見出し画像

あなたにはため口で話して欲しい人がいますか?

介護士として、私は日々さまざまな入居者様と接しています。それぞれが異なる人生を歩んできており、個々に価値観や感情の持ち方も異なります。

そんな中で、コミュニケーションの取り方は非常に大切な要素です。特に、敬語や丁寧な言葉遣いについては、介護の現場で重要視されがちです。

ですが、時々ふと思うのです。「もしかしたら、もっとリラックスした言葉遣い、つまり『ため口』の方が、入居者様との距離が縮まるのでは?」と。

このブログでは「ため口で話すこと」について考えてみたいと思います。そして、最後に問いかけたいのは、あなたにはため口で話して欲しい人がいますか?ということです。

ため口の意味


ため口とは、簡単に言えば、フランクな言葉遣いのことです。友達同士や家族の中で使われる、相手との距離感が近い時に使われる言葉遣いとも言えます。

敬語や丁寧語とは異なり、ため口は相手に対して親しみやすさを示す一方で、誤解されると失礼に思われることもあります。

老人ホームでの仕事では、基本的に入居者様に対して丁寧な言葉遣いが求められます。

それが相手への敬意を表す方法であり、安心感を与えるための重要な手段だからです。

しかし、私は「ため口」という選択肢も、人と人との関係を築く上で非常に効果的であると感じています。

入居者様との対話で感じたこと


ある日、90歳を超えた入居者様と日常の何気ない話をしていると、突然こう言われました。

「そんなにかしこまらなくていいよ。もっと普通に話してくれた方が嬉しいんだ」。

その時、私は少し驚きましたが、同時にその言葉には温かさがありました。

その方にとって、丁寧な言葉遣いよりも、もっとフランクな、心の距離を感じさせない言葉を求めていたのだと気づいたのです。

その日から、私はその入居者様にはできるだけ自然体で、ため口に近い形で接するようにしました。

すると、以前よりもさらに打ち解けた会話ができるようになり、彼の本音や悩みを聞く機会が増えました。ため口で話すことが、その人との距離をぐっと縮めた瞬間でした。

ため口のメリットとデメリット


もちろん、ため口には良い面と悪い面があります。まず、ため口のメリットは、やはり親近感が増し、相手とのコミュニケーションがよりリラックスしたものになることです。

特に高齢者の方々にとって、かしこまった言葉遣いは時に距離を感じさせ、心の壁を作ってしまうことがあります。ため口で話すことで、もっと本音で話し合える関係が築けるかもしれません。

一方で、デメリットもあります。ため口は、相手がそれを望んでいなければ逆効果になる可能性があります。

特に、年齢差や社会的な立場の違いがある場合、ため口が失礼だと感じられることも少なくありません。相手がどのような言葉遣いを望んでいるかを見極めることが非常に重要です。

あなたにはため口で話して欲しい人がいますか?


この問いを読者の皆さんにも問いかけたいと思います。あなたの周りには、ため口で話して欲しいと思う人がいますか?

たとえば、友人や家族、職場の同僚、あるいは年上の人に対して、もっとリラックスして会話を楽しみたいと感じることはないでしょうか。

また、逆にあなた自身が、誰かにため口で話しかけてほしいと思うことはありますか?

私たちは時に、誰かと距離を置いてしまうことがありますが、ため口で話されることで、気持ちが軽くなり、もっと自由に本音を話せるようになることもあります。

特に、親しい人との間では、ため口がその関係をさらに深めてくれるかもしれません。

介護の現場での言葉遣いの選択


介護の現場では、言葉遣い一つで入居者様との関係が大きく変わることがあります。

丁寧な言葉遣いは相手への敬意を表すために大切なものですが、それが時に形式的で、相手にとって心地よくない場合もあるのです。

私が大切にしているのは、入居者様一人一人の個性やニーズを尊重することです。

言葉遣いもその一環として、相手がどのようなスタイルで話しかけられると安心できるのか、心地よいと感じるのかを見極める必要があります。

敬語が心地よい方もいれば、もっと親しみやすい言葉を好む方もいます。

ある入居者様は、私に対して「お兄ちゃんみたいに話してほしい」と言ってくれました。

その言葉を聞いた時、私はため口で話しかけることがその方にとっての安心感や信頼感を生むのだと感じました。

もちろん、すべての入居者様が同じようにため口を望むわけではありませんが、その方に合ったコミュニケーション方法を選ぶことが重要です。

あなたの周りの人とのコミュニケーション


この話は、介護の現場に限ったことではありません。私たちは日常生活の中でも、誰かとの距離感を言葉遣いで調整しています。

敬語が適切な場面もあれば、ため口で話すことでお互いの関係がより良いものになる場面もあります。

たとえば、友人との会話で、あまりにもかしこまった言葉遣いを続けると、どこか距離ができてしまうかもしれません。

一方で、ため口で話すことで、お互いの信頼感や親近感が高まり、本音で語り合うことができる関係が築けることがあります。

職場でも同様です。上司や同僚との関係において、状況に応じて言葉遣いを柔軟に変えることが求められます。

もちろん、職場では礼儀が重要ですが、時にはため口での会話がチームの絆を深め、より良いコミュニケーションを生むことがあります。

さいごに


「ため口で話して欲しい人がいますか?」という問いは、私たちの周りの人間関係を見つめ直す良いきっかけになるかもしれません。

ため口で話すことで、親しみやすさや信頼感が生まれる一方で、相手によってはそれが不快に感じられることもあるため、適切な判断が必要です。

しかし、時にはリラックスした会話が、お互いの関係をより深く、豊かにしてくれることがあります。

私たちは、言葉を通して相手と心を通わせることができるのです。

ぜひ、あなたの周りの人との会話を思い返し、ため口で話すことで生まれる新たなコミュニケーションの可能性について考えてみてください。

そして、あなた自身が誰かにため口で話してもらいたいと感じる瞬間があれば、その気持ちを大切にしてみてください。

それは、相手との関係を一層深めるためのサインかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

このブログを気に入っていただけたらサポートお願いします。
微力ながら私なりに、高齢者の労働環境整備を進めています。
小さな金額でも私にとって大きな力になります。
応援していただけると嬉しいです。
 
【サポートしていただいた方へ】
 
お礼として言葉を送らせていただきます。

ここから先は

47字

¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?