変わりゆく街のにおい
今、バンコクにいる。
ようやく行動の制限が無くなって自由になった今年の年越しは、バンコクで過ごすと決めた。
念願叶って、出逢って5年が経つタイの友人を訪れている。
平均気温は27℃と聞いて覚悟をしたけど、乾季のこの時期はカラッとした空気と風のおかげで過ごしやすいと感じた。
朝、友人たちが目覚める前に近くの公園を散歩した。
彩豊かなブーゲンビリアが咲き誇る道を抜けて、
日本では聞いたことのない、色とりどりな鳥たちのさえずりを聴く。見たことのない果実がなる木を触ってみる。
豊かな自然が心を癒してくれる。
まるで楽園のようなを公園内の川沿いを歩いていると、突然腐敗臭が漂った。
見ると、死んだ魚が、川にたくさん浮いていた。心が痛む。
聞こえてきた騒音に空を見上げると、
飛行機が真上を飛んでいる。
バンコクの中心部に行った時、
今のバンコクは、PM2.5の影響で遠くまで景色が澄んで見えないのだと友人から聞いたことを思い出した。
楽園のようなこの場所に、何か危険信号を感じる。
生活が物理的に豊かになって、
便利になるということ。
生活する国民にとって、
また私の様な旅行者にとっても、ありがたいと思うし、そうであってほしいと思う。
でもそう思う一方で、
この豊かな自然を壊さないでほしい、
生態系をこれ以上崩さないでほしいと願ってしまう。
今世界中で起こっている、
矛盾する願いの間で揺れる。
物理的な大きな幸せを望まず
今自分にできることから始める、続ける。
大きなことは私にはできない。
でも、できることはある。
いつかここへ戻ってきた時にも、
美しい自然が変わらずあり続けるように。
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