アフリカで圧倒的存在感をもつ豊田通商のビジネス
皆さんは豊田通商の事業内容を知っていますか?
豊田通商は8つの事業を展開しており、その中身は以下のようになっています。
この事業内容を見ると他の事業と少し異なる事業があるのがわかると思います。
それが「アフリカ」事業です。
アフリカ事業だけ他の事業と比べて毛色が違うなと思うのですが、これには理由があります。
それは豊田通商はアフリカでの存在感が抜群だからです。
1922年に綿花の輸入を手掛けたときから約1世紀にわたって豊田通商はアフリカで事業を行ってきました。
1960年代からは自動車の取り扱いを開始し、完成車輸出から現地販売、販売金融、中古車販売、小規模生産など自動車事業バリューチェーンを拡大しています。
2012年にはアフリカ西・北部で事業展開していたフランスの商社CFAOの株式を取得しアフリカ全土でビジネスを展開できるようになりました。
ちなみに2016年にはCFAOを完全子会社としています。
CFAOはアフリカ西・北部で存在感があり、豊田通商はアフリカ東・南部で存在感を持っていたので完全子会社としたことでアフリカ全土で存在感を持つことになりました。
アフリカは自動車市場の大半を中古が占める「中古車王国」なので日本車のニーズは高いです。
豊田通商は下取り車や輸入中古車を点検・整備して販売する中古車店をアフリカ21か国で運営していますが、25年までに54か国で運営するとしています。
2019年からはトヨタ自動車からアフリカでの営業業務を全面移管され、現在はエジプトやガーナなどに自動車工場を設け、トヨタやスズキなどの車両を組み立て生産しています。
また、豊田通商はアフリカで自動車事業をしているだけではありません。
ヘルスケア事業では医薬品の生産や卸をアフリカ24カ国で展開し、6,000カ所もある薬局や病院に毎日配送しています。
また、消費財事業では、化粧品・ビール・ボールペンなどの消費財の生産や、ショッピングモール運営を行っています。
エネルギー事業も行っており、テクノロジー・エネルギー事業は、再生可能エネルギー(風力、太陽光、地熱など)に注力し、アフリカ各国のポテンシャルとパートナー企業の強みも生かしたプロジェクト開拓を行っています。
このように豊田通商はアフリカの生活に根差した事業を全土で行っているので事業内容にも「アフリカ」が登場するのです。
以下の図を見ても豊田通商がアフリカ全土で事業を展開しているのがわかるかと思います。
また、豊田通商はスタートアップ企業に積極投資をしており、アフリカで培った技術を日本に逆輸入したケースもあります。
例えば、投資したアメリカのドローン配送企業がルワンダやガーナで輸血用血液パックなどを病院に配送していたのですが、この技術を日本の離島で医薬品配送に活用しています。
また、アフリカの乗り合いバスの運行管理システムを手掛けるなど、すでにアフリカは私たちのイメージよりも進んだ国になっているのです。
このようにアフリカで圧倒的な存在感を持つ豊田通商はその強みを生かして新しい事業機会を創出しています。
実際にアフリカ事業は非常に好調で、2024年度実績は前年比90%と驚異的な伸びを見せ、豊田通商の中で1番の利益を生み出しています。
ちなみにこれほどアフリカが伸びた理由は西アフリカで自動車販売が伸びたからです。
もちろん中期経営計画でもアフリカに注力していくと明示されており、今後はヘルスケアマーケットでも存在感を高めようとしています。
アフリカは「ラストフロンティア」とも呼ばれ、世界各国が熱い視線を注ぐ地域です。
乳幼児死亡率や就学率などの社会指標も改善し、人口も10億人を超えて2050年には労働人口が中国やインドを抜くと予想されています。
そのため、いち早くからアフリカに進出し、すでに存在感がある豊田通商は今後も成長の余地が非常に高いのではないでしょうか。
他の総合商社とは一味違う戦略で事業を展開していると考えてよさそうです。