女花火師

おなつがけんぺいながやのやへいを尋ねてみると　やへいが誰かに刺し殺されていました　

犯人は二人組らしい　　
おなつとやへいは半年前にいちど会っていました

やへいとおなつ

7、8年ぐらい前のきくやという花火やが火事の時を調べることに   　すると
途中で南町奉行所に変わりまして　わからないとのこと　多分上の方からのさしがねでしょう

火事のことですが3人が焼け死んでまして　火薬裏に火がへえったか　それがでございます　きくやの火薬裏はむこうじまの仕事場の方にありまして　店の方には火薬はおいてない　爆発音がして　隣り近所にも火が燃え広がったとか　何者かが店の方に火薬を仕込んで火をつけたんだと私はにらんでます　なるほど

行方が知れなくなった者が一人いるそうだな
よしざふろうという家来でして　噂ではきくやの婿になるはずだったと
きくやは花火のこうぎょうと花火造りのいっさいを仕切っていましたが　そのけんりを引き継いたのがえんしゅうやもとえもんという男でして　もともと花火師のもとじめだった男でして　なかなかのやりてでございます
いまや日本中の花火をえんしゅうやが仕切ってるのか

南蛮花火と日本の花火はどう違うんだい？！
火薬の調合が違います　日本の物よりか数倍明るく　導火線を使って数十発の花火が一度に打ち上げられます

それは面白いね

今の女きくやの娘です
となるとまずいことになるな
南蛮花火の仕掛けを教えてもらってからでも遅くはない

よしべえがよしざふろうだとしても奥さんと子供さんもいるだろうし　夫婦の約束を交わしたねつけを持ってるんだ　今でもおなつさんのことを忘れられすにいるに決まってる

おれんと言う女と番頭のよしべえ同じ穴のむじなです
えんしゅうやの番頭はよしべえ唐獅子のねつけを持っていたのもよしべえ　きくやの火事で行方が知れなくなったのは　おなつさんと夫婦の約束をしたよしざふろう
えんしゅうやはおれんとよしべえを使ってきくやに火をつけ乗っ取ったことになる

お嬢様　お忘れですか?

よしざふろうでございます

お前と夫婦を誓ったこの唐獅子が引き合わせてくれたんだね　
お前もずっと持っててくれたんだね　
それがあの晩どこかにに落としてしまって　
やへいさんが見たのは別の人なの？！
やへいって誰だ
唐獅子のネックレスを持ってるって教えてくれた人さ
だから私は江戸に出てきたんだよ
じやぁ　誰か　拾った人がいたんですね

どうして名前を変えたんだい
じつは北町奉行所のさったというよりきに付け火の下手人にされそうになったんでございます
どうして
あの晩お嬢様は留守だったので何も覚えてないでしょうが旦那様は奥さんを殺し店に火を付けたのはそのさったというよりきなんです
なんでお奉行所のお役人が
詳しい事はわかりませんがおそらく旦那様が多額の借金をしていたからでしょう
その金が返せぬ為に　私はその時　刀をさげて火をつけているあの男の姿を見てしまったのです
本当の事なの　それは
本当の事でございます
えんしゅうやの親方が私をかばってくれました
そのさったというよりきはすぐにお調べから外されたはずではありませんか
それも幕府の偉い方に顔の効くえんしゅうやさんが
そんなに顔が広いのえんしゅうやさんて
ええ　それはもう　今度もお嬢様の事を知ってきくやの店を立派にたち直されるのに力を貸して下さるとおっしゃっておいでです
ありがたいことね

そのさったというよりきがいなければ昔のよしざふろうに戻れるのかい
それはもう

それじゃ　どうすればいいの
殺すしかない！！
殺す？！　どうやって？！
お嬢様が手を貸してくれれば
わかったは　手を貸すは！！
花火の事故に見せかけるのです
そうすればきくやの店も元通りになり
お嬢様と私は幸せに暮らせるのです

奴が私に近づいたら火をつけるんだ