ブロッコリー
子の保育参観にて。
保護者会の話題はいつの間にか、
朝ご飯のメニュー何がおすすめ?だった。
とあるお父さんは、子どもの朝ごはんに悩んでいるのだという。
昔なら(独り身の時は)、ご飯とお味噌汁、焼き魚におしんこ、プラス果物を食べていた。
しかし今は子どもの食事がゆっくりなので、メニュー自体にも時間をかけられないのだという。
内容としては、個人店のパン屋さんの原材料にもこだわりぬかれた酵母パン、目玉焼き、魚肉ソーセージやウィンナー、ブロッコリーとトマトのサラダとヨーグルト、果物。
毎日の事だから色々替えたいのだけれど、思い浮かばないので教えて欲しいと言われた。
みんな下を向いて黙ってしまった。
…
…
さて、どうしたものか。
「ウチ…もっと簡単なモノしか…」
あるお母さんが照れたような気まずそうな笑みをこぼしながら言った。
「例えば何ですか???」
グイグイお父さん。
「え…あの…」
別のお母さん「うちは火さえも使わないわ!笑」
また別のお母さん「ジャムパン!ジャムの味コロコロ変えてさ!」
一瞬チーンとなりかけた話に、スピードがついてきた。
野菜はブロッコリーとトマト食べてくれれば万歳だよね。
朝から嫌なもの食べさせて時間かかるわ泣くわするくらいなら、多少栄養は偏っても笑顔でもりもり食べてくれればそれで良いかなぁ〜。
口々に自虐でもあり諦めでもあり、けどうまくやるには毎朝子どもを送り出し自分も仕事へ行く親達が見つけた「妥協点」を口にしていく。
先生「みなさん食事の時間はどのくらいですか?」
グイグイお父さん「1時間はかかります。」
大多数「1時間⁉︎朝から⁉︎それは無理だわ…汗」
グイグイ父さん、少ししょんぼり。
「みんなご兄弟いらっしゃるからかな?もっと手際良くやらなきゃダメなのか…うち母親が朝食作らないし、前の晩の残り物って言ったって惣菜買ってきやがるし、上手くいかないんすよ!」
グイグイお父さん、お母さんをディスり始める。
「えー。俺がやり方変えなきゃなのかなー?時間かけすぎなのー?!」
「…違うよ。それだけ手をかけてあげられてるってことじゃん。羨ましいよ。」
あるお母さんが、静かにそう言った。
そうなんだ。そんなにゆっくりと子どもと朝ごはん食べられるの羨ましいよ。
ずーっと時間に追われて、食事なんて10分で食べ終わるお手本のような早食い。食べたらゴロンなんてない。こんなに動いてるのに、やらなきゃいけないことはそこらじゅうに転がってる。
こんなはずじゃなかった。
理想の育児、理想の母親、そんなのがあったな私にも。
少なくとも、もっと笑顔のお母さんでいたかった。余裕のあるお母さんでいたかった。
「家を明るくするのはお母さんの存在です。お母さんが笑顔なら家族みんな楽しい」
そんな事、真っ昼間からやらないで欲しい。夫の耳に入りそうな時間帯に言っておくれよ。
色んなものを押し殺して、自分が笑顔でいなきゃと思うお母さんが増えるだけだ。
それぞれのお家の事情があって、色んな親が居て、みんな子どもを幸せにしたいと思ってる。
普段、親御さん達とほとんど話すことはないのだけど、自分以外にも子育てでみんな葛藤あるんだなって感じると、不思議な一体感を感じることもあるんだなって思った時間でした。
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