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株は心理戦(2024.12.9 臨時号)


掉尾の一振
7003三井E&S(1,549円)の復活なるか



いよいよ年末相場入り、気になるのが掉尾の一振銘柄だ。そこで半年ぶりに臨時号を出すことにした。

 それは本年1月9日号で、年間の活躍株の1つとして取り上げた7003三井E&Sは、768円で取り上げから3月8日には2,898円上場来高値を更新した。株価は約3か月で3.7倍化して大成功だが、その後は2025年3月期の減益予想を嫌気され長期的下落で低迷していた。

 3月初旬、上場来高値を更新するまでは同調していた7014名村造船所とは、5月の決算発表を境に独自傾向を強め、名村造船所が再度7月4日に2,772円の上場来高値を更新する中、三井E&Sは決算に変更なく続落している。そもそも、3月ではこの2銘柄が上場来高値更新時には、三井E&Sが2,898円で名村造船所が2,361円だった。株価で537円の差があったこの2銘柄が、7月には逆転して約1,300円差まで広がった。業績にこれほどまでに違いがあったとは思えないが、三井E&Sに需給の改善は見られなかった。

 この2銘柄に違いが表れたのが、11月12日(両社とも)の決算発表後の株価だった。名村造船所はこれまでの増収増益に変更はなかったが、11月13日の寄り付き1,875円から下落し、12月5日には1,500円を割り込んだ。一方、三井E&Sは前回同様の減益予想にも関わらず、11月13日以降は予想に反し悪材料が出尽くし感から反転して、1,100円処を底値に1,741円まで上昇している。この2銘柄の真逆の反応をどう見るかが、明年2月の決算発表までの動向を占う上で極めて重要だ。



直近の三井E&Sは、11月26日には港湾クレーン8基を受注、また12月4日にはJP モルガン・アセット・マネジメントが持株比率7.73%に高めるなどの材料はあったものの、1,500円台の高値圏で踊り場を形成している。更に、7月の時点で最大約1,300円あった名村造船所の株価を僅かながら再逆転している。

この時点で三井E&Sを掉尾に一振として取り上げる根拠は、第1に日足チャートは11月20日以降高値圏で三角持ち合いを形成し、12月5日に下放れるダマし陰線を入れたことだ。明らかに大勢は今後の下降相場を予想を裏切り、翌6日は反転して5日の寄り付き1,554円を一時的に抜き去り、引け値は1,549円で終わっていないことを印象付けた。更に、11月には一目均衡表の雲を突き抜け、上昇のシグナルであるゴールデン・クロスを示現していた。

第2に、週足のチャートは11月29日の週に一目均衡表の雲を一旦はヒゲで突き抜け、この2週は力を貯めたように見える。加えて、週足のチャートでも近くゴールデン・クロスの可能性が見えてきた。

第3に、減益予想で売られてきた業績に変化が見られることだ。2025年3月期連結中期決算では、会社予想進捗率が73.9%で上方修正の可能性が見えてきたことだ。減益の悪材料を織り込み、今後は好業績変化を織り込みに行くと思われる。将来のゼロエミッション化を見据え、米国と中国の防衛問題勃発で一気に注目が集まる港湾クレーンの受注、水素、アンモニア燃料エンジンなど材料には事欠かない。

株価は三角持ち合いを経て上昇第2波に入ると見ており、掉尾の一振にふさわしい株価動向を期待する。





※この情報は筆者の個人的見解で、投資行動は自己責任でお願いします

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