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効率的に稼ぐヒューリックが進める事業の多角化
概要と事業内容
ヒューリックは東京23区を中心にオフィスや商業施設などの不動産賃貸事業を中核とする不動産デベロッパーです。
都心の不動産を扱うことで空室率を低くし、安定した賃料収入を得ることで成長してきました。
ヒューリックの特徴として都心の好立地に多数の物件を保有していることが挙げられます。
ヒューリックは富士銀行(現みずほ銀行)のビル管理事業を祖業として誕生した企業なので銀行の支店を建て替えた物件が多いです。
銀行の支店は駅から近いことが多いのでヒューリックは好立地の物件を多数所有しているということになります。
現在は東京に一極集中の流れが続いていますので、ヒューリックの空室率は低く、その数字は1%以下となっています。
空室率が低いということは家賃が安定して入ってくるので収益も安定しているというわけです。
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直近決算と事業構造の転換
ヒューリックの直近の決算は好調でした。
不動産業やホテル事業が貢献し、増益となっています。
ここで注目してほしいのが不動産事業のうち、不動産売却が大きな利益を上げていることです。
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よく見るとヒューリックは不動産売却に依存している企業と言えそうです。
そしてこの不動産売却のリスクが「金利上昇」です。
今まで低金利かつ不動産価格が上昇する時代には売買を繰り返して稼ぐことができていました。
しかし、金利が上がると借入金の利払い負担が増え、買い控えで不動産価格が下がることになります。
金利が上がり、不動産価格が横ばいもしくは下がると不動産を安く仕入れ、高く売ることが難しくなり、利ザヤが稼げなくなります。
そのためヒューリックは構造改革を急いでおり、賃貸物件を増やそうとしています。
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ただ、ヒューリックはこれまで不動産を高回転で売買するビジネスモデルで成長してきました。
実際にROA(総資産利益率)は三井不動産や三菱地所より1%程度高い数字となっています。
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しかし、賃貸では資産を持つことになるのでROAは今までのように高い数字を保持することはできなくなる可能性があることには留意が必要です。
一方で、直近の決算ではヒューリックの力強さを発揮したと思っています。
オフィスビルの賃貸需要は安定していますし、インバウンドの回復でホテル・旅館事業も伸びています。
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不動産売却からうまく事業構造を組み替えられているように感じますし、今後も期待できる決算だったと思います。
また、ヒューリックは5月末に個別指導塾の「TOMAS」などを運営するリソー教育を連結子会社にしました。
これはヒューリックは今後「教育を新たな柱にする」ということでしょう。
教育産業には少子化という問題がありますが、ヒューリックのキーワードは「都心」です。
都内に住むパワーカップルをターゲットにすることで利益を上げられるビジネスにできるとしています。
また、ヒューリックの保有する駅近物件は塾の最適地です。
このような相乗効果を狙ってリソー教育を連結子会社にしたのでしょう。
中期経営計画でもオフィスの割合を50%に減らすとしており、今回の教育事業への進出も「不動産からサービス」に軸足を移す一環なのだと思います。
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今後もヒューリックは事業の多角化を進めることで成長していくのではないでしょうか。