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第12回交流会レポート

■ 日時 :2024年9月21日(土)20:00~21:20
■ 参加者:23名


1.獣医の池田先生のヤギの健康管理講座⑧ 
   「胃について2」


おさらい

前回の鼓腸症に引き続き,今回も胃の病気。

ヤギの4つ胃とそれぞれの機能について

ヤギの身体の胃の位置関係
4つの胃の働き

第1胃には微生物がいっぱい住んでいます。
胃の中で,草などのセルロースをこれらの微生物が発酵させ,酢酸やプロビオン酸などのVFAという成分に変えていきます。
これが胃壁から吸収されて,ヤギのエネルギー源になります。
また,VFAは酸性です。
たくさん餌を食べてVFAが大量に生成されて,胃の中が酸性に傾いても,反芻でアルカリ性の唾液と混じることによって,酸度が調整されています。
通常状態で,第1胃は弱酸性から中性でPhが6~7程度。

(1)ルーメンアシドーシスってどんな病気?

ルーメンアシドーシスが起きる仕組み

盗食などが発生し,大量に濃厚飼料やクズ米やトウモロコシなどを食べることによって,いっきに微生物による発酵が進み,大量のVFAが生産され,胃の中は酸性に傾きます。
胃の中では,酸性で環境では生きられない微生物が死滅。
その際に毒素を出すものがいます。
これが血液を通じて,心臓などに到達しショック死する場合もあります。
乳酸が大量に生産され浸透圧の関係で,体液が胃の中に流れ込み,循環不全になることも。
また,乳酸によって胃の粘膜が損傷すことも。
聞けば聞くとほど恐ろしい状態です。

(2)ルーメンアシドーシスの症状は?

ルーメンアシドーシスの症状

(3)対策方法は?

予防策

まずは,予防が一番。
ルーメンアシドーシスを起こさないように盗食を防いだり,第三者が勝手に餌をあげないようにすることが重要。(善意の餌やりが命取り)
いろんな植物をまんべんなく食べることが予防にもなります。

ルーメンパラケラトーシス

ルーメンアシドーシスからなることが多く,胃の粘液の異常でVFAが吸収できない病気です。
薬品の誤飲,紐などの誤食,抗生物質の影響で胃壁が傷ついた時にも起きます。

ルーメンパラケラトーシス

2.交流会

今回は多くの方が初参加してくれました。
Kさん 兵庫県吉川市 実家の田んぼの草刈りのため,ヤギ除草導入を考え
    始めたところ
Hさん 香川県三豊市 果樹農園で社長がもらいうけてきたオスヤギ(去勢 
    済み ザーネン70㎏)の飼育をして3年目。
    尿路結石気味なのが心配
Kさん 千葉県のヤギ専門の獣医さん 千葉県全域のヤギを診られています 
Kさん 北海道で自給自足的なヤギの乳利用 ヤギチーズ,せっけん,キャ 
    ラメルなどを手作り

Q.オスの尿路結石を防ぐには去勢時期を遅らせた方がよい?

A.尿道の太い方が結石が詰まりにくいので,尿道が発達した段階で去勢する方がよいという考えもあります。
その他,人間の尿路結石に効くと言われているウラジロガシ茶(ウラジロガシの葉を乾燥させたもの)を買って,ヤギに与えたら回復が早かったかもという声もありました。  

Q.ヤギの蚊,さしばえ対策どうしていますか?

A.蚊はオーソドックスに蚊取り線香が良いのでは,という声がありました。
サシバエは,高さ1.5m以上のところには飛んでこないので,高床の場所があると防げるという声も。
また,「赤い彗星」という身体に塗布するスプレーが効果的という声もありました。ネーミングがナイスですね~

3.お知らせ

今年の全国山羊サミット
11月16日 17日 沖縄の宮古島で開催予定
詳しい案内はこちら



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