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【ミルボン】美容室から美を生み出す化粧品メーカー

ミルボンは、シャンプーやトリートメント、ヘアカラー剤などのヘアケア製品を製造・販売する化粧品メーカーです。

「一人ひとりの美しさを叶え、心豊かな未来を創りたい。」とブランドメッセージを発しているように「美」を追求するメーカーとなっています。

ただ、「スーパーやドラッグストアでミルボンの製品を見たことがない」という人も多いと思います。

それはミルボンの製品は美容室にしか販売されない”美容室専売品”だからです。

そのため、ミルボンの製品を買ったことがなくても、知らず知らずのうちに使ったことがあるという人は多いはずです。

そんなミルボンについて見ていきたいと思います。


ミルボンのビジネス

ミルボンの製品は美容室専売の商品、つまり業務用の製品です。

ただ、私たちのような一般消費者は購入できないというわけではありません。

実際に美容師さんに言えばミルボンのシャンプーやトリートメントを美容室から購入することが可能です。

美容室を通じて消費者に販売されている製品ということがミルボンの特徴かと思います。

大手化粧品メーカーである花王などのシャンプーやコンディショナー(市販品)は、どんな髪質でも問題を感じにくい製品設計となっているかと思います。

つまり、幅広い層で使用されるため、「不満やクレームが出にくい製品」であることが重要視されます。

一方でミルボンの製品は、髪のプロである美容師が一人ひとりの髪の状態を見極めたうえで顧客ごとのヘアスタイルやヘアコンディションの維持に最適な製品を販売するという流れになります。

そのためミルボンは様々なシャンプー、トリートメントを豊富に用意しており、多様な組み合わせを可能にする体制を整えています。

ミルボンのHPを見ると非常に多様なブランドを抱えていることがわかるかと思います。


この点は私たち消費者にもメリットがあります。
美容室でお試し体験をすることができるので、商品の効果を体感した上で購入することができるからです。

大手ブランドの化粧品メーカーは、デパートで美容部員によるカウンセリング販売を行っていますよね。
その美容部員の役割を、ミルボンでは美容師にしてもらっている、と考えれば理解しやすいかもしれません。


ミルボンの業績

ミルボンは美容室向けの製品をグローバルに展開しています。

海外売上比率は24年度第2四半期決算資料から見ると、約25%となっています。

https://www.milbon.com/ja/docs/20240630_65s2q_presentation_material.pdf


この表を見ると特にアジアに注力していることがわかりますね。
それもそのはず、ミルボンの長期的な構想ではアジアNo1の地位を固めたうえで欧米市場に進出していくとしています。

https://www.milbon.com/ja/docs/20240630_65s2q_presentation_material.pdf


そしてアジアNo1になるためにミルボンは現在韓国市場に注力しています。

今や韓国は化粧品市場で大きな地位を築いています。
韓国のメイクを参考にする人も多いですし、韓国のトレンドが世界に広がるというケースも珍しくありません。

そのため、美容大国の韓国でミルボンというブランドを認知してもらうことができれば、アジアだけでなく世界への足掛かりになるのです。

正直日本でミルボンの認知度を高める努力をするより、韓国で認知度を高めた方がまわりまわって日本での認知度向上につながるかもしれないですよね。

実際にミルボンの韓国市場での業績は好調です。
ヘアケア、カラー、パーマ剤すべて増収につながっており、順調といえると思います。

https://www.milbon.com/ja/docs/20240630_65s2q_presentation_material.pdf


一方で中国は景気が悪い状態なので、苦戦しています。
景気が悪いので美容室でカラーやパーマを控える人が多く、美容室専売品も市販品よりは高価なので買い控えが起こっていると予想されます。

https://www.milbon.com/ja/docs/20240630_65s2q_presentation_material.pdf


日本国内ではカラー剤以外は順調です。
特に化粧品については大幅な増収となっています。

https://www.milbon.com/ja/docs/20240630_65s2q_presentation_material.pdf


懸念点はカラー剤でしょう。
コロナ禍ではマスク生活で、化粧で個性を出すのが難しかったかと思います。

そのため、ブリーチなどをして髪色で個性を出す人が増え一時的にカラー剤の需要は増えました。

しかし、今はノーマスク生活になりつつありますし、今後は少子高齢化に伴って髪を染める人自体が減少していくと予想されており、苦戦するのではないかとミルボンは考えています。

一方でコロナ禍でカラーをすると、ダメージを抑えるためにヘアケアにも意識をする人が増え、高価格帯の美容室専売品の需要が高まりました。

コロナ禍を経てもヘアケアの人気は継続しており、今後も順調に推移するとミルボンは考えています。

つまり今後はヘアケアや化粧品を軸にビジネスを展開していくと考えられます。


各種指標分析

売上高・営業利益

https://irbank.net/E01039/results#c_1


ミルボンの売上・営業利益は長期的に右肩上がりなのがわかります。

特にコロナ禍で化粧品メーカーが大きく売上を落とした2020年にも微減でとどまっています。
ちなみに資生堂は10%以上売上を落としています。

おそらく、マスクをして化粧をする頻度が減ったとしても美容室に行く頻度を極端に減らした人は少ないのではないかと思います。

逆に髪にはお金をかけた人もいるかと思いますので微減にとどまったのでしょう。

もし今後新たなパンデミックが起こったとしても、同じような感じになるのかなと考えています。

また、ミルボンの営業利益率は10%を安定的に超えています。
メーカーで10%を超えると優良企業だと思いますのでミルボンは高い数字を誇っていると思います。

この理由は他の一般化粧品メーカーと比べて販売管理費が低いからではないかと思います。

資生堂などはCM等の広告費が大きく、販売管理費が70%を超えています。

一方でミルボンはCMを打つ必要がありません。
そのため、販売管理費を50%程度に抑えることができています。

結果として営業利益が大きくなると考えています。


EPS(1株利益)

https://irbank.net/E01039/results#c_1


EPSは1株当たりいくら儲けているかを測る指標で、この数字が成長しているほど稼ぐ力を高めていると考える事ができます。

ミルボンのEPSは23年度は減少していますが、10年前に比べると約1.5倍に増えています。

今年度も増加を見込んでいますし、決して悪くはない数字化と思います。


自己資本比率

https://irbank.net/E01039/results#c_12


自己資本比率は企業の財務健全性を図るための指標でこの数字が高いほど安全と判断できます。

ミルボンの自己資本比率は80%を超えており、非常に高い数字です。
財務健全性は全く問題ないかと思います。


配当・配当性向

https://irbank.net/E01039/results#c_22


ミルボンの配当は減配がなく、累進配当となっています。
実際に決算資料でも「減配はしない方針」を掲げており、今後も減配リスクは低いかと思います。

https://www.milbon.com/ja/docs/20240630_65s2q_presentation_material.pdf


配当性向は徐々に高まっており、今年度は70%と比較的高い数字になっているのがやや注意しなければならないことかなとは思います。

ただ、今年度以外は40~50%程度なので配当余力はまだあると考えています。

ミルボンは美容室専売品のメーカーなので一般認知度は高くはないですが、他の化粧品メーカーと比べて安定したビジネスを展開していると思います。

海外展開も積極的に行っていますので、今後は世界の「美」を陰ながら支えるメーカーになってほしいと思います。

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