MMF(マネーマーケットファンド)への投資が増えている理由
はじめに
近年、MMF(マネーマーケットファンド)への投資が急増しています。その背景には、金利上昇や経済不透明感が影響しています。この記事では、MMFの特徴や利回り、米国株の現状や今後のリスクについて詳しく解説し、個人投資家がいま取るべき投資戦略について提案します。
MMFの基本情報
MMFは短期金融商品を中心に運用される投資信託です。主な投資対象は、以下のような低リスクの資産です。
国債
社債(短期債)
コマーシャルペーパー(CP)
銀行の定期預金
これらの投資対象は流動性が高く、元本割れのリスクが比較的低いとされています。そのため、リスクを抑えながらも現金以上の利回りを求める投資家に人気があります。
MMFの利回りとリスク・リターン
過去と比較したMMFの利回り
米国では、FRB(連邦準備制度)が政策金利を引き上げた影響で、MMFの利回りが大幅に上昇しています。2020年にはほぼゼロ金利の時代が続いていましたが、現在では年率4~5%の利回りを得られるファンドもあります。これは、米国銀行の普通預金利率や短期国債の利回りとほぼ同等、あるいはそれ以上です。
リスク
MMFのリスクは低いと言われますが、以下の点には注意が必要です。
金利変動リスク: 金利が下がるとMMFの利回りも低下します。
流動性リスク: 市場の混乱時には一部資産の換金が遅れる可能性があります。
元本割れの可能性: 極めて稀ですが、保有資産の信用リスクが発生した場合、元本割れが起こることも。
米国株の利回りとバリュエーションの比較
米国株の利回りの推移
米国株(S&P500)の配当利回りは、過去と比較して低下傾向にあります。例えば、1980年代には**5-6%の配当利回りが一般的でしたが、現在では1.5-2%**程度にとどまっています。この理由は、株価が大幅に上昇している一方で、配当金の増加ペースがそれほど高くないためです。
S&P500の騰落線が示す現状
騰落線(Advance-Decline Line)は、上昇している銘柄数と下落している銘柄数の差を累積した指標です。現在の米国市場では、S&P500の指数自体は上昇していますが、実際に上昇しているのはごく一部の大型ハイテク銘柄(例えばApple、Microsoft、NVIDIAなど)です。
騰落線は下降傾向にあり、市場全体の健全性が欠けていることを示しています。
多くの銘柄は下落しており、これが個別株投資の難易度を高めています。
米国株のバリュエーション:割高感の根拠
過去と比較した現在のバリュエーション
米国株のバリュエーションを示す指標の一つにPER(株価収益率)があります。
現在のS&P500のPER: 約25倍(2024年現在)
過去の平均PER: 15-16倍程度
特にハイテク株を中心とするNASDAQ100のPERは40倍を超える銘柄も多く、歴史的に見ても割高な水準です。
株式市場の構造的な変化
株価が一部の銘柄に集中している背景には、AI(人工知能)やクラウドコンピューティングなどの新興分野への期待があります。しかし、これらの期待が実際の収益成長に見合わない場合、大幅な調整が起きる可能性も否定できません。
米国株の下落リスクと今後の可能性
下落リスクの要因
高金利の持続: 金利が高止まりすると、株式市場の資金流入が減少し、バリュエーションが調整される可能性があります。
経済減速: FRBの引き締め政策が景気後退を引き起こす可能性があります。
地政学的リスク: 米中関係やウクライナ情勢など、地政学的な不安定要素も市場に影響を与える要因です。
個人投資家への影響
米国株が調整局面に入った場合、特にハイテク株への集中投資をしている投資家は大きな損失を被る可能性があります。一方で、分散投資をしている場合はリスクを軽減できます。
個人がいまとるべき投資戦略
分散投資の徹底
米国株だけでなく、新興国株式や債券、コモディティ(金や原油など)にも投資を分散させる。
リスク許容度の見直し
現在のポートフォリオが自分のリスク許容度に合っているか再確認する。
現金ポジションの確保
一部の資金を現金またはMMFに移しておくことで、下落局面での買い増し余力を持つ。
割安株への注目
市場全体が割高であっても、個別に割安な株を探すことでリスクを抑えつつリターンを狙う。
ドルコスト平均法を活用
定期的に一定額を投資することで、市場の上下に左右されない堅実な投資を実現。
まとめ
MMFの利回りが上昇し、低リスク商品として注目を集める一方で、米国株は過去にないほど割高な状況にあります。市場は一部の大型銘柄に依存しており、分散投資の重要性が増しています。個人投資家は、現金ポジションの確保や分散投資を通じてリスクを軽減し、堅実な投資戦略を取るべきです。
過去のデータを参考にしつつ、将来の市場変化に柔軟に対応する準備を整えることが、今後の成功につながるでしょう。
以上、参考にしていただければ幸いです。