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株は心理戦(5月7日号)

日米株式市場は調整完了し反騰へ
好決算銘柄を狙い仕込み場




 2日未明、外国為替市場の円相場は対ドルで急騰し、一時1ドル153.00円を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を据え置き、利下げ観測が後退したとの見方から、34年ぶりに160円台を付けた4月29日に続き、日本政府・日銀は再び円買いドル売り介入に踏み切った。市場関係者の推計では3兆円規模の介入だったとの見方が大勢だ。但し、円急騰後も短期的には日米の金利差が縮小するわけではなく、今後は円売り圧力が強まることは否定できない。しかし、3日のニューヨーク外為市場では、152円台で推移している。

 その要因となったのが、3日に発表された4月の雇用統計で雇用者数の増加が予想を下回り、平均賃金の伸びも鈍化したことを受け、FRBが年内に2回の利下げを実施するとの見方が強まり、円買いの素地が広がった。

 3日の米国株式市場は、FRBの利下げ観測が強まったことを好感し急上昇して取引を終えた。主要3株価指数全てが上昇し、ハイテク株比率の高いナスダック市場が2%高となり、主要3指数が週間でも2週連続高となり、米国株式市場は当面の底値を確認したと先見する。



注目銘柄の動向に一喜一憂せず



 上場企業の業績が好調だ。5月1日までに発表された2024年3月期決算を迎えた企業の7割に当たる120社が増益となったようだ。特に、増益企業数の比率は過去10年で2番目の水準といわれ、好業績企業の裾野が広がっている。値上げやインバウンド需要が好調で、円安効果も利益を押し上げる要因となっている。加えて、デフレ脱却期待が現在の日経平均4万円相場の下地にあることは言うまでもない。

昔の兜町で語られていた話に「馬を喰う町がある馬喰町、人を喰う町がある兜町」と。言癒えて妙だが、株式市場が心理戦を戦場とする意味では心しておかなければならない。株式相場においては、今後、本格化する決算が株価の上で明暗を分けることは当然だが、決算前の株価の動きに惑わされ一喜一憂することなく、信念を持って銘柄の未来を見通した投資戦略で臨みたい。買い手がついた銘柄(仕手株)は特に、底値を試す展開においては心理的に持ち応えられない場面もしばしばあり、売った後に上昇するといった経験もあることと思う。常に株価を上下に揺さぶりながら空売り筋を誘い、目先筋を振り落とすのは相場の常道だ。信用買いでは売りたくなくても追い証が発生すれば、否応なく売らされてしまうこともある。故に、「突っ込み買い、吹き値売り」は基本で、飛びつきたくなるような値動きの良い時には「利喰い千人力」で臨み、売りたくなるような場面は買い場と見るような「逆張り」も大事だ。

 日経平均株価は、GWの狭間にあり寄り値から引け値の差は僅か76円と底堅い1週間だった。前号でも述べた通り、調整は完了したが決算を目前に動きづらい展開が続いており、押し目買い一貫で対処するところと先読みする。相場が出直りを見せ始めた段階では、大きく突っ込んだ銘柄に注目したい。

 6857アドバンテスト(5,107円)は、高値から3割を超える下げで本年1月以来の5千円割れは買い場圏と見る。

 1518三井松島(3,440円)は、割り約感があるうえ日足の一目均衡表の雲を突破してきたことから先高感が強く、3月7日に付けた3,340円を狙う動き。PBRは0.5倍台で配当利回りは3.3%台水準。

 今年度の当欄の注目銘柄の7014名村造船所(1,793円)と7003三井E&Sは(1,638円)は共に決算発表が5月14日で、今週は特に動きづらい展開だが、場合によっては下値を切り上げることも想定。





※投資行動は自己責任でお願いします

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