見出し画像

株は心理戦(3月25日号)

日米金融イベント終了し市場は好感
但し、上昇急で警戒感働く




 日米の金融イベントを終え、日米共に安心感が広がり週後半は上昇志向を強め、それぞれ史上最高値を更新した。東京市場は先週4日間で2,180円上昇し、TOPIXは2,813.22ポイントまで上昇して、1989年12月18日に付けた史上最高値2,886.50ポイントに急接近している。今週の日経平均は、週半ばが権利付最終日となるため、配当取りを意識した銀行株や高配当などのバリュー株に資金が向かいやすく、TOPIXの史上最高値更新が焦点となりそうだ。

日銀会合前後の日経平均の上昇によって、短期(25日)、中期(75日)、長期(200日)の移動平均線の乖離率を合計した総合乖離率は、37.7%と「短期的に買われ過ぎ」の35%を超え、週間でも5%超の上昇はいかにも市場の過熱感を象徴している。その上で、急騰と急落を繰り返すボラティリティの高い相場展開よりも、加熱感を落ち着かせる4万円処の値固めが必要だと考える。現在、為替が151円台後半に円安が進行しており、政府・日銀による為替介入への警戒感も、日経平均の懸念材料となりそうだ。今後、更に上昇志向を強めるというよりは、4万円台で踊り場を形成しながら個別材料株物色や出遅れ銘柄、中小型株へと食指が動くものと見られる。

 米国株式市場は、米連邦準備理事会(FRB)が年内に3回の利下げが実施されるとの予測を維持したことを受けて、週間ベースの上昇率は年初来最大となった。但し、週末のダウ平均は前日比305.47ドル安で、ナスダック、S&P500は小幅の値動きで取引を終えていることから上値の重さも感じる。注目すべきは、米取引所の合算出来高は94億5千万株で、直近の20営業日平均の123億4千万株に対し25%ほど出来高が減少しており、高値を警戒する投資家心理も働いているようだ。一部の市場関係者の中にも「近いうちの調整」を指摘する向きもあり、要注意領域だ。



森を見ず木を見る個別物色
7003三井E&S、7014名村造船所、6658シライ電子工業に注目



 7003三井E&S(1,905円)と7014名村造船所(2,088円)は、3月10日前後に年初来高値を更新した銘柄で、三井E&Sは3月8日の2,898円の高値から15日までの約1週間で1,172円下落後に出直ってきた。下落率は約40%で値幅調整はほぼ完了したと見られ、反騰の機を窺っているところと見る。2月中旬から爆上げした株価は年初700円処にいたが、僅か2カ月余で4倍増化。クレーンの大型受注や水素関連ビジネス等の材料が好感され人気化してきた。現在のPERは11.3倍と依然として割安で、名村造船所とは同じ造船株として波動を同じくするコンビ銘柄。移動平均線の短期線が株価を下支えしているが、近い将来この短期線を蹴って再び上昇志向を強めるものと先読みする。

 更に、名村造船所は当欄で指摘通り現在は上昇波動第2章にあり、2007年10月に付けた2,510円を射程に上場来高値更新を狙っている。同銘柄については、再三当欄で材料株としての素質を高評価してきたが、両銘柄共に今後は業績に反映されてくれば更なる展開が期待できる。

 6658シライ電子工業(565円)はプリント配線基板の中堅企業で、19円配当でPERは5倍と割安に放置されてきた。株価は22日に出来高を伴い41円高の565円まで上昇してきた。昨年も3月に高配当を買い材料に888円まで上昇している。今回特筆すべきは、日足チャートで一目均衡表の雲を突き抜け、短期線が中期、長期線を突き抜けゴールデンクロスしたことだ。





※投資行動は自己責任でお願いします

いいなと思ったら応援しよう!