見出し画像

株は心理戦(5月27日号)

日本の長期金利が上昇
12年振りの高水準


 先週の日経平均株価は、週間で141.27円安と相変わらず上値の重い展開が続き、米国の影響を受けやすい環境の中、時折3万9千円台に乗せる場面もあるが、戻り売りに押され上値を追いづらい状況が続いている。注目された米半導体大手エヌビディアの決算が市場予想を上回ったことで、東京株式市場でも半導体関連株が買われたものの長続きせず、翌日には米国の早期利下げ観測が後退したことで一時700円を超える下落となり、一進一退のイライラ相場が続いている。そんな中、先週末の午後の円債市場では新発10年国債利回り(長期金利)が、前日比0.5ベーシックポイント(bp)高い1.005%に上昇し、2012年4月以来の高水準を付けた。こうした国内金利の上昇も上値を追いづらい要因にもなっているようだ。

「木の葉が沈んで石が浮く」相場は幕間繋ぎ

 「木の葉が沈んで石が浮く」とは、常識的には考えられない相場特有の現象を述べた格言だ。当然だが、石が浮くようなことはないし、木の葉が沈むようなこともない。しかし、株式市場においては一般的な理屈では理解できない現象が往々にして起こるものだ。これも一つの投資家心理を表したものだが、例えば好材料で上昇すべき株価が下がり、反対に買えるような業績ではないのに時として上昇する。相場には時として、理屈では説明できないことが起こりうることを教えている。それはあくまでも瞬間的現象であって、永続的な原理を言っているではないが、まさに先週末の相場は好業績で高配当銘柄が売り込まれ、際物銘柄が相場の幕間を繋いでいた。
 株価上昇率ランキングを見れば、500円以下の銘柄が20位までに三分の一を占めている。業績変化の大きい銘柄もあるが、好業績で割安、高配当銘柄を売ってまで買うような銘柄には思えない。むしろ、相場は夜明け前の一番暗い場面で起こる現象と見るべきで、相場も転換期を迎えつつあるように思えてならない。
 25年3月期の決算情報のネガティブ発表を受けて、投資家は会社側に対して不信感を抱いている。投資行動における最大の敵は不信だ。「儲ける」とい言葉があるが、「信じる」と「者」を足して「儲ける」と読む。「木の葉が沈んで石が浮く」という奇々怪々な株式市場でも、好業績や高配当銘柄が放置されることは決してない。結局は心理戦の過程で生じる現象に他ならないが、自身の投資戦略を信じ忍耐が開花する時を待とう。

 7003三井E&S(1,416円)は、5月17日の週で1,444円から1,614円の窓埋めを下ヒゲで埋めたが、先週はヒゲで埋めた窓をご丁寧に実線で埋めた1週間だった。一つの見方として時間稼ぎをしながら時を待っているように見える。いわゆる反騰の機を窺う動きであり、日経平均株価が500円安の中でプラスに転じる場面もあり、明らかに下げ渋り傾向が見られる。
 7014名村造船所(1,889円)は、21日迄の出来高を伴う3連騰で終値は2千円台を回復してきた。日足の一目均衡表においても「雲」の上限を突破し、短期線が中長期線を上回るゴールデンクロスしている。中期的には、3月5日に付けた年初来高値の2,361円を目指す動きが期待できる。
 新規で4617中国塗料(2,049円)に注目。船舶用塗料の最大手で、ベテラン投資家なら良く知る往年の仕手株だ。これまでも述べてきたように、今後の新造船需要が高まる中では、国内の船舶シェア6割の同社業績は様変わりの様相だ。3月6日に年初来高値2,379円を射程圏に、上記2銘柄に追従する。


※投資行動は自己責任でお願いします


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?