株は心理戦(5月13日号)
米国の金利動向注視
日本株は好業績の押し目狙い
8日の東京株式市場では、ジョージ・ソロス氏とはかつて師弟関係にあると言われたスタンリー・ドラッケンミラー氏が半導体大手エヌビディア株の持ち株を3割減らしたことを明らかにしたことで、半導体関連株を中心に大きく売り込まれ日経平均は632円安となった。それでも米国株式市場の影響を受けながら、一目均衡表の下限を下値目途にしながら緩やかな回復傾向にあり、依然として決算発表の結果を踏まえた個別物色が続いている。
米国の株式市場は、今週も引き続き利下げ期待を材料に強い展開が期待でき、主要3指数は3月から4月に付けた史上最高値を狙う位置にあり、高値を更新すれば需給面での好転が更なる買い材料となる。そのポイントになるのが、5月15日に発表される4月の消費者物価指数(CPI)で、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアの前月比が3ヵ月連続で0.3%代後半のプラスで、年率に換算すると4%台のプラスとなり、FRBの物価目標である前年比プラス2%を大きく上回っている。これが市場予想(前月比0.3%増)を上振れたときには、米10年債利回りは再度上昇傾向を強めることが予想され、反対に市場予想通り伸び率が鈍化した場合、米4月雇用統計の結果と併せて利下げの後ずれ観測や年内の利下げゼロ観測がより後退すると見られる。
米10年債の低下傾向が強まれば、エヌビディアを中心にハイテク株が上昇志向を強めると思われ、日本の株式市場も本格的な上昇局面が期待できる。その上で、注目の決算発表は来週前半でほぼ終了し、株価が乱高下した銘柄の中から押し目を狙う銘柄などを選別物色する流れが始まると見ている。更に上述した米国の4月の消費者物価指数次第では、米国3指数の乱高下の影響を受けやすい展開が見込まれる。
売り方と買い方の攻防戦
7003三井E&Sの決算に注目
前号で、「材料仕手株の株価動向に一喜一憂せず、信念を持って銘柄の未来を見通した投資戦略」と記し、底値を試す展開もあることを指摘した。7003三井E&S(1,705円)は5月9日、14日に決算発表を控えた中で14時過ぎから僅か15分の短時間で、約8百万株の売りを浴び一時急落した。売り方の売り崩しかどうかは定かではないが、人気化した銘柄にはこうした展開は珍しくない。売り方の売り崩しだと仮定すれば、ワンチャンスを狙ったもので1,522円を切り1,500円割れを狙ったものと見られる。1,500円を割り込めば、目先筋の買い方は投げ売りに入ることを想定したものだと思われる。しかし、1,533円で踏みとどまり反騰に転じ、10日は1,700円台に乗せてきた。1,630円台から100円前後売り込んだ売り方の約8百万株は、全て評価損が生じている計算になる。
売り方と買い方の攻防戦の勝者はいずれになるかは見ものだ。いよいよ14日の決算発表でどうなるかは、15日からの相場で明らかになる。
同日の決算発表の7014名村造船所(1,901円)の動向も左右する。
同じく前号で推奨した1518三井松島(3,985円)は新値追いの強調相場を展開中。脱石炭事業で事業投資会社に転換。13日に決算発表だが、事前に人気化の傾向が顕著で上場来高値の4,590円に迫るか。
同じ13日に決算発表を向ける5726大阪チタニウム(2,527円)は、航空機向け金属チタンが絶好調でチタン増産の新ライン導入を検討するほど。50円配当は増額の可能性も。昨年10月を高値に長期下落傾向にあったが、割安感をテコに反騰期待。
※投資行動は自己責任でおねがいします