見出し画像

【レート1780到達】Wボロフができるまで

 こんにちは。後攻のフリーレンと申します。先日のミラダンテCUPお疲れさまでした。
 そのミラダンテCUPにて、ヘルボロフ搭載型黒単 ”Wボロフ" を使用し、最高レートを更新し一時的にND1位に浮上することができました。その記念として、今回解説記事を書いてみた次第です。デッキの草案がシーズン終了前日に作られたためまだ完成して日が浅いですし、触られてないだけでまだまだ開拓の余地があると思っています。ぜひ、みなさんの手で、最強のボロフを完成させましょう!(って言おうとしたら殿堂しちゃいました…。メンテの暇つぶしにでも読んでみてくれると嬉しいです!)


1,構築経緯


1)従来のワルボロフから見る環境の変化

 今シーズンは序盤から最終日前日になるまで、途中サザンに浮気したけどずっとワルボロフ1本だけを回していました。ワルボロフはレッドゾーンCUPの中盤以降徐々にその強さが露呈していき、両面最終1位を獲得したことでそれは確固たるものになりました。
 僕はTOURNAMENTRANKINGを走っていることもあり、通常のランカーとは違い、序盤終盤に限らず常に最強のデッキを模索し続けなければなりません。ちょっと面白そうなデッキがあったとしても、それを試すくらいならTier1の研究に費やす方が効率が良いと考え、他のデッキは試す事すらほぼありませんでした。

そんな中、追い打ちをかけるように、公式からナーフの発表が。

 下馬評では黒単ワルボロフや緑単サソリスにも規制が入るともいわれていましたが、ふたを開けてみれば規制はトリガーロージアのみ。3強にお咎めがないどころか、一部の上位勢が使用していた天門、サザンがとばっちりを受ける形になりました。
 これらの受けデッキが衰退した隙を見逃さず、ナーフ直後はバイクが一気に数を増やし、最大母数に迫る勢いで大躍進を遂げました。その影響か、前環境最大母数を維持してきた緑単サソリスは日を追うごとに減少していき、遂に10%を切るまでになってしまいます。
 リスが減ってバイクが増えたことで、ワルボ使いの意識はリスへの対策→バイクの対策に移行していきます。具体的には、リス対面で強いとされていた裏切りの魔狼月下城が次第に抜けていくことになりました。代わりに採用され始めたのが、デスハンズと学校男。

 デスハンズは早期に踏ませてもパワーが大きいバイクを処理することができつつ殴り返し要員になり、学校男は後攻からでも相手の2コス初動を処理することができます。学校男型には魔狼月下城と併用したものやノートリガー構築も存在し、各チーム秘匿していたこともあってどの組み合わせが1番強いのか明確に結論は出ませんでした。最終入りのリストを見ても、チームによって全く違う傾向が見えてきたりします。

 ワルボのバイクに対するマークが厳しくなってきた頃、同じくバイクの意識を高めた新たなデッキも登場しました。

 それが青白ギャッツビーとモノクロチョーカー。ナーフで片腕をもがれたロージアが、新たな仲間を引き連れて再び帰ってきました。当初は初見殺し性能もあって黒単にも一定以上の勝率を持っていましたが、リストの流行から解析が始まり、最終的には黒側が有利寄りのマッチアップになっていきました。

 僕がシーズン初めて1700を踏んだのは、そんな頃のことです。当時使用していたのがこのリストでした。

1713まで伸ばし、その後停滞。

 Liebeで多くの人が使っていた学校ノートリ型を基盤にし、受けデッキの流行を受けてホネンビー4枚目をタイガニトロ4枚目に変更しました。ニトロはミラーやバイク対面の先攻で投げつけることもあるので、使用感自体は悪くなかったです。
 でも、レートはなかなか伸びません。レートが大きく溶けることもなければ、盛れることもなく、ただただ時間だけが過ぎていきました。負けた試合を中心に見直したところ、主な要因は①メタゲームの変化 ②対面のアベレージの低さ の二つで、それぞれ以下のように考えていました。

  ①メタゲームの変化
 「ワルボが飛び抜けて強い」という認識はこの時点で多くのプレイヤーに浸透しており使用率は全体の1/4を超え、上位帯ではさらにその割合が高くなっていました。構築もレッドゾーンCUPND1位のnaowaさんの基盤でほぼ固定化されていて、プレイングも解析が進んで練度勝ち要素が減ったため、ほぼ完全な五分ゲーです。上位帯ではかなり高い勝率が要求されるので、1/4以上が五分しか取れないのは大きな痛手でした。これは他の場所でも同様の状態になっており、各所でミラー対策構築が模索され始めていたようです。
 また、受けデッキの登場も大きな影響を与えていました。相性自体は黒側が有利に傾くのですが、このデッキは一部上位層に好まれていたこともあり、登場したばかりにもかかわらず簡単に練度勝ちはさせてくれません。更に、構築も改良されて黒対面を意識したものにシフトしていったので、自分の感覚よりも勝率は出ていませんでした。このデッキによって元々有利を主張していたバイクを上位で見ることがほぼなくなり、有利対面が微有利~五分対面と入れ替わったことで地味ながら勝率が落ちることに繋がっていました。

  ②対面のアベレージの低下
 最近のXのタイムラインを見ればお察しかもしれませんが、この黒単1強環境は一部の層からかなり嫌われているようで、前シーズンまでと比べて明らかに競技人口が減っていました。最終ラインもここ最近では珍しい低さでしたね。そのため、対面の平均レートが全体的に低く、レートを伸ばすためには通常よりも高い勝率が要求されることになります。とは言っても全てに勝てるデッキなんてそうそうないので、ある程度の対面は捨てて、環境にドンピシャはまるようなものを目指していました。

 以上のことから、バイクとリスは最悪捨てて、ミラーと気持ち天門を意識した黒単を考えることにしました。ここに辿り着いたのが13日の夜です。正直遅すぎる笑

2)新構築の模索

最初に考え付いたのは、ジェニーを抜いたオタカラ採用型でした。

「ミラーでオタカラが強そう」という仮説から、皇帝登場前のワルボロフを再現してみようと考え、マナコストが被っているジェニーが自動的に抜けました。ミラーはシバカゲやゲンセをいかに落とせるかによって左右されるので、墓地肥やしは多い方が自分の動きを通しやすくなると考えていたのです。ジェニーはミラーマッチで活躍するシーンも少なく、リスとバイクは捨てていい前提なので、欠損してもさほど問題ないと判断しました。更に空いた枠にサイン+ツミトバツのギミックも取り入れ、不利状況になっても打開できるように意識しています。(ギャロウィンもミラー対策として候補に挙がっていたんですが、当時ギャロウィンの使い方への理解が足りておらず、時間も限られていたため採用していませんでした。この時点でギャロウィンの強さの気づいていれば、結果は違っていたのかもしれません。反省。)

 結論から言うと、このデッキはバカみたいに弱かったです。オタカラを投げれば有利に進むと思っていたミラーも、オタカラの返しにハンデスを打たれてテンポを取られてしまい、投げ得なシーンは意外と少ないことに気づきました。その上、受け系に対しても、オタカラごときで大きく動きやすくなることはなく、むしろジェニーのハンデスを使いたい場面も多かったです。更にリスバイクを切っているので勝率は改善しないどころかむしろ悪くなってしまい、レートは80くらい持っていかれました。日付も回り、最終日前日にも関わらず1600ジャストです。

 この時は正直、諦めていました。元のリストで奇跡的に1700に戻れたとしても、1位まで行ける気は全くしません。少なくとも、今の自分の実力で
は。

 もう他のメンバーの応援に回ろうと思い、チーム通話に入ったのが全ての始まりでした。

 画面共有をしていたのは、えーたさん。使用デッキは、皇帝登場以降ほとんど見ることがなかったヘルボロフでした。
 特に目に留まったのが、不利とされているワルボ対面。ヘルボからウェルカムヘル着地さえすれば除去と展開でワルボを圧倒し、一気に形勢逆転する様を見て感激したのを覚えています。ヘルボロフはかつて愛用していた頃もあったので、「久しぶりにヘルボロフで遊びたい」という個人的な思いと、「実はミラーを捲るヒントになるのでは?」という僅かな希望を持って、ヘルボロフ入りの構築を模索し始めました。


最初に作ったのがこちら。

最初で最後

 ヘルボロフが登場したての頃に一部で使われていた両刀型"Wボロフ"を参考にしつつ、当時の環境にフォーカスして作ってみました。シバカゲがないのも、「ミラーで下手なハンデスは打たない」という意識が広まっていたことを逆手にとっています(そもそもヘルボロフ自体がハンデスにさほど強いわけではなく、ハンデスがないからこそ着地できるカードでした)。

 しかし、このリスト、草案にも関わらず非常に感触がよく、変えるところがまるで見つかりませんでした。ミラーマッチはヘルボロフ1枚からゲンセ3面を返す等、構築を活かして7割前後の勝率をキープ。受け系にもドルバロムDでより勝率が上がり、ほとんど負けませんでした。
 そんなこんなで連勝と数敗を繰り返し、33-8(80%くらい)の高勝率で1700まで帰還。そのまま勝率を落とすことなく、最終日には1780までレートを伸ばすことができました。最後には割り切っていたサソリスに被弾し1位には届きませんでしたが、メタ読みがクリティカルに刺さったいい経験になったと思います。1位の方もメタを絞って構築を変えていたので、納得の敗北です。


最後に、構築とプレイについて話していこうと思います。

2,構築解説

3,各対面プレイ


7/23

って流れで解説を書く作業を進めていたんですが、本日、悲しいお知らせがありました。

 このデッキの中核を担うワルボロフが、DP殿堂に指定されてしまいました。数日後に消えるデッキの解説をわざわざ書くこともないなと思ったので、記事が長くならないよう今回は載せないことにしました。一部の物好きの方や、リペアを考えている方で構築やプレイの質問がありましたら、XのDMやらコメントやらで連絡をくれると嬉しく思います。できる限り対応します。


 このままだと味気ないのでおまけも書きますが、ボロフに関する話はここまでになります。わざわざ時間を割いて読んでいただき、ありがとうございました。


4,おまけ 個人的な構築に関する話


 僕の好きな言葉に、「俺がデルフィン」というものがあります。これはデュエプレ配信者のささぼーさんが配信中、スパークがある対面に対してデルフィンをマナに埋める際に放った言葉です。
デルフィンは面倒くさがり屋が使うカード、プロはいらないと彼は話していました。つまり、デルフィンを使わずとも、自分自身がデルフィンになる(トリガーをケアできる立ち回りをする)ことができれば良いということなのでしょう。ささぼーさんクラスの実力者だからこそ言えるセリフなのかもしれません。

 いきなり何の話だよってなるかもしれませんが、この意識はすごく大事だと思います。つまるところ、相手の動きが自分でケアできる範疇であれば、それに対するメタや、オーバーキル気味なフィニッシャー(以降デルフィンに例える)は必要ないのです。そしてそのケア範囲は、プレイスキルの高い上級者に近づくほど広くなります。

 実際に上級者の構築を分析してみると、ロック系を始めとしたフィニッシャーが不採用になっていることは少なからずあります。例を挙げるとするならば、モルトNEXTcupND1stの宮原さんの構築がまさにそうです。

 テンプレ構築では数枚採用される強力フィニッシャー、アルファリオンが1枚も入っていません。宮原さんにとって、アルファリオンでケアするものは、他のカードと自身のプレイスキルでケアできる範疇だったということなのでしょう。実際それで1位に輝いていますし、素晴らしい判断だと思います。

 ここで学んだのが、「テンプレ構築は必ずしも"正解"ではない」そして「自分に1番合う構築こそが"正解"」ということです。テンプレ構築は数多の構築から作り出された、いわゆる一番”丸い"構築です。初心者から上級者までたくさんのプレイヤーがいる中で、平均的なものがそう呼ばれてるように思います。しかし、それが万人に合うわけではないと、この例からも強く感じました。上級者にとって必要なカードと、初心者にとって必要なカードは必ずしも一致しないのです。
 よく「強い人の真似をしろ」だとか、「構築に変な個性はいらない」などと言われることがありますが、それは半分正解で、半分間違いだと僕は考えます。強い人の構築は、プレイヤーのスキルが高い前提で組まれていることも多いので、気軽に真似してみても使いこなせるとは限りません。強い人の構築は、強い人を最大限に活かせるように作られているからです。逆に言えば、自分を最大限活かすために、時には"個性"を出すことも必要になります。

 僕の構築で言うなら、ドルバロムDはその”個性"に当たると思います。このカードは受け系のデッキに対して強い点を評価して採用したのですが、そもそもワルボロフは受け系に対して有利寄りのデッキです。人によってはガン有利とも言われていましたが、僕のプレイスキルでは上手く勝ち切ることが難しく、微有利程度の印象がありました。つまり、僕はデルフィンになれなかったんです。
 受け系デッキの動きは、僕のプレイスキルでケアしきれる範疇ではありませんでした。ドルバロムDはそんな状況を打開する、デルフィンやアルファリオンのようなカードだったのです。僕の実力が足りなかった事こそが、このカードの真の採用理由と言ってもいいでしょう。強い人が使えば、きっと自然に抜けていくと思います。


"デルフィンになれないからデルフィンを採用する”ということを、僕はここ半年ずっと実践してきました。それは僕の実力で上位プレイヤーに抗うための、生存戦略のうちの一つでした。

New!は最高レート更新

 QED+CUPでは早い時期からサザンにナンバーナインを搭載し、自身初の1750超えを達成。
 モルトNEXTCUPとヘルボロフCUPではUKを使用。ゲンジやリベットを環境と自分の練度に合わせて入れていました。
 そして今回、ドルバロムDの搭載で今年4度目の更新に成功しました。あくまで1つの例ではありますが、構築の考え方だけでここまで差が出ることには僕自身も驚いています。


 長いスパンで見れば、デルフィンになるために鍛錬を積むのが1番なのは間違いないと思います。その方が動きの幅も、構築の幅も広がります。
 一方で、今の自分の力で最大のパフォーマンスをするために、時にはデルフィンを採用するのもアリなんじゃないかと僕は考えます。スキルも考え方も違う他人にどう言われようと関係ありません。1番自分の手に馴染むものが、その人にとっての"正解"なのです。















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?