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ルルレモン・アスレティカ ~独自の地位を築く高利益率のアパレルブランド~

概略

ルルレモン・アスレティカはアメリカのデラウェア州に本社を置くスポーツファッションブランドです。

カナダ発の企業でスポーツ用のアパレルやアクセサリーをデザイン、製造、販売しています。

ヨガ・ウェアの小売企業として創業し、事業を拡大しながら現在は世界17か国に570以上の店舗を持ち、オンライン販売も行っています。

特に女性用のスポーツアパレルに強みがあることが特徴です。

https://greenseed.jp/blog/lululemon-aoyama-5681.html


ビジネスモデル

ルルレモン・アスレティカはSNSを利用したPRに長けている企業で、売上の半分程度をオンライン販売で得ています。

オンライン販売は店舗販売よりも運営にかかる費用が低いので利益率が高くなります。

店頭ではフィットネスなどの魅力を訴え、ネットで商品の販売を伸ばす戦略をとっています。

店頭では「売らない接客」は丸井グループが参考にするなど、デジタル時代の事業モデルとしても注目されています。

店では「エデュケーター」と呼ばれる店員が商品だけでなくヨガやフィットネスに関する情報を提供し、ランニングコースやヨガの上達方法も教えています。

つまりその場で商品を購入してもらわなくても、ネットで購入してもらえればいいという考えなのです。

ルルレモン ヨガクラス


競合のような多数に展開する広告に頼らず、セレブの口コミなどを活用し、価格競争力とブランド力を維持しているのです。

ちなみに、ルルレモン・アスレティカのEC比率は4割~5割です。

ZARAを展開するインディテックスやH&Mは3割前後、ユニクロは1割強なのでEC比率が高いことがわかると思います。

その分ルルレモン・アスレティカの店舗数は競合と比較して少なく、店舗にかかる人件費などが少なくなり、結果として利益率の高いビジネスが展開できているのです。

ECを主戦場とすることから当然ながらルルレモン・アスレティカはデジタル戦略に力を入れています。

M&Aにも積極的で鏡の形をしたデバイスを使って自宅でオンラインのフィットネス講座を提供するアメリカのミラー社を買収しました。

コロナ禍で自宅でトレーニングする人が増えたため、外出しなくても自宅でエクササイズしたい人のニーズを取り込む狙いでしたが、コロナ明けの影響もあり2023年内で販売を終了することが発表されました。

https://goodmeowsk.life/product_details/10571108.html


各種指標分析

売上高・営業利益

https://shikiho.toyokeizai.net/us/LULUを参照し作成


ルルレモン・アスレティカの売上高・営業利益・営業利益率を見ていきたいと思います。

グラフを見てもわかるように売上は毎年増加しており、急成長を遂げている企業だといえるでしょう。

女性を中心にデザインと品質への評価が高かったルルレモン・アスレティカでしたが、コロナ禍で自宅周辺の外出にも使える「ワンマイルウェア」として使用できる男性用のズボンが販売を伸ばしました。

女性用だけでなく男性用のウェアでも基盤を持ったルルレモン・アスレティカは今後も売上を伸ばしていくのではないでしょうか。

また、営業利益率が非常に高いことも特徴です。

ルルレモン・アスレティカの商品単価は他メーカーと比較して高価ですが、品質の高さから人気を博しています。

それに加えてEC販売が主力のため店舗の人件費が低く済みます。

単価が高く、販管費が低いということで高い営業利益率を誇っているのです。


EPS(1株利益)

続いてEPS(1株利益)です。

EPSは1株当たりいくら儲けているかを確認するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると言えます。

ルルレモン・アスレティカのEPSは長期的に見て成長していると判断できます。

特にコロナ禍において自宅でのフィットネス需要の高まりから急成長しました。

現在はコロナ特需の一服感はありますが、コロナ化で獲得した顧客層に新商品やサービスを訴求していくことで今後も成長することが期待できます。


今後の展望とまとめ

以上のようにルルレモン・アスレティカはデジタル時代の新しいビジネスモデルを推進し、高い利益率を誇る企業と言えるでしょう。

スポーツ用品市場は世界的な健康志向の高まりから今後も安定的に成長することが見込まれています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001521.000071640.html


ただ、コロナ明けの現在は行動制限が緩和されているためルルレモンの店舗に顧客が戻る可能性があります。

そうすると当然店舗の人件費も高まることが予想されます。

また、フィットネスジムの利用が戻りつつある中で、自宅でのトレーニング市場の競争が激しくなることも予想されており、ルルレモン・アスレティカの業績もこのまま好調が続くかはわかりません。

ただ、ルルレモン・アスレティカはフィットネス機器メーカーと提携も行っており、さらなる事業拡大に取り組んでいます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1089a9654df9e6c9058c049eee10dc1f315a7883


また、コロナ化で獲得した顧客層の所得が高いことも好材料です。

競合としてはNikeやアンダーアーマーがありますが、ルルレモン・アスレティカの顧客セグメントや商品セグメントに違いがあります。

そのためスポーツアパレル業界で独自の地位を築いている企業だと言ってもいいと思います。

健康志向の高まりからフィットネスウェアの需要も高まっていくことが予想されていますのでルルレモン・アスレティカもそれに伴って売上を拡大していくのではないでしょうか。

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