日経平均株価が最高値更新! 日本株への投資はまだ間に合いますか?
【特別対談】エミン・ユルマズさん(エコノミスト)×白木久史さん(三井住友DSアセットマネジメント)
およそ34年ぶりに最高値を更新した日経平均株価。「バブルの再来なのでは?」という声も聞こえてくるが、果たして日本株はまだ上がるのか。以前より日本株を買うべきと主張しているエコノミストのエミン・ユルマズさんと、ストラテジストの白木久史さんが語り合った。
日経平均4万円はまだ初動段階
日本株投資を始めるなら今?
白木 2月22日、日経平均が34年ぶりに史上最高値を更新しました! 3月4日には4万円も突破と、まさに急展開ですね。
エミン 実は、2月22日は僕の誕生日なんです。本当にうれしいプレゼントでした(笑)。
投資マインドの変化が
株高をもたらす結果に
白木 ここまで日本株が上がった要因は何だと思いますか。
エミン NISAの制度変更により、「貯蓄から投資へ」の流れが本格化したことが1つですね。でも、これは刺激剤にすぎません。背景にあるのは、急速なインフレによる日本人のマインドの変化です。
このまま物価が上がり続けると、貯蓄だけでは資産が目減りしてしまいます。その不安が人々を株式投資に駆り立て、日経平均の上昇をもたらしているのではないでしょうか。
白木 「どうやら、このインフレは長引きそうだ」という見通しも、投資へのシフトを加速させているのかもしれませんね。
直近の物価動向を見ると、特にサービス価格の上昇が顕著になっています。これまでさほど上がらなかったサービス価格が、賃金の上昇圧力とともにジリジリ上がり始めたことに、人々は「インフレ長期化」の兆候を感じ取っているのではないかと思います。
エミン 賃金が上がっても、その分を価格に上乗せできれば企業の収益力は高まります。日本企業の業績は、この先も上向いていくでしょうね。
今のPER水準なら
株価の上昇が続く可能性
白木 ということは、日本株は今後も上昇が続くのでしょうか。エミンさんの答えは〇? それとも×?
エミン ズバリ、〇です!
白木 おおーっ。これだけ日経平均が上昇すると、「バブルの再来? 今買うのはちょっと怖い」という人も結構いらっしゃいますが、エミンさんがまだ上昇するとみる理由は何ですか。
エミン だって、今の日本株は全然割高じゃないから。日経平均は過去10年で約3倍上がったけれど、PER(株価収益率)は10年前とほぼ同じ16倍前後です。つまり株価とともに利益も3倍になったということ。日本企業のファンダメンタルズは明らかに改善されているんです。
よく1980年代のバブル期を引合いに出す人がいますが、89年に最高値を記録した時のPERは約61倍ですよ。今の4倍も割高だったので、暴落しても何の不思議もなかったのです。
今のPER水準なら、日経平均が暴落するリスクは低いですし、上昇が継続する可能性のほうが大きいといえます。
日経平均は長期にわたる
上昇トレンド入りか
白木 海外と比べると、日本株の水準はまだまだ割安ですよね。2023年は大幅に株価が上昇したにもかかわらずPBR(株価純資産倍率)1倍割れの上場企業が48.7%にも上っています。米国は2.8%ですから、明らかに多すぎです。
私は、日本株が上がったのは、「デフレからインフレへの転換」という外部環境の変化とともに、日本企業が「株主重視」の姿勢を強めたという内部要因の影響も大きかったとみています。
今後、資本コストや企業価値を意識した経営によりPBRが1倍を超える企業が増えて、日本株は上昇の余地があるのではないでしょうか。
エミン 同感です。
白木 では、最後の質問です。今から日本株投資を始めても、まだ間に合うと思いますか。
エミン もちろん〇!
なぜなら僕は、2050年までに日経平均が30万円台に乗せる可能性もあるとみているからです。僕の研究によると、日本株は2013年に始まり、今後約30年程度は続くと期待される長期上昇トレンドの真っ最中なのです。
日経平均4万円台は、まだ初動にすぎません。日本株投資を始めるのに遅すぎるということはないでしょう。
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