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ホーム・デポ ~アメリカのDIY文化と共に成長を続けるホームセンター〜

概略

ホーム・デポはアメリカのジョージア州に本社を置く住宅リフォーム・建築資材・サービスの小売チェーンです。
世界最大手のホームセンターでアメリカを中心に約2300店舗を展開しています。
ホーム・デポが特徴的なのは店舗数を増やすのではなく1店舗当たりの売上高を拡大する形で成長しており、13期連続で増収しています。

ビジネスモデル

ワン・ホーム・デポ

ホーム・デポは安さを第一の顧客提供価値と位置づけ、同業他社よりも速いスピードで成長することを目指しています。

そのための投資戦略として「ワン・ホーム・デポ」を開始しました。

「ワン・ホーム・デポ」とはデジタルとリアルをスムーズに行き来できるシームレスな買い物体験のことでホーム・デポはその実現を目指して1兆円以上を集中投資しています。

また、「ワン・ホーム・デポ」の目的は実店舗の利便性を高めたり、新カテゴリーを導入し提供商品を拡大したりすることです。
そのためホーム・デポは店舗に対して最も金額をかけています。
これは今後も事業の中核は店舗であるという考えからです。

そして店舗を核としつつもデジタルを活用した経営戦略をとっています。
求める商品を見つけやすくするためにスマホアプリのナビゲーションシステムを導入したり、精算レジやECで注文した商品の受け取りカウンターでの手続きをスピーディーにするための設備の拡大を行ったりしています。

アメリカのDIY文化

DIYは英語の「Do it Yourself」の略で日本語で「日曜大工」と同じような意味を持ちます。
コロナによる巣ごもり需要の増加もあり、世界的なDIY市場の売上は2019年時点で約60兆円に達し、計測を開始してから最も高い水準にあります。
DIY市場が最も高いのはアメリカで全世界のDIYの売上の半分以上を占めています。

また国別の人口一人当たりのDIYへの出費を見てみると1位はアメリカで一人当たり年間で約10万円を費やしています。
ちなみに日本人は約25000円です。

ではなぜアメリカではDIYが盛んなのでしょうか。

これは自分で作ったり直したりするほうが安いし早いという認識が強いということが考えられます。

アメリカは国土が広いため、修理の部品がなかなか来ないなどとにかく修理を業者に頼むと時間がかかることが多いです。
そのため、ある程度は自分で修理した方が早く直るという考え方がアメリカでは浸透しており、DIY文化が根付いています。

また、アメリカ人の約8割が中古住宅に住んでいます。
古い家でも手入れをしたり、アレンジをしたりしすることで住宅の価値は高まり引っ越しの際に購入した時よりも高く売ることが可能
です。
住宅の改築は住宅の価値を高めるための投資と考えられていることもあり、DIYの道具を扱うホーム・デポの需要も長期的に高まるといえるでしょう。

各種指標

ここからはホーム・デポの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
売上、営業利益ともに毎年増加しており、非常に優秀な企業と言えるでしょう。
また、小売としては営業利益率が15%前後というのは驚異的な数字です。

もちろんこれはDIY用品を購入する個人客が増えたということもありますが、業者向けの道具や、住宅リフォームの需要も堅調に増えているためです。
人口が増加するアメリカではまだまだ成長の余地があり、住宅の価値を高めるDIYへの需要も高まることが予想できるためホーム・デポは長期的に成長すると個人的に考えています。

今後の展望とまとめ

以上のようにホーム・デポは店舗を核としながらもデジタル戦略を取り入れることで成長し、DIY文化に欠かせない企業と言えるでしょう。

アメリカの人口は今後も順調に成長していく予想がされており、中古住宅の需要も長期的に見ると成長していきます。
中古住宅を自分で改築して価値を高めて高く売るという投資はアメリカ人の中で根付いており、文化とも言えます。
この文化は長期的にも続くと考えられますし、この文化がある限りホーム・デポも存続していく企業だと思います。

住宅の価値を高めるDIYは物を大切にする精神にもつながると考えられますし、この文化は個人的にとても好きです。

ホームセンターという生活環境を支える道具を販売するホーム・デポ。
この企業があるからこそDIY文化は今後もアメリカで浸透していくのかもしれません。

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