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日本酸素HD銘柄分析 ~安定成長を続ける産業ガスメーカーの企業研究~

概略

日本酸素HDは東京都品川区に本社を置く産業ガスを主に手掛ける持ち株会社です。

三菱ケミカルグループの傘下にあり、もともとは「大陽日酸」という名前でしたが、2020年に今の日本酸素ホールディングスに変更しました。

主要な事業として産業ガス事業、エレクトロニクス事業、サーモス事業を手掛けており、産業ガス事業では国内首位を誇っています。

海外展開も行っており、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアで事業を展開しているグローバル企業です。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00607124


事業内容分析

日本酸素HDは主に

  • 産業ガス事業

  • エレクトロニクス事業

  • サーモス事業

を展開しています。


産業ガス事業

日本酸素HDの主力事業は産業ガス事業です。

日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアで産業ガスを製造・供給しています。

そもそも産業ガスとは、エネルギーガス(天然ガス)以外の産業向けのガスのことです。

酸素や窒素などの産業ガスは鉄鋼、化学、自動車などのあらゆる産業に使用されており、私たちの生活に欠かせないものです。

日本酸素HDはその産業ガスの中でも主に酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、水素、ヘリウムを供給しています。


  • 酸素→製鉄プロセス、医療分野での吸入用など

  • 窒素→石油化学での防爆ガス、食品の鮮度を維持する封入ガスなど

  • アルゴン→金属溶接、ステンレス製造など

  • 炭酸ガス→炭酸飲料の発泡用、ドライアイスの原料など

  • 水素→ロケットの推進剤、自動車のクリーンエネルギーなど

  • ヘリウム→MRI、光ファイバーなど

でそれぞれのガスは使用されています。

産業ガスは自社のプラントと顧客の設備をパイプでつなぐため、価格競争による顧客の奪い合いが起きにくいとされるストック型ビジネスに近いのが特徴です。

そのため、一度契約をすると安定的な収益が見込めるビジネスになります。

また、半導体などの供給網の見直しや脱炭素も現在日本酸素HDにとって追い風になっています。

日本酸素はさらにM&Aも積極的に行っています。

2018年に同業の世界3位プラクスエアから、欧州事業の一部を買収し、2023年3月期の売上高は買収前のほぼ倍になりました。

また、こちらも同業のリンデから水素事業を買収しており、今後成長が期待されています。


エレクトロニクス事業

日本酸素HDはエレクトロニクス事業も行っています。

エレクトロニクス市場は現在非常に成長しています。

特に半導体市場は今後も生成AIなどの進歩によりさらに拡大していくことが予想されています。

そして半導体製造にはガスが使用されておりここに日本酸素HDのガスの需要があるのです。

また、化学・素材メーカーと連携して様々なガスや電子材料を研究開発しており、今後もこの分野の収益は拡大していくのではないでしょうか。

http://www.tn-denzaigas.jp/jp/index.html


サーモス事業

サーモス事業はおなじみのサーモスを製造販売している事業です。

真空断熱タンブラーやランチボックスなどを提供しています。

https://www.nipponsanso-hd.co.jp/business/#anc03


各種指標分析

売上高・営業利益

https://irbank.net/E00783/results#c_1を参照し作成


日本酸素HDの売上高・営業利益・営業利益率を見ていきたいと思います。

売上、営業利益利益共に近年は毎年増加を続けています。

これは半導体市場の好調や産業ガスというストック型に近いビジネスモデルを構築しているからです。

今後も半導体市場は生成AIなどを中心に成長を続けていくと見込まれていますし、産業ガスは不可欠な存在になっていくと予想しています。

日本酸素HDもそれに伴ってさらに収益を拡大していくのではないでしょうか。


EPS(1株利益)

https://irbank.net/E00783/results#c_5を参照し作成


続いてEPS(1株利益)です。

EPSは1株あたりいくら儲けているかを確認するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると判断できます。

日本酸素HDのEPSはこちらも毎年増加しており、順調に稼ぐ力を伸ばしていると判断できますね。

M&Aも積極的に行っており、それも的確な買収なので今後もこの指標を伸ばしていくと考えていいと思います。


自己資本比率

https://irbank.net/E00783/results#c_11を参照し作成


次は自己資本比率です。

自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標でこの数字が高いほど安全といえます。

日本酸素HDの自己資本比率は30%前後とやや低い印象を受けます。

これは2018年にプラクスエアを巨額買収したのが影響しています。

この点は留意しておいた方がいいかもしれませんね。

ただその後は自己資本比率も上昇傾向にあります。


配当・配当性向

https://irbank.net/E00783/results#c_23を参照し作成


最後に配当・配当性向です。

日本酸素HDの配当は基本的に減配がなく、累進配当銘柄と言ってもいいと思います。

また、配当性向も20%前後とまだまだ配当に回せる余地があるということもわかります。

事業も非常に安定していますので今後も増配が続いていくのではないかと考えています。


今後の展望とまとめ

以上のように日本酸素HDは産業ガスという今後もあらゆる産業に求められるガスを提供することでさらなる成長が期待されている企業と言えるでしょう。

日本酸素HDは中期経営計画で脱炭素社会に向けた新事業の探求を行うとしています。

鉄鋼市場やガラス、非鉄市場においても新たなソリューションを提供するとしています。

https://www.nipponsanso-hd.co.jp/LinkClick.aspx?fileticket=Sl0kh0HPzO8%3d


また、さらなる発展が見込まれるエレクトロニクス事業にも重点的に注力するとしており、成長市場にきちんと進出していく経営方針は素晴らしいと考えています。

https://www.nipponsanso-hd.co.jp/LinkClick.aspx?fileticket=Sl0kh0HPzO8%3d


今後も安定的な成長が容易に予想できる日本酸素HDは私たちの生活を見えないところで支えてくれるでしょう。

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