見出し画像

チポトレ・メキシカン・グリル ~最新技術と本格料理で急成長するファストフードチェーン~

概略

チポトレ・メキシカン・グリルはアメリカを中心にイギリス、カナダ、ドイツ、フランスに店舗を構えるメキシコ料理レストランチェーンです。

出典:https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221122/se1/00m/020/026000c

日本では知名度が低いですが、アメリカでは最も有名なファストフードチェーンの一つであり、約1800店舗を構えています。
アメリカの都市部ならほぼ必ず店舗を構えており、ファストフードと言いつつ本格的なメキシコ料理が食べられるので非常に人気のチェーンとなっています。

出典:https://www.kimuroulab.com/entry/osusume-beikokukabu-tipotoremekisikan

メキシカンフードを提供する店としてはタコベルが有名ですが、チポトレの内容はタコベルと比べ物にならないほど本格的と考える人もおり、ファストフード店ではなく本格的なメキシコ料理レストランと考えてもよさそうです。

ビジネスモデル

チポトレのビジネスモデルの特徴は新たな顧客開拓や業務効率化を最新のテクノロジーを活用して行っていることです。
チポトレは近年、ロボット、業務自動化、食品ロスの管理、ゲーム関連テックなどテクノロジーの活用により業務の効率化や収益増加、新規顧客の取り込みに成功しています。
特に重要戦略として4つの分野があるので詳しく説明していきます。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC262OM0W3A120C2000000/

食品ロス&トレーサビリティ

チポトレは2030年までにCO2排出量を50%削減する目標の一環として食品ロスの削減とサプライチェーンのトレーサビリティ向上への投資を増やしています。
2022年には食品ロスを減らし、業務効率化を行うため需要に合わせて調理する厨房管理システムを試験導入しました。
このシステムはAIを使用し、食材の量をモニタリングします。
そして需要予測に基づいて食材をいつまでにどれほど準備すればいいのか、調理すればいいのかを従業員に知らせます。

出典:https://jpn.nec.com/vci/optimization/ai.html

また、在庫システムの追跡機能を強化し、在庫管理にかかる時間や回転期間、ミスを減らすことが期待されています。

ゲーム&メタバース

チポトレは近年ゲームやメタバース体験をはじめとするデジタル領域にも力を入れています。
2022年にはオンラインゲームを提供する企業と連携し、ゲームプレイヤーが仮想のブリトーを作ってゲーム内通貨を集め、これをチポトレで実際の商品と交換できる誘客策を始めました。
仮想体験を使って実店舗への来客を促すことで新たな顧客層の開拓にも注力しています。

業務の自動化&ロボット

チポトレはフランチャイズのコストを削減し、顧客にもっと便利で効率的な体験を提供するためロボットや自動化の領域にも力を入れています。
配送ロボットやトルティーヤチップ調理ロボットの開発
を行っており、有力な企業に出資や提携も行っています。
また、食材の種類や量を素早く正確に取り分けて皿に盛る自動調理システムを手掛ける企業にも出資しています。

奥の機械がトルティーヤ調理ロボット 出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC262OM0W3A120C2000000/

決済&特典

チポトレは顧客体験を向上し、顧客を維持するために決済や特典システムに力を入れています。
オンライン決済の企業と連携し会員プログラムの登録者に総額25万ドルを提供するキャンペーンを提供したり、抽選で「グアカモーレ」というサルサが無料になるキャンペーンを始めたりしました。
これは日本ではPayPayなどの企業がやっているキャンペーンと似たようなものですね。

また、暗号資産での決済にも対応するようにしており、現在100近い暗号資産に対応しています。
決済手段が多いと顧客も気軽にチポトレを選択肢に入れることができるようになり、この施策も成功しているといえるでしょう。

各種指標

ここからはチポトレの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。

まず、売上、営業利益どちらも毎年成長しており、非常に将来性のある企業と言えると思います。
営業利益率も毎年増加しており、2020年から2023年の数字を比べるとわずか3年で2倍以上の数字になっています。
驚くべきはコロナ禍で多くの飲食店が利益を落とした2020年から2021年にかけても成長していることです。
最新のテクノロジーを活用した業務効率化に加え、本格的なメキシカンファストフードを食べられるという2つの強みを生かした成果と言えるでしょう。

今後の展望とまとめ

以上のようにチポトレ・メキシカン・グリルは最新のテクノロジーを活用し業務効率化や顧客開拓を行うとともに、本格的な料理を提供して成長している企業と言えるでしょう。
北米の人口は今後も増加していく予想であり、ファストフードの需要も同様に増えていく予想がされています。
また、メキシカンファストフードはマクドナルドなどと差別化されており、真っ向から勝負するライバルという位置づけではありません。
そして本格的な料理を提供することでファストフードよりもレストランというイメージ付けも成功しています。

AIの成長は早く、今後も様々なテクノロジーやサービスが登場するでしょう。
チポトレはこの技術もうまく取り入れてさらに新たな価値を生むことが予想できます。

最新テクノロジーと本格料理で急成長を続けるチポトレ・メキシカン・グリル。
日本進出する時には超巨大企業になっているかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!