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INPEX 〜総合エネルギー企業を目指すINPEXの企業分析〜
概略
INPEXは東京都港区に本社を置く原油・ガス開発企業です。
INPEXは2021年に社名を現在のものにしており、それまでは「国際石油開発帝石」と呼ばれていました。
経済産業大臣が株式の20%弱を保有するまさに国策企業です。
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事業内容分析
石油・天然ガス分野
INPEXの主力事業は言うまでもなく石油・天然ガスです。
地下にある石油や天然ガスを最先端の技術を使って探すところからタンカーやタンクローリーで運ぶまでを行っています。
そして石油・天然ガスは日本だけでなく世界にあるため、世界でプロジェクトを展開しています。
エネルギーという私たちの生活に欠かせないものを扱う仕事ですので非常に大切な企業と言えますね。
欧州ではオランダやイギリスにおける洋上風力発電事業を行っています。
エネルギーと言えば石油のイメージがありますが、今後は風力発電など環境に配慮したエネルギー創出にも力を入れているのがわかります。
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アブダビにおいては石油のプロジェクトを展開しています。
世界でも有数の超巨大油田が存在する鉱区のため、生産能力を増強する計画の検討を行っているとのことです。
アブダビでの権益を獲得するためにINPEXは40年にわたってアブダビ政府などと協力して石油の開発・生産を行ってきました。
その実績が評価されたということと、日本政府の積極的な外交により良好な関係を築いていたということで権益を獲得することができました。
INPEXは40年の権益を取得しましたが、40年生産できるほどの埋蔵量が見つかっているとのことで資源が枯渇するという心配はなさそうです。
エネルギーという生活の根幹にあたる事業ですので国を巻き込んでの仕事になります。
非常に大切な仕事なので応援していきたい企業です。
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東南アジアにおいてはLNGプロジェクトとインドネシアにおける地熱発電事業を行っています。
LNGとは液化天然ガスのことで主に火力発電の燃料に使用されています。
日本は火力発電がメインですからLNGの安定供給は非常に重要ですね。
また、インドネシアは実は鉱山資源やエネルギー資源などが豊富な資源大国です。
そのため世界各社がインドネシアでの権益獲得のために動いているという事実があります。
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オーストラリアにおいてもLNGを中心にプロジェクトを展開しています。
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オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは日本企業が初めてオペレーターとして参加する大型LNGプロジェクトとして注目されています。
このプロジェクトで生産されたLNGの約7割が日本向けであり、日本にとっても非常に重要なプロジェクトなのがわかります。
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今後も安定的なLNG生産を行うことで日本のエネルギーを支えてほしいとHPを見て思うばかりです。
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INPEXはもちろん日本においても事業を展開しています。
国内最大級である新潟県の南長岡ガス田を中心に石油・天然ガスプロジェクトを進めるとともに、天然ガスパイプラインとLNG受入れ基地のオペレーションを行っています。
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各種指標分析
売上高・営業利益
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INPEXの売上高・営業利益・営業利益率を見ていきたいと思います。
売上・営業利益ともに増減があるのがわかります。
これは景気によって資源価格は変動するためです。
特に近年はコロナショックやウクライナ情勢など不安定な部分もあり、それに伴ってエネルギー資源の価格も変動しています。
実際に2019年度から2020年にかけては大幅にINPEXの売上も減少しています。
INPEXに関しては国策企業であるということとエネルギー企業ということで単年での売上、営業利益の減少に極端に反応する必要はないのかなとは思います。
また、営業利益率が50%近くあり、驚異的な数字です。
この数字からもINPEXは稼げるビジネスを行っていることがわかると思います。
ただし、資源開発というビジネスの特性上、産油国へロイヤリティなどの支払いが生じるため、最終の純利益は経常利益から大幅に減少することには留意が必要です。
EPS(1株利益)
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次はEPS(1株利益)です。
EPSは1株当たりいくら儲けているかを判断するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると判断できます。
INPEXのEPSは2020年度はマイナスでした。
この要因はまさにコロナショックです。
また、利益は資源価格次第ということもあり、決して安定的ではないですが、コロナショックの翌年にはプラスに転じています。
稼げるビジネスを行っていることは間違いないですのでこの数字についても増減に一喜一憂する必要はあまりないのかもしれません。
INPEXは景気敏感株のため、この点も理解しておきたいところですね。
自己資本比率
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次は自己資本比率です。
自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標でこの数字が高ければ高いほど安全といえます。
INPEXの自己資本比率は60%程度で比較的高い数字です。
エネルギーを扱う企業のため、自己資本比率が高いことは安心材料だと思いますし、手元キャッシュも潤沢で事業継続に不安な部分はありません。
配当・配当性向
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最後に配当・配当性向です。
INPEXの配当は業績連動型のため、業績が悪化すると減配があります。
実際にコロナショックの2020年は減配しています。
ただその翌年には増配に転じ、その後は増配を続けています。
また、中期経営計画において配当の下限を30円に設定しています。
配当の下限があるということは業績が悪化しても30円はもらえるということですので、配当の予測もしやすいです。
この点も安心できる材料ではないでしょうか。
INPEXの事業は長期プロジェクトがほとんどで長い目で見る必要があります。
長く保有することで増配を楽しみにすることができる銘柄と考えても良いかもしれませんね。
今後の展望とまとめ
INPEXは2022年~2024年までの中期経営計画と2050年までの長期経営計画を策定しています。
その内容としては石油・天然ガスの安定供給を続けるとともに「ネットゼロ5分野」に注力し、2050年にネットゼロを目指すというものです。
ネットゼロ5分野とはいわゆる環境にやさしい分野です。
温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをうまくとり、正味の排出量を0にしようということになります。
INPEXはエネルギーの企業ですから環境に配慮しなければなりません。
そのためネットゼロ5分野と言われる分野に注力していくとしています。
順に見ていきたいと思います。
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水素・アンモニア
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水素・アンモニアにおいては2030年までに3件以上の事業化を実現することを目標にしています。
水素やアンモニアは次世代のエネルギーとして注目されています。
燃やしてもCO2を排出しない水素は水はもちろん、ガスや石炭など多様な資源から製造することが可能です。
また、ロケット燃料に使われるほど大きなエネルギーを持つことからも未来のクリーンエネルギーとして注目されています。
この未来のエネルギーをINPEXは生産するべく動いています。
CCUS
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現在、二酸化炭素を削減する方法として注目されているのが排出された二酸化炭素を集めて地中に貯留してしまおうというアイデアです。
さらに集めた二酸化炭素を何かに役立てることができれば一挙両得です。
その取り組みがCCUSになります。
まず発電所や工場から排出された二酸化炭素を他の気体から分離して集めて地中に貯留することを「CCS」といいます。
そしてその集めた二酸化炭素を例えば古い油田に注入することで油田に残った原油を圧力で押し出しつつ二酸化炭素を地中に貯留するという二酸化炭素を使うことが「CCUS」と呼ばれます。
これにより二酸化炭素の削減が実現できると同時に石油の増産にもつながるため注目されているビジネスなのです。
INPEXも原油を扱いますのでこの領域でリーディングカンパニーになるべく奮闘しています。
再エネ
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太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しないためクリーンなエネルギーとして注目されています。
オランダ政府は風力発電に注力しており、INPEXもその一翼を担っています。
また、インドネシアでは地熱発電も手掛けています。
地熱発電は太陽光や風力発電など気象の影響を受けやすい他の発電方法と比べて安定した電力を得られやすいのが特徴です。
ただ資金やノウハウが必要な分野でもあります。
この分野にさまざまなエネルギーに知見を持つINPEXは取り組んでいるのです。
カーボンリサイクル
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カーボンリサイクルとは二酸化炭素を資源として捉え、分離回収してさまざまな製品や燃料に再利用することで二酸化炭素の排出を抑制するものです。
例えば二酸化炭素を吸収して作ったコンクリートやバイオ燃料にも使用されています。
INPEXもメタネーションというメタンを生産する取り組みや人工光合成を行っています。
森林
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最後に森林です。
INPEXは地球環境と向き合う責任があります。
限りある資源を効率的に使うことは重要ですが、将来のために自然を残すことも大切です。
そのため森林保全の事業を行うなどしっかりと動いています。
まとめ
以上のようにINPEXは石油・天然ガスを軸としながらも次世代エネルギーにも注力する総合エネルギー企業と言えるでしょう。
国策企業でもありますし、エネルギーという私たちの生活の根管に関わる仕事です。
また、地球も関係者になるため壮大な事業を行なっていることも素晴らしいことだと思います。
個人的に今後も応援したい企業です。