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らくは楽しくはならないが、楽しければらくになる

介護の現場は日々多忙で、体力的にも精神的にも大変な場面が多い仕事です。その中で、「いかにしてこの仕事を続けていくか」という問いは、多くの介護士が一度は考えるテーマではないでしょうか。

日々の業務を「らく」なものにしたいと思う気持ちは当然です。しかし、現実には「らく」を追求するだけでは、楽しさや充実感は得られないことが多いと感じます。

一方で、仕事に「楽しさ」を見出すことができると、不思議とその忙しさや大変さが気にならなくなり、心が軽くなるのを実感します。つまり、「らく」を求めても楽しくはなりませんが、「楽しさ」を見つけることで結果的に「らく」になるのです。

この記事では、介護士として働く中で実感した「楽しさ」がもたらす力と、それを日常の中でどのように見つけていくかについてお話ししたいと思います。
 

「らく」とは何か?

まず、「らく」とはどのような状態を指すのでしょうか?一般的には、「負担が少ない」「ストレスがない」といった状態を想像するかもしれません。

確かに、「らく」な状態は一時的に気持ちを軽くしてくれることがあります。しかし、「らく」を求めるあまり、目の前の仕事にやりがいを感じられなくなったり、単調な日々に満足感を失ってしまったりすることもあるのです。

介護の現場で言えば、「効率を重視するあまり入居者様との時間を削る」「業務をただのルーティンとしてこなす」といった状態がこれに当たるかもしれません。それでは、私たちの仕事における本来の喜びや成長を見つけることは難しくなります。
 

「楽しさ」がもたらす力

一方で、「楽しさ」は、私たちにエネルギーや希望を与えてくれるものです。介護の仕事には、困難や負担がつきものですが、その中にも楽しさを見つけることができれば、大変な状況でも前向きに取り組むことができます。

入居者様との交流がもたらす楽しさ


例えば、入居者様との何気ない会話や、笑顔が返ってくる瞬間。これこそが、介護士にとっての楽しさのひとつではないでしょうか。

ある日、いつも無表情だった入居者様が、私の冗談に微笑んでくれたとき、胸がいっぱいになる喜びを感じました。その瞬間が、私にとって仕事の「楽しさ」となり、疲れを忘れさせてくれる原動力となったのです。

チームで働く中での達成感


また、同僚と力を合わせて問題を解決したときの達成感も、楽しさにつながります。介護の現場では、時に入居者様の急な体調変化に対応する必要がありますが、チームで協力して乗り越えた後には、共に働く仲間との絆が深まり、心の中に充実感が広がります。

自分の成長を感じる喜び


新しい介護技術を習得したり、認知症ケアの対応力が向上したりすることで、自分の成長を実感できる瞬間も楽しさのひとつです。「昨日よりも少しうまく対応できた」「入居者様により安心してもらえた」と感じることが、仕事へのやりがいやモチベーションを生むのです。
 

楽しさを見つけるための工夫

では、どうすれば日々の仕事の中で楽しさを見つけることができるのでしょうか?ここでは、私が実践しているいくつかの工夫をご紹介します。

小さな喜びを意識する


介護の仕事は、目に見える成果が分かりにくい部分もあります。そのため、小さな喜びに目を向けることが大切です。例えば、「入居者様がいつもよりご飯をたくさん食べてくれた」「ありがとうと言われた」といった些細な出来事を記録することで、日々の中に楽しさを見つけやすくなります。

自分のペースを大切にする


楽しさを見つけるためには、無理をせず自分のペースで仕事に向き合うことが大切です。焦らずに一歩ずつ進むことで、目の前の出来事にじっくり向き合い、楽しさを感じる余裕が生まれます。

入居者様と一緒に笑う


笑いは楽しさの源です。入居者様と冗談を言い合ったり、施設内でちょっとしたイベントを開催したりして、笑顔を共有する時間を作ることで、仕事がより楽しいものになります。

チーム内でのコミュニケーションを深める


同僚と良好な関係を築くことも、楽しさを見つける大きな鍵です。仕事の合間にお互いの近況を話したり、困ったときに相談し合える関係を築くことで、職場の雰囲気が明るくなり、楽しさが広がります。
 

楽しさが「らく」を生む瞬間

「楽しければらくになる」という言葉の通り、楽しさを感じることで、心の中の負担が軽くなるのを実感します。たとえ忙しい日々であっても、楽しさを感じるときにはその忙しさが気にならなくなり、不思議と疲労感が薄れていくのです。

例えば、入居者様が笑顔で「あなたがいてくれてよかった」と言ってくれた瞬間。それは、どんなに大変な状況でも「この仕事を選んでよかった」と思わせてくれる特別なひとときです。

また、同僚との雑談やチームでの達成感も、仕事を「らく」に感じさせてくれる重要な要素です。楽しさを共有できる環境があることで、職場での負担も軽減され、日々の業務を前向きに取り組むことができます。
 

まとめ

「らくは楽しくはならないが、楽しければらくになる」という言葉は、介護の現場で働く私たちにとって、とても深い意味を持っています。

ただ負担を減らすことを追い求めるのではなく、日々の中に楽しさを見つけること。それが、結果的に仕事を「らく」にし、自分自身の心も満たしてくれるのです。

介護の仕事には、確かに大変な部分もありますが、その中にある「楽しさ」に目を向けることで、心が軽くなり、充実感を得られるはずです。

皆さんもぜひ、自分なりの「楽しさ」を見つける工夫をしてみてください。それが、仕事をより充実させるだけでなく、人生そのものをより豊かにする鍵になるのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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