誰もが一度は考える塾のやめ時と続ける条件。受験に直結する進学塾なら尚更。本気で受験を考えれば悩むのは当然のこと。やめる決め手と続ける条件はコレ! 元SAPIX講師/室長がズバリ答える第10弾!
保護者:「塾の先生に聞くのも変なんですけど、塾をやめるのって何か決め手みたいな
のってありますか?」
アオイ:「大丈夫です。僕はもう塾の人間じゃないんで(笑)」
保護者:「こんな質問でなんかすみません」
アオイ:「いえ、大事なことです」
「進学塾に通うということは、今より学力や成績が上がり、最終的に希望の学校に合格する
ということですから、今通ってる進学塾でそれが叶わないと判断すれば続ける意味はあり
ません。特に進学塾は」
保護者:「そうなんですよ。受験結果はね、こればっかりはわからないものなんで仕方ないんですけ
どね。日頃から努力している様子が見られなかったり、クラス分けテスト、タイトル模試
なんかで悪い結果ばっかだと虚しくなってきちゃって。面談に行くのも億劫で。お金も
ね、払っても払っても効果がないとなるとやっぱりね」
保護者:「うちなんか、通い始めて3年だからお金も時間も労力もそれだけかけてきてるからやめる
にやめられないのよ。いつか成績もクラスも上がるだろうって期待しちゃうんだよね。ず
っと悪けりゃ踏ん切りもつくんだけど、良かったり悪かったりするともう少し、もう少し
だけってね。どうしたもんかなあ」
保護者:「わかるわー。いつか、そのうち、って言ってる間に1年があっという間に過ぎて、またこ
の1年も変わらなかったあ~って、もう諦め慣れて…」
保護者:「本人がやめるって言えば即行でやめさせるんだけど、これが本人はあっけらかんとして、
やめな~い!がんばるぅって言うし」
保護者:「うちもそんなんで中途半端だから、この前、遂に約束させたわよ。具体的にね。次のクラ
ス分けテストでクラスを上げるか、苦手な算数の点を20点以上、上げるか、算数と国語
の平均偏差値を5上げるか、この中のどれかをクリアしないと塾やめさせるってね。さす
がにビビって勉強すると思うけど…」
保護者:「最終手段ね。それで効き目があればいいけど。親の本音としてはやめさせたくないのよ。
頑張ってほしいもん。せっかく進学塾通ってるんだから合格してほしいのよ。行きたい学
校あるんだから」
保護者:「すみませ~ん(笑)。保護者だけでテンション上がっちゃって(笑)」
保護者:「この手の話はとにかく盛る上がるわよね」
保護者:「そうそう(笑)深刻な問題のわりにね(笑)」
保護者:「やめるにしても続けるにしても決め手が曖昧で。塾の先生に聞くわけにもいかないでし
ょ、こんなこと。あ、すみません。アオイ先生」
保護者:「あら、私は以前、塾の先生に聞いたことあるわよ」
保護者:「へえ~、で、なんて?」
保護者:「先生は、やめるのは簡単だけど、続けてほしいって。継続する大切さっていうか、子ども
に途中で投げ出す、やめ癖を植えつけさせたくないって」
保護者:「正論よね。でもなんかしっくりこないっていうか。このまま成績もクラスも上がらないま
まズルズルいくのは違う気がする。子どもがやめない、やめたくないという言葉を信じて
ね。この言葉はずるいのよ。やることやらないで塾に行かせてくれ!っていうの。やるや
る詐欺でしょ(笑)。ただじゃないんだから。やはり決め手がほしい」
保護者:「アオイ先生のお考えは?」
アオイ:「やめるやめないの理由や決め手は今皆さんが話されてたようにいろいろあって、その対策
も様々。この問題は受験生を取り巻く人たちに常につきまとう悩ましい問題です」
「成績やクラスが上がれば続ける。変化なしもしくは下がればやめさせようかどうしょうか
悩む。全体的にこんな感じですよね。対象は、変化なしもしくは下がった子どもの処遇で
すよね」
「この子たちに条件を出してクリアすれば続ける。クリアしなければやめさせるという手法
自体はいいと思います」
「ただ僕が思うに、条件が少々厳しいかと」
「塾にいたとき、その条件内容もまたその結果もよく知っています。たいてい同じ条件でし
た」
「進学塾でクラスや偏差値を短期間に上げることは容易ではありません。条件のハードルが
少し高いんですね」
保護者:「じゃあ、アオイ先生はその条件のハードルを下げろと」
アオイ:「そうです。条件に段階を持たせるというか。今まで何事も中途半端な状態だった子にいき
なり成績やクラスを上げるというのは荷が重いわけです」
「例えば、算数で言うと、これまでのテストを見直して、弱点の単元やケアレスミスの多い
問題を分析して、その弱点の単元やケアレスミスの多い問題だけでいいから、次回のテス
トで納得いく点を取る。この一連の作業であるテストの見直し、分析に時間をかけるのも
条件に入れます。問題数は1つか2つでいいです。計算問題や易しめの図形の基礎問題で
いいでしょう。大問の1だけとか、それも全問正解でなくてもいいです。そこは話し合い
で!」
「部分的(小範囲)なものを目標とし、クリアさせ、自信を少しだけ持たせる。決して、最初は
総合得点や偏差値、クラスを条件にしない。徐々に徐々に!」
「じれったいかもですが、この小さなクリアと自信の積み重ねが進学塾で上がっていく秘訣
です」
「大人は、親は、すでに受験をある程度経験してますから先を急ぐというか、条件を高く設
定しがちなんです。(受験に)間に合わないと考えて。間に合わなかったら間に合わなかった
でその時考えればいいくらいの気持ちで。焦って出した答えにいい答えはありません。受
験で何を学ぶか?期待するか?合格の二文字も魅力的ですが、お子さんが自信をつけ、成 長することです」
「塾に行きたくないと言わないならやる気は少しはあるんで、続ける条件を低く設定してクリ
アするようサポートしてあげてください」
「子どもたちは自信を失うことが多く、それに慣れっ子になっています。それを緩和させるた
めのサポートが必要です」
「せっかくお金、時間、労力をかけるのだから塾を利用するのはもちろんですが、やめるや
めない問題が浮上した時(この機会をネガティブに捉えず、チャンスと捉える)、条件をよく
よくお子さんと話し合い、家族会議という形で、クリアできて且つ、後々テストで力が発揮
できるような戦略を立ててみてください」
「高いハードルではなく、基礎的心構え(たとえ結果が伴わなくても日頃の努力はする)や基礎
作業(テストの見直しやケアレスミスなどの分析)、基礎問題の強化などが実行できないのな
ら今は進学塾ではないと思います。進学塾に席を置いてもわからないことが増えるだけで
受験も良い結果は期待できません。進学塾は厳しく、残酷ですから」
「僕は進学塾を継続するためには、子どもの適性と子どもにも義務が伴うと思ってます。進学
塾はやはり適性が関係してきます。競争社会ですからメンタルの強さも求められるし、基礎
学力、基礎作業(写すスピード、解くスピード、理解するスピード)も要求されます。成長度
にもよりますが小学生は特に違いが顕著ですから。それと厳しいことを言うようですが、義
務は伴うと思います。たとえ小学生でも。言うだけの人間になってほしくないので。勉強す
るということは知識や思考力が豊かになり、自分の置かれている立場や状況も判断できるよ
になるということです。進学塾では受験テクだけではない学びを学んでほしいと思っていま
す」
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。お疲れ様でした。
ということで、次回「正直アオイ塾(アオイnote)vol.11は、『SAPIXのトリセツ(前編)』」です。
では、次回も「正直アオイ塾(アオイnote)」をよろしくお願いします。
アオイナオ