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ベッド・ゴードン エンプティ・ニューヨーク
先日のお休みはエスパス ルイ・ヴィトンの『ウラ・フォン・ブランデンブルク展』(前回の記事参照)に行った後、シネヌーヴォへ向かいベッド・ゴードン監督の代表作『ヴァラエティ』(1983) を観ました。
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ベッド・ゴードンは、1970年代末から80年代のニューヨーク, アンダーグラウンドカルチャーの潮流”ノー・ウェイヴ”の渦中にいた映画監督です。
本作の主人公は、とあることからポルノ映画館で働き始めた若い女。
ある日一人の男性客と言葉を交わし、以来その男を追いかけるようになります。
本作には、ドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』でも取り上げられたアメリカのアメリカの写真家であり活動家のナン・ゴールディンも出演していました。
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今回のベッド・ゴードン作品の日本での特集には『EMPTY NEW YORK』とのタイトルが名付けられているのですが、まさに“エンプティ”な当時のニューヨークの街と人を映し出した作品で、とにかく映像がとても魅力的でした。
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こんなボリューミーなカールスタイル、今の時代で若い世代の子がやってたら最高にクールだと思います。
僕は後ろのオッサンのエロティシズムと哀愁漂う視線も好きです。
(今の時代ではこの視線もおそらくハラスメント)
今の時代になって、ようやく世界中で女性(だけでなく性的マイノリティな方も)の権利や平等性を主張する声も社会の隅々まで届けることができるような環境になってきましたが、80年当時はゴリゴリに女性軽視する人がいたり(もちろん今の時代にもまだまだいますが…)性の対象としての女性の見られ方や扱われ方もきっと酷いものだったのだと思います。
本作の主人公は、休憩中でも何も恥ずかしがることなく館内のスペースで気楽に過ごしたり、男を追いかける最中で男性客しかいないポルノショップに堂々と入っていったりと、ポルノというものが男性の為だけに存在している「女性が入ってはいけない場所」という認知性にも疑問を投げかけているようでした。
《セクシュアリティ》《欲望》《権力》をテーマに、大胆な探求と創作を行なってきたベッド・ゴードンの映画。
気になる方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!
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