セックスアンドロイドのこころ(11)
私とKは、月に行くため、中型の飛行機に乗った。空気のあるところまではジェットエンジンで行き、そこから先はロケットエンジンで月へ行く。飛行機は、ジェットエンジンを下に向けて垂直に浮かび、ジェットエンジンの向きを徐々に水平方向に変えて上昇していく。飛行機の中は広く、快適だった。自動運転のため、二人だけである。時間は、朝日がのぼるところだった。空がピンクに染まっていた。
成層圏になり、ロケットエンジンに切り替わった。Kは、初めての無重力のなかで滑るように空中を移動することを楽しんでいた。
「地球がとてもきれい」
「そうだね」
「私が守る」
慈愛に満ちた表情のKは地球を見つめていた。
「頼もしい」と言ったが、心からそう思った。
飛行機は格納庫に入った。格納庫に酸素が充填され、外に出た。引力が地球の六分の一しかないため、手すりを捕まりながら、移動した。
私は、アンドロイドのもととなる、ボットの会社を学生時代に起業した。ちょうど、CPU、電池等が急速に進化していた。そのため、ボットを小型化することに成功した。こうして、ボットを使ったアンドロイドにも成功した。
人間のあらゆる仕事をアンドロイドがするようになった。人間は仕事をしなくなった。
こうなることは、予想できたため、その前に、世界中の国がベーシックインカムを導入していた。
労働から解放された人間は、そのほとんどが、何もしなくなった。一割ほどの人間は、好きなことをした。
人間は、幸福が、人との関係あることを教育されていた。しかし、一人でいることの気楽さ、他人と関わる面倒さから一人でいる人が多かった。
セックスは、男女とも、アンドロイドとしていた。子供が生まれなくなった。このままでは、人類は絶滅する可能性があった。
そのため、アンドロイドに反対する集団が生まれた。彼らはアンドロイドを破壊しようとしたが、何をされても、百分の一ミリのボットになって逃げられると、何もできなかった。
そのため、ボットとアンドロイドをつくった、私に怒りの矛先が向いた。
私は、セーフティハウスを無人島、月などにつくり、住んでいた。セーフティハウスは、百キロの周囲を十キロごとにボットのドームで守っている。重火器、核兵器からも守れる体制をつくった。
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