水道水のPFAS~藤沢市の場合
環境省などによる全国調査で、一部の物質が有害とされる有機フッ素化合物・PFASの検出が、今年度については、暫定目標値をすべて下回っていることが判りました。給水人口が小さな事業者の場合、調査していなかったり、課題はありますが、9割の水道水が目標値を下回っています。
藤沢市は「神奈川県水道事業」の一つ
藤沢市の水道水はどうだったのか。藤沢市など神奈川県の水道事業は、実は複雑です。水道事業は、水を浄水したり配る上水道と、処理する下水道に分かれますが、通常、上下水道を市町村単位で受け持つことになっています。ところが神奈川県のうち、藤沢市のほか、茅ケ崎市、鎌倉市、平塚市、逗子市、厚木市、大磯町、伊勢原市、海老名市、綾瀬市、大和市、それに小田原市や箱根町の一部などは、神奈川県に上水道を任せているのです。
これは地勢的に近くに水源がなかったことや財政上の問題があったと言われています。この「神奈川県水道事業」は、県民の3割に当たる283万人に水を供給していて、その水源は、相模川となっています。県内のほかの自治体は、大きいところでは横浜市、川崎市、横須賀市、三浦市、秦野市、座間市などが単独で運営しています。
藤沢市の水道水は
藤沢市に給水されている水は、相模川からで、浄水場が寒川町にあります。わたしも、富士山が噴火した場合の対応についてお聞きするため、9年前、実際に浄水場を見学したことがあります。市内にはほかに葛原、稲荷、大庭、それに片瀬に配水池があり、水を供給しています。藤沢市には、境川と引地川という二つの大きな川が流れていますが、ここから水道水は取っていません。
PFASの濃度は
PFASのうち、PFOAとPFOSの二種類について、国は、合計で1リットル当たり、50ナノグラムを暫定的な目標値と定めています。体重50キロの人が水を毎日2リットル飲んでも、この濃度以下なら健康に悪影響が生じないと考えられる水準としています。
全国調査の結果によりますと原水だけでなく、給水栓や浄水場の水を対象にした▲神奈川県水道は、今年度までの過去5年間、すべてが「検出下限値未満」となりました。「検出下限値」とは、濃度が検出限界未満であったことで、その物質が全く存在しなかったことではありません。
2020年度の調査では目標値を上回る63だった▲座間市上下水道局は、2022年度は41だったものの、今年度は21まで低下して、目標値も下回っています。▲秦野市水道事業は、目標値を下回っていますが、昨年度の13から、今年度は20に上昇しています。
▲横浜市水道局をはじめ、▲川崎市上下水道局、▲横須賀市上下水道局は、過去5年間、すべて「検出下限値未満」となっています。
藤沢市内の河川は
ここまでは水道水の調査についてです。次に河川などについての調査結果です。藤沢市は、境川と引地川について調査していて、結果を公表しています。それによりますと▲境川の境川橋における調査結果は、過去5年間で19、27、24、19、12となっていて、いずれも目標値を下回っています。
ところが、▲引地川の富士見橋における調査結果は、120、170、170、91、100となっていて、いずれも目標値を二倍も上回る結果です。とくに「PFOS」の検出が高くなっています。
藤沢市では辻堂沖でも調査していますが、過去4年間でいずれも5未満となっていて、目標値を下回っています。
引地川の上流は
引地川は大和市から藤沢市を流れる二級河川で、水道水の取水はありません。神奈川県や大和市も、調査を行なっています。それによりますと大和市にある福田1号橋と福田橋で、昨年度は、前年度より低下しているものの、91と260となっていて、目標値を大きく上回っています。
神奈川県はさらなる追加の調査を行なっています。そして排水の流入が見られないことから、PFOSなどを含んだ地下水が湧いている可能性があるとしています。その上で原因は特定できないが、周辺事業者、厚木基地、駐車場など様々な原因が想定されるとしています。