実は日本企業の寡占状態!オーストラリアでのビール戦争!
オーストラリアで白熱するビール戦争
オセアニア州に位置するオーストラリアのビール市場で白熱した戦いが展開されていることを知っていますか?
オーストラリアのビール市場は2社の寡占状態となっており、以下のようなシェアとなっています。
このグラフを見ると「CUB」と「Lion」の2強だということがわかると思います。
この「CUB」と「Lion」ですが、実は2社とも日本企業の傘下企業なのです。
「CUB」はアサヒグループホールディングス、「Lion」はキリンホールディングスの傘下企業です。
つまり、オーストラリアに場所を移してもアサヒとキリンは激しい火花を散らしているのです。
オーストラリアは理想的な市場
人口は増加傾向
オーストラリアの人口は現在約2600万人と日本の5分の1程度です。
しかし、人口は年々増えてきており、23年度の人口増加率は2.4%と先進国の中でも高い数字を誇っています。
移民の流入により人口が増加しているのですが、今後もその人口増加は続く見込みで2071年には4590万人まで伸びると予想されています。
日本は人口減少が著しいので人口が増えている国というだけでビジネスを展開する理由になりますよね。
ビールは国民酒
オーストラリア人にとってビールは、街中にある英国式のパブだけでなく、週末の裏庭やビーチでのバーベキューに欠かせない存在です。
国別の国民一人当たりのビール消費量の統計によると、オーストラリアは年間で101.2Lで世界2位となっており、ビール大好き国家なのです。
アサヒグループホールディングスのオーストラリア戦略
アサヒグループホールディングスは2009年にオーストラリア市場に本格参入し、2019年にCUBを買収することでシェアを拡大しました。
23年度のアサヒグループホールディングスの決算資料を見るとオセアニア事業は事業利益の42%を稼ぐ成長ドライバーになっています。
(1,106÷2,637≒42%)
オーストラリアはビール大好き国家だということもありますが、アサヒグループホールディングスはオーストラリアで人気のラグビーやテニスの競技大会でもスポンサーを務めるなどマーケティング戦略も実施しており、それが貢献したとも言えそうです。
今後アサヒグループホールディングスは低アルコール飲料に注力するとしており、2030年までにノンアルコールビールや低アルコール飲料の割合を高めていくとしています。
また、買収にも注目していきたいと思います。
アサヒグループホールディングスの有利子負債はCUBを買収した2019年に大きくなりましたが、毎年着々と減らしています。
財務を健全にすることで次の大型買収に備えているという見方もできると思います。
アサヒグループホールディングスはビールを重要な位置付けに据えつつ、マルチビバレッジ戦略を進めることで、様々な消費ニーズを満たしていくと考えています。
キリンのオーストラリア戦略
キリンは傘下にLionを持っており、オーストラリア国内で有名ブランドである「XXXX(フォーエックス)」などを展開しています。
また、RTDカテゴリーにおいても注力しており、日本でも展開している「氷結」を販売しています。
キリンの事業利益の中でもLionは約27%を占めており、キリンにとってもオーストラリア市場は大きな市場と言えるでしょう。
(324÷1199≒27%)
24年度はビールだけでなくRTD市場により注力するとしています。
アサヒもキリンも国内だけではこの先行き詰まると考え、海外に注力しています。
ビール大国のオーストラリアで成功を収めることで安定した収益をあげ、さらなる成長に結び付けてほしいと思い、個人的に応援したいです。