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キャッチフレーズ
黒板の上に貼られているものを覚えていますか?
毎日毎日目の前にあって見ていたはずなのに、
誰の記憶にも残っていないもの。
それは3つの目標。
「○○な子」「××な子」「△▼な子」
みたいに書かれている。
一度も口にしたことはないし、見た覚えもない。
でもひとつだけ遺っている言葉がある。
「Do your Best」
小学校最後の年、
わたしたちのクラスの前面に掲げられていた言葉。
それまでの学級目標は、
画用紙1枚ずつの大きさに書かれていたのに、
それは黒板の端から端まである長さで、
パッと目に飛び込んでくる大きさのものだった。
先生はその言葉を指さして話し始めた。
「僕から君たちへ言葉を贈りたいと思います。
゛Do your Best゛
ベストをつくせ、って言葉です。
下手でもいい。うまくいかなくてもいい。
大事なことは、
何をした方がいいのか、
何をしてはいけないのか考えて
君のできるベストのことをしてほしい、
そういう意味です」
初めてだった。
クラスに目標があることを知ったのも、
それにどんな意味が込められているのか教えられたのも。
何より、これっきりじゃなかったのだ。
このあと先生は、
わたしたちがピンチに陥ったとき、
ふんばらなきゃいけなくなったときに
「こういうときこそ、
゛Do your Best゛なんだよ!」
と励ましてくれることになる。
だからこうして今でもわたしは覚えてるし、
今でもしんどくなったきに、
ふっとこの言葉が頭をかすめるのだ。