株は心理戦(12月18日号)
日銀の金融政策決定会合で現状維持想定
当面、緩やかな円安想定し株価は戻り歩調
米国株式市場は、ダウ平均、ナスダック、S&P500が揃って年初来高値を更新する中、日経平均株価は3万4千円どころか3万3千円に乗せると弾き返される展開が続く。最大の要因は円高にあるが、7日にドル/円141.597円を付けた後、14日には140.912円の二番底を付け、目先は150円の円安方向へ戻すものと予測する。ともかく12月に入り、為替に翻弄された株式市場だった。
15日NYの為替市場は、前日にドル/円で140.95円と7月31日以来の安値を付け、142.18円まで戻した。19日の日銀金融政策決定会合で現状維持が予想され、当面は緩やかな円安が見込まれる。しかし、日銀が政策修正に踏み切ればドル/円で140円割れも想定され、ここでの日銀のチャレンジは遠慮したいところ。
安倍派の「裏金」問題
政治的波乱が株式市場へ影を落とすか?
円高の他に、日本の株式市場に目に見えない形で影を落としているのが、安倍派の「裏金」問題だ。自民党最大派閥の「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部をキックバックして裏金にしていたと見られる問題で、派閥が直近5年間で所属議員に約5億円が還流したと見られている。
安倍派の所属議員99名の内、大半が還流分の裏金を受領していたと見られ、大臣、党役員の安倍派「5人衆」は全員が辞任した。今後さらに、他の派閥に波及する恐れがあり、岸田総理にとっては不支持が下げ止まらないなか、レームダック状態に陥り始めているとの見方もある。目ざとい兜町の情報筋では、次期首相候補の名前と保有銘柄まで囁かれ、動意づく銘柄もあるという。
政権与党を揺るがす問題だけに、経済に与える影響は軽微ではない。本来なら年末に総選挙も予定されたという情報もあっただけに、自民党総裁選までに総選挙に打って出られなければ、岸田政権は持たない。地検特捜部の動向如何では、明年の年明けは波乱の幕開けとなる。
強弱感対立の名村造船所は「心理戦」
揉み合い下放れは「騙し」か?
7014名村造船所(994円)は、いよいよ正念場を迎えた。一部の論評には「売り転換」したものや、800円割れまで買いは控えるといった投資家の意見もあり、総体的には強気筋が影をひそめ弱気筋が大勢のようだ。その最大の要因は、チャートにあることは言うまでもない。特に週足は、高値圏で小さな三角揉み合いを形成していた。12月4日の週には寄り引け同値で、先週(11日の週)大勢は上放れると予測していた。その証拠に、週末8日の引け値1,069円に対し、週明け11日の寄り付きは1,094円と25円高寄りしている。その後、1,159円まで買われるが急激な円高により週末の15日には千円の大台を割り込み994円で引け、チャートは大方の期待を裏切る三角持ち合いを下放れる大きな陰線で引けた。
このチャートを見たうえで強気論を強行するのは、チャートの見方を知らない妄言と受け止められるかも知れないが、敢えて筆者は大勢に抗して強気を堅持したい。その根拠は、三角持ち合いを下放れる大きな陰線は、「騙し線」であるということだ。こうした強弱感が対立した場面でよくみられるが、まさに買い方と売り方の「心理戦」の攻防によっておこる。この根拠は、本来は根拠といえないものだが、チャート自体が絶対的ではないだけに「騙し」があることも不思議ではない。いずれにせよ、年末相場で判明することだが、再度の円高は筆者の想定外だ。
7003三井E&S(617円)が順調に上昇している。9月15日に付けた667円を射程圏に入れあと50円まで迫り、一旦は利食いか。
※この情報は筆者の個人的意見で、投資行動は自己責任でお願いします