
【野良Shazamer活動記録】#2.アヴリル・ラヴィーン"My Happy Ending"
3連休最後の月曜、ぼくは100円ショップにいた。
ぼくの実家から電車で10分ほどの、大きめな街の中でのことだ。
今回のShazam地点がここ。
家族で実家に顔を出す前、途中のここに立ち寄った。
会話の流れで、ぼくは下の子の買い物の付き添いとして100円ショップへ連行されることに。流れが止まった車列の中で、ぱっとその場で降りて妻と運転を替わり(街の立駐に入れるのをまかせた)、歩いて街の中心部へ向かう。
お年頃ってやつで、二人じゃ並んでなんか街を歩かない。少し先を歩いている。
いつもならぜんぜん一人行動で、どこへでも好きに行ってしまうところ、ナゼぼくが付いてく羽目に……、
っていやいや、魂胆は全然スケスケだ、どうせ今月の小遣いを使い切って、ちまちまと買うものたちをまるっと、お金出してほしいのだろう。
繁華街の中、小ぶりな商業ビル内にフロアが5階分ぐらいある、なかなか大きな100円ショップに着く。人で賑わっている。
記憶が確かなら、昔、ここは「サンバード長崎屋」だったはずだ。
100円ショップになる前がなんだったのかは、分からない。
20代以降、ぼくは別の土地にいて、この町をぶらつく時間はあまりなかった。
子はさっそく、姿が見えなくなる。
まあ、落ち合う時に、LINEで連絡を取ればいい。
アウトドアコーナーの商品を見ているとき、流れている音楽が気になってくる。
声の魅力がすごい。
アメリカ人の女性シンガーかな?と適当にあたりをつける(英語を語れる存在じゃ全然ないくせに)。
重めでキレいいギターの音もかっこいい。
スマホを取り出し、Shazamる。

その「アヴリル・ラヴィーン」の字面に。
聞こえてくる
”He was everything, everything"
に。
ある女性が思い出される。
当たり前のように自然に。
初めて会った日、カラオケでこの曲を歌っていた。
「小6のときに、はじめてアヴリル聴いたかな。これは、多分中2ごろとか?」
って話してた、声が甦る。
この歌のリリースが2004年と知ったとき、16も離れたふたりの歳の差に、内心おののいたっけ。
ぼくは、この超有名ミュージシャンの超有名曲を、2004年当時にも、あの頃つまり6年前(2019年)にも、まったく知らなくて。
(2004年だと、ぼくは29歳。すでに結婚していて、最初の子が小さかった。
仕事もハードで、流行りの音楽がちゃんと耳に入っていなかったかもしれない。
で、それって、……29歳って。出会った当時の、彼女の年齢なんだな。)
それで女性がカラオケで歌うのを聴いて「めっちゃいいじゃん!」と心から思い、そう伝えたってのに。
スポーンと抜け落ちて、Shazamしてしまうとか……。
”へええ、忘れちゃったんだ?まぢ?”
……いやいやいや。
声が聞こえたとか、ないから。
彼女はいま、クアラルンプールにいるんだし。
ホント知らんけど。
そのタイミングでLINEが届く。
(え……)
普通に下の子から。
『いま3階』
『ちょっと来てー』
ふう、と小さく、息を吐いて。
ぼくは歩き出す。
多分君は来たことのないだろうこの町の、いまは100円ショップになった、人でごった返してて照明が眩しい店内を。
(おしまい)
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