全国保証 ~驚異の営業利益率を誇る保証会社~
全国保証のビジネスモデル
皆さんは住宅を購入する際に住宅ローンを利用していますか?
また、住宅ローンは利用していなくても、教育ローンなど金融機関からお金を借りている方は多いかと思います。
特に住宅は人生で一番の買い物と言われるほどの金額ですよね。
住宅ローンを組むことで一括で支払える資金を持ち合わせていない人でも、一定の収入があれば、年収の何倍にもなる住宅の購入ができます。
これが住宅ローンの一番のメリットです。
ではお金を貸す金融機関から見てみましょう。
銀行などの金融機関はお金を貸せば利息収入を得ることができます。
特に住宅の費用は何十年に渡って支払うものなので、銀行は長期間利息を得ることができます。
ただ、デメリットも当然存在します。
それは住宅購入者がお金を返せないことです。
お金を貸しても返してくれないことが金融機関にとって最大のリスクであり、そのリスクに備えるために保証会社というものが存在します。
保証会社の役割は借主(この場合は住宅を購入した人)が病気や会社の倒産など不測の事態が起きて、お金を返せない場合に借主に変わって金融機関にお金を返すことです。(これを代位弁済と言います)
そして借主は保証会社に代位弁済してもらったお金を返します。
返すというのは住宅を売却するなどして返すということですね。
ではなぜ保証会社が存在するのでしょうか。
住宅ローンの借り入れというのは長期かつ多額のため、金融機関はお金を貸す前に連帯保証人を必要とします。
しかし、個人が連帯保証人になるのは容易ではなく、さらにその人の信用力の調査も必要になります。
一方で保証会社は信用力に問題ないですし、代位弁済してくれるので回収不能のリスクもありません。
また、借主にとっても家族や友人に「連帯保証人になってほしい」と依頼する必要がないというのはメリットです。
つまり、保証会社は借主にとっても金融機関にとってもメリットがある存在です。
保証会社は借主の返済能力などを審査して保証できるかを判断します。
そして、保証料を借主から受け取ることで収益を上げているのです。
つまり、保証会社である全国保証にとってはいかに多くの住宅ローンを保証するか?ということが重要になってきます。
多くの住宅ローンを保証することで保証料を受け取ることができるからです。
そして全国保証は順調に新規保証実行件数を積み上げて成長してきました。
営業収益や営業利益は順調に伸びていますし、営業利益率は驚異的な数字なのがわかるかと思います。
全国保証の強み
全国保証はなぜ営業収益や営業利益を順調に成長させることができたのでしょうか。
それは全国保証が独立系の保証会社だからです。
実は金融機関もグループ内に保証会社を保有しています。
しかし、グループ全体で見ると資金回収ができないというリスクを回避できているわけではありません。
(A銀行はグループ会社のA'保証会社から代位弁済されるが、A’保証会社が回収できない場合、A銀行グループ全体では資金回収ができていない)
そのため、金融機関はリスク分散のために独立系の全国保証に依頼するのです。
一方で全国保証にとっては独立系ということで多くの金融機関と提携することができます。
実際に全国保証は提携金融機関を増やすことで新規保証実行件数を増やし、収益を成長させてきました。
2019年をピークに提携金融機関数が減少していますが、これは金融機関の統合や合併によるものです。
ちなみに全国保証の金融機関のカバー率は90%以上とほぼすべての金融機関をカバーしており、ここが全国保証の強みです。
逆に言うと、今までは新しく提携数を増やすことで新規保証実行件数を積み上げて成長できていましたが、ほぼすべての金融機関をカバーするとこれまでのように順調に成長していくことが難しいかもしれません。
全国保証の今後を考える
全国保証の魅力は配当金だと思います。
1株配当は13期連続増配を続けており、EPSもしっかりと成長しています。
全国保証は2025年までの新中期経営計画で配当性向を50%に高めるとしています。
ちなみに2024年3月の配当性向は40%でしたので今後もしばらくは増配が期待できますね。
増配率も直近5年間は10%以上なので株主還元を意識している会社だと思います。
(下のグラフでは株式分割したうえでの配当となっています)
では、2026年以降の増配はどうなるでしょうか。
現在の市況や全国保証の財務状況から考えていきたいと思います。
まず全国保証のビジネスがうまくいっているのかわかる重要な指標があります。
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