0267.ピノは、無い!!
【昨日 9月11日水曜日】
午後、A病院での循環器科外来受診を終え、午後2時45分に病院駐車場からトヨタスペイドを出した。あとはご近所ローソンに寄って、夕食のために何かと、森永のアイス「ピノアソートパック」と伊藤園「おーいお茶 1L」を買って帰るだけだ。病院が早く終わって気分がいい。
車の T-コネクトを使って母親のケータイに電話を入れた。
「いま終わった、これから帰るよ」
「あのね、お願いがあるんだけど」
聞けば、お昼、カップうどんを食べようとしてやかんにお湯を沸かしたら、やかんに手が引っかかって火傷をしたという。
「どこ、どこにかけたの?」
「ひざ、とひざの上」
「広いの?」
「ひざの裏も…」
「塗り薬買ってく?今ちょうどマツモトキヨシの前だから…」
「お願いします」
マツモトキヨシの駐車場に車を入れた。火傷なんてしたことがないからどれを買えばいいのかわからない。店員さんに薬剤師さんはいませんかと訊くと、今日はいないという。ならばいい、自分で探す。ああいつも行っているマツモトキヨシフォルテ船橋店なら常時薬剤師がいるのになー。しかし、線路を超えた向こうの通りだ。気が急いているので行きたくない。なにか、合う薬がこの店に無いだろうか。
あったあった、「ドルマイシン軟膏」があった。「けがややけど等の化膿予防及び治療、とびひなどに」と書いてある。俺はドルマイシン軟膏をお尻のおできに使っていて効果を実感している。怪我や火傷で怖いのは感染症である。治る過程で菌やウイルスに感染すると全身に回り、怪我や火傷は治ったとしても、やがて敗血症に陥り最悪なケースでは死に至る。
俺は、以前仕事で脚に打撲を負った。医療機関にはかからず打撲は治った。しかし、数日後、熱が出た。異常な寒気もあるが、咳もクシャミも出ないので風邪ではない。仕事帰りにA病院で診てもらうと「敗血症です。入院して点滴を受けてください」と医師に言われた。
「じゃ、車を置いてきてまた来ます」
「なーに、言ってんですか、あなたいま、死にかけてるんですよ !!」
「ごめんなさい、すぐ入院します」
そういうことがあり、感染症は怖いと思っている。早い段階で感染症を予防しないといけない。なにが良いかはわからないが、急いているので「ドルマイシン軟膏」を買うことにした。家に使いかけ 1本と未使用 1本があるけれど買った。「滅菌ガーゼ L 24枚入り」と「伸縮ネット包帯」も買った。
ご近所ローソンで、塩にぎりとコロッケと冷やしそうめんと冷やし中華を買ったのに、ピノアソートパックは買い忘れた。家から 130メートル の駐車場Aにスペイドを停めて帰宅した。
母親は右脚のズボンをまくって待っていた。
見るなり俺は思った。「うわ、これあかん !!」
ひざがどうのこうの言っていたが、それどころじゃない、太ももからひざ下まで真っ赤。水ぶくれもできてる。救急搬送案件やん !!
「これ、もう病院だよ、これからA病院に行こう」
母親は救急車を呼ぶというと、ご近所の目を気にして嫌がるはずなので、車で行くしかない。いま帰ってきたA病院に行って皮膚科を受診しよう。駐車場Aからスペイドを持ってきて母親を乗せて、A病院に向かった。
ところが、気づいた。今日は皮膚科がやってない気がする。ローソンの駐車場に車を停めて、A病院に電話した。すると、やはり今日は皮膚科はやっていないという。ダメもとで「火傷なんですけれど…」と言うと、「火傷は皮膚科です」と言われ、診てくれそうにない。A病院はやめた。
さあ、どこにしよう。進行方向からすると、隣の市だけれどB病院が近い。B病院もA病院と同じく総合病院だが、一度も利用したことがないので何科があるのかを知らない。それでもB病院に電話した。
「火傷《やけど》の急患なんですけど」
患者は自分の91歳の母親で、沸騰したお湯を脚にかけてしまったことを伝えた。B病院も同じく今日は皮膚科がやっていないけれど、外科でできるところまで対応させていただきますと言う。ありがたい。すでに午後 4時近くで、早く来てくださいと言うことなので、あと15分で行きますと答えた。
言った通りに15分ほどでB病院に着いた。ほとんど待つことなく外科の医師が診てくれて、看護師さんが処置をしてくれた。ガーゼ 4枚に青色の軟膏を塗り、それをサージカルテープで患部に留め、包帯を巻いてくれた。
軟膏を処方しますので、明日(12日木曜日)、同じように取り替えてください、13日金曜日午前に皮膚科を受診してくださいと言う。A病院がダメだったのにB病院が診てくれてありがたかった。会計で、院外調剤薬局の場所を教えてもらい、薬局に行き「アズノール軟膏 0.033% 20グラム」をもらって帰ってきた。
ちなみに、母親、こんな火傷をしたにもかかわらず、お昼、カップうどんはちゃんと食べたのだという。夕食はご近所ローソンで買った塩にぎりとコロッケを食べた。
【今日 9月12日木曜日】
今日の朝食はローソンの冷やしそうめんと冷やし中華を食べた。毎週木曜日は母親のシニアフィットネスの通所日だが、母親が自分で電話して事情を話し、休むことを伝えた。お昼は「マルちゃん焼そば」とカット野菜で焼きそばを作った。洗濯乾燥機の運転が終わり、母親が洗濯物を洗濯機から取り込んだ。俺が今日も暑いから水分を摂ってよと言うと、「アイス(ピノ)が食べたい」と言う。
いや、アナタの火傷に驚いて、買い忘れたから、ピノは無いよ。
午後 4時ごろ、患部の処置を取り換えた。B病院で見たように先に滅菌ガーゼ 4枚にアズノール軟膏を塗った。軟膏というが、アズノールは青く透明なジェルである。包帯を取り、サージカルテープで留めてあるガーゼも取り去る。赤くなった皮膚の上に黄味掛かった浸出液の袋が大小数個できていて、大きいのは垂れ下がっている。これだけの液体があると重いだろうし、包帯をしていると圧迫感があると思われる。
「痛くないの?」
「痛くない。これ(浸出液の袋)、ハサミで切る」
マジかーと思ったが、切って出してしまったほうが楽だろうと思うので、止めない。母親が自分でハサミで切れ目を入れていく。ピューっという感じで浸出液が飛んで、敷いた新聞紙に溜まった。
アズノール軟膏を塗った滅菌ガーゼ 4枚を患部に貼った。サージカルテープが無いので軟膏の粘着力だけで留めておく。使用済みの包帯を上から巻いていくとひざ下あたりで終わってしまった。端は二又に裂いて縛った。膝に伸縮ネット包帯を履かせて包帯の無いひざ下部分を覆った。素人仕事にしてはまあまあ良くできたように思える。
「痛くない?」
「痛くない」と母親。
ゆうべも寝られて、熱も出なかったという。
明日の午前、B病院の皮膚科で診てもらう。もし同じ処置であるならば、こんどはアズノール軟膏をもっと多く処方してもらおう。1日で1本使い切ってしまったからである。そして、ドラッグストアで包帯とサージカルテープを買っておこう。
あ、そうだ、あと、ピノも…。
柳 秀三
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