではプラセボの有効性は乏しいことが多いです。抗うつ薬や抗精神病薬の使用が必要です。
b: 精神病性うつ病では抗うつ薬の単剤療法も一部のケースで有効であり、通常は抗精神病薬との併用が推奨されます。したがって、これは誤りです。
c: 緊張病症状を伴ううつ病にはベンゾジアゼピン系薬物が有効です。これらの薬物は筋緊張を和らげ、鎮静効果を持ちます。
d: 修正型電気けいれん療法は緊張病症状を伴ううつ病に対して高い有効性を示します。実際には80%以上の効果が報告されています。
e: 精神病性うつ病では、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法の方が単剤療法よりも効果的であることが一般的です。したがって、これは誤りです。

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